Quentin Dujardin & Olivier Ker Ourio『Serendipity』
ベルギー出身のギター奏者カンタン・デュジャルダン(Quentin Dujardin)と、レユニオン出身のハーモニカ奏者オリヴィエ・ケル・オゥリオ(Olivier Ker Ourio)によるデュオ作品『Serendipity』は、思いがけない偶然の幸運(=セレンディピティ)を求めて、2人きりで港から港へ、音楽の大海を旅するようなアルバムだ。
チャールズ・ミンガス(Charles Mingus, 1922 – 1979)の名曲のカヴァー(1)「Goodbye Pork Pie Hat」から始まるこの航海は、フラメンコに立ち寄り((3)「Song for Paco」)、ブルースを経由し((8)「Blues for M&N」)、クラシックにも立ち寄る((10)「Ave Maria」)。マダガスカル島の文化にインスパイアされた(5)「Madagascar」は歌うように生命の力強さと美しさを表現し、そうした旅路の中でいくつもの予想外の偶然な発見を手にしてゆく。文字通り、セレンディピティに満ちた音楽がここにはある。
(2)「En T’attendant」はもともと、カンタン・デュジャルダンが2010年のアルバム『Impressionniste』で、ジョン・レノンにも影響を与えた伝説的ハーモニカ奏者トゥーツ・シールマンス(Toots Thielemans, 1922 – 2016)と録音したものの再演。“トゥーツ・シールマンスの唯一の後継者”と呼ばれたこともあるオリヴィエの演奏は、トゥーツへのリスペクトと自身の創造性が温かな音色の中に魂とともに込められている。
ほぼ全てギターとハーモニカのデュオ演奏だが、(7)「Shay Away」のみベルギーの男性歌手デヴィッド・リンクス(David Linx)がゲストで参加。
Quentin Dujardin – nylon, baryton & slide guitars
Olivier Ker Ourio – chromatic harmonica
Guest :
David Linx – vocal