無限のインスピレーション迸る 現代スパニッシュ・ジャズ最高峰、ダニエル・ガルシア新作

Daniel García Trio - Wonderland

ダニエル・ガルシア・トリオ新作『Wonderland』

スペインのピアニスト/作曲家ダニエル・ガルシア(Daniel García)率いるピアノトリオの新作『Wonderland』が素晴らしい。現代的なジャズ、スペインの伝統音楽、クラシック、ラテン音楽などの折衷的なスタイルである彼の音楽はリズム、ハーモニー、メロディの多様性も特長的で、楽曲ごとに異なる色彩を示す。驚くようなゲストの参加もあり、グローバルなジャズの傑作と言っても過言ではない作品だ。

アルバムは平和への祈りを込めたクラシカルなソロピアノ(1)「Paz」で幕を開ける。
タイトなリズムと流麗なテクニックが耳を惹く(2)「Gates to the Land of Wonders」も、ヨーロッパ的抒情性が随所に目立つ。

(2)「Gates to the Land of Wonders」

(3)「Wonderland」には現代最高峰のギタリスト、イスラエル出身のギラッド・へクセルマン(Gilad Hekselman)が参加。文字通りワンダーランドなギターは今作の中でも特異に際立つ。

(6)「Resistance Song」後半部での印象的なヴォーカルはトリオのドラマー、ミシャエル・オリべラ(Michael Olivera)によるもの。この曲も非常に場面転換の豊かな映画的構成で素晴らしい。

(7)「You and Me」では近年頭角を表したスペイン・カタルーニャ出身のSSWラウ・ノア(Lau Noah)がゲスト・ヴォーカリストとして参加。情感豊かなラウ・ノアの歌声と、限りなく叙情的なダニエル・ガルシアのピアノ演奏で本作の中でももっとも美しく印象深い楽曲となっている。

(7)「You and Me」

(8)「Tears of Joy」や、歌手のベロニカ・フェレイロ(Verónica Ferreiro)が参加した(11)「La Tarara」にはダニエル・ガルシアらしくフラメンコなどスパニッシュな香りが漂う。

Daniel García 略歴

ダニエル・ガルシアは1983年にスペイン内陸のカスティーリャ・イ・レオン州サラマンカに生まれた。スペインの音楽教育の最高峰校であるカスティーリャ・イ・レオン音楽院でクラシックピアノを学び、その後渡米しボストンのバークリー音楽大学でグラミー賞を受賞したパナマの巨匠ジャズピアニスト、ダニーロ・ペレス(Danilo Perez)に師事。その指導は彼の音楽性に決定的な影響を与えたという。

長年、ベースのレイニエル・エリサルデ(Reinier Elizarde)とドラムスのミシャエル・オリべラ(Michael Olivera)とのトリオを組んでおり、2015年に『”Alba”』でデビュー。名門ACTレーベルよりリリースされた『Via de la Plata』(2021年)は傑作として多くのメディアにより高く評価された。

Daniel García Trio :
Daniel García – piano, vocals (10)
Reinier “El Negrón” – double bass
Michael Olivera – drums, vocals (6)

Guests :
Gilad Hekselman – guitar (3)
Lau Noah – vocals (7)
Verónica Ferreiro – vocals (11)

関連記事

Daniel García Trio - Wonderland
Follow Música Terra