フランチェスカ・アンカローラ、新譜はウーゴ・モラガ曲集
チリの歌手フランチェスカ・アンカローラ(Francesca Ancarola)の新作『Canciones de Hugo Moraga』は、チリのヌエバ・カンシオン(Nueva canción)を代表するSSWであるウーゴ・モラガ(Hugo Moraga, 1952 – )のカヴァー集だ。演奏にはチリのギタリスト、シモン・シュリーバー(Simón Schriever)に打楽器奏者ルイス・バルエト(Luis Barrueto)、アルゼンチンの鍵盤奏者カルロス・アギーレ(Carlos Aguirre)、ブラジルのフルート奏者アリーネ・ゴンサウヴェス(Aline Gonçalves)ら南米の優れた音楽家が参加。(2)「Elegante」には特別ゲストとしてウーゴ・モラガ自身も参加している。
ウーゴ・モラガは1974年にデビューし、1979年に最初のアルバム『Cantos del Sur de Mi』をリリースした。70〜80年代に彼は1973年9月11日にクーデターによって政権の座に就いたアウグスト・ピノチェトの独裁に反対する文化運動=“ヌエバ・カンシオン”の代表格として「La vida en ti」や「Romance en tango」といった多数のプロテスト・ソングを書いたが、その後はロック、ジャズ、フュージョン、ボサノヴァといった海外の音楽の要素を自身の楽曲に取り入れていった。
フランチェスカ・アンカローラによる今作はウーゴ・モラガのデビュー50周年を祝い制作されたもので、ウーゴ・モラガの長いキャリアから幅広く選曲されており、前述の素晴らしいミュージシャンたちによって穏やかに演奏される。
フランチェスカ・アンカローラとともにアルバムのプロデューサーを務めたギタリストのシモン・シュリーバーは今作について、「僕らがウーゴの曲を録音することにしたのは、彼の作品に敬意を感じているからです」と語る。「その素晴らしいハーモニーの豊かさに驚かされるんです。珍しい場所に配置されたコードや型破りなチューニングなど、リスナーとして驚かされる要素が常にある。芸術はリスクと美しさが常に高く評価されるのです」と彼は説明している。
Francesca Ancarola 略歴
フランチェスカ・アンカローラ(María Francesca Ancarola Saavedra)1968年チリ・サンティアゴ生まれのシンガーソングライター。
音楽を通した社会変革運動であるヌエバ・カンシオンの流れを汲んだ歌手として知られており、彼女の最初の作品『Que el canto tiene sentido』(1999年)のアルバムタイトルは、 1973年にピノチェト率いる軍事政権によって殺害された、ヌエバ・カンシオンを代表するSSWであるビクトル・ハラ(Víctor Jara)の歌「Manifiesto」に敬意を表したものであった。
これまでに10枚以上のアルバムをリリースしており、うち3枚でチリの栄誉あるアルタゾール賞を受賞している。
フォルクローレとジャズの自然な融合を特長としており、これまでにチリ国内だけでなくアルゼンチンの巨匠カルロス・アギーレ、ウルグアイのウーゴ・ファトルーソ、日本の松田美緒などなど国境に縛られず共演者との活動を行い、活躍の場を広げている。
Francesca Ancarola – vocal, acoustic guitar
Simón Schriever – electric guitar
Carlos Aguirre – piano, keyboards
Luis Barrueto – drums, percussion
Aline Gonçalves – flute, bass flute
Pablo Lecaros – electric bass
Special Guest :
Hugo Moraga – vocal