ドイツのSSWトルステン・グッズ、多くのゲストが参加した7作目
ドイツのジャズギタリスト/シンガーソングライター、トルステン・グッズ(Torsten Goods)の2023年新譜『Soul Searching』。ランディ・ブレッカー(Randy Brecker)や欧州ジャズの名手たちをゲストに迎え、80〜90年代のフュージョン/スムースジャズの香りを感じさせる良質な作品だ。ギターのテクニックも、ソウルフルなヴォーカルも、AORからも影響された作編曲も、どれもがセンスに溢れている。
アルバムはボリュームたっぷりの全14曲。トルステン・グッズの自作曲/共作曲を中心に、いくつかのカヴァーも含まれている。(3)「Who’s Right, Who’s Wrong」はペイジズ(Pages)の代表曲のひとつ。また(11)「Keep On Running」はジャマイカ生まれのソウル・シンガー、ジャッキー・エドワーズ(Jackie Edwards)のカヴァーだ。
ゲストも凄いメンツで、(2)「Spinning Round」での歌手ヴィクトリア・トルストイ(Viktoria Tolstoy)、(8)「Soul Searching」でのトロンボーン奏者ニルス・ラングレン(Nils Landgren)に歌手キム・サンダース(Kim Sanders)、(9)「Walk Away」に参加するジャズ/フュージョンの大御所ランディ・ブレッカー(Randy Brecker)、歌手イダ・サンド(Ida Sand)などがアルバムに参加している。中でも至高はビレリ・ラグレーン(Biréli Lagrène)をフィーチュアした(7)「Carnaval De La Gente」で、ブラジルのサンバに強く感化されたリズムの上で2本のギターが競演する演奏は極めてエキサイティングだ。
芸名はレス・ポールが命名!Torsten Goods 略歴
トルステン・グッズ(本名:Torsten Gutknecht)は1980年、ドイツ・デュッセルドルフでアイルランド人の母親とドイツ人の父親の間に生まれた。14歳でギターを始め当初はロックなどを弾いていたが、17歳の頃にギタリスト/教師のピーター・オマラに出会いジャズの複雑な即興に惹かれるようになった。1999年と2000年の夏に米国ニューヨークでジム・ホールとジョン・スコフィールドによるワークショップに参加。その後2003年までNYのニュースクールで学び、ジョージ・ベンソンやレス・ポールとも出会い、レス・ポールから“トルステン・グッズ”という芸名を勧められたという。マイク・スターン、ビレリ・ラグレーン、ジャック・ウィルキンスとのジャムセッションは、ニューヨークでの彼の日常生活の一部だった。2005年に高名なセロニアス・モンク・ジャズギター・コンペティションで準決勝まで進出している。
2001年にアルバム『Manhattan Walls』でデビュー。『Irish Heart』(2006年)から『Thank You Baby!』(2018年)までは欧州の名門ジャズレーベルであるACTから4枚のアルバムをリリースしている。