ノラ・サルモリア、ピアノ弾き語りを軸とした新作
アルゼンチンのピアニスト/歌手/作曲家、ノラ・サルモリア(Nora Sarmoria)が自身のピアノ弾き語りを中心としたアルバム『Amniótica』をリリースした。アルゼンチン・ジャズ、あるいはネオ・フォルクローレの粋の結晶のような極上のアルバムで、ノラ・サルモリアの傑出した才能にあらためて感服させられる。
テクニカルな7拍子のリズムと軽やかなスキャットが印象的な(1)「Amniótica」は“羊水”の意味。これは私たちがどこから来てどこへ行くのかを思い出そうとする、人生を巡る物語。途中から聴こえるパーカッションの音は映像を観ての通り、ノラ自身が左足のペダルで演奏をしている。
(2)「Arrancandonga」など数曲でパーカッション奏者のファクンド・フェレイラ(Facundo Ferreira)が参加。これまでのノラ・サルモリアの作品にも多彩な音色を加えてきた彼の創造性に満ちたパーカッションも素晴らしく、ノラのピアノとヴォーカルの魅力をより一層美しく引き立てている。ノラの作曲も一癖ありながらも実に美しい。
(3)「La Pura Verdad」はアルゼンチンを代表する作曲家アタウアルパ・ユパンキ(Atahualpa Yupanqui, 1908 – 1992)の名曲のカヴァー。
瑞々しいバラード(5)「El Barro y las Manos」、リズミカルで楽しげ、即興も冴え渡る(6)「Aguita Sol」なども秀逸だ。
終始リラックスしたムードで、極上の演奏を楽しめる素敵なアルバム。
Nora Sarmoria 略歴
ノラ・サルモリアは1968年アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。
1995年に『Vuelo Uno』でデビューし、これまでに10枚以上のアルバムを発表しているカルロス・アギーレ(Carlos Aguirre)やキケ・シネシ(Quique Sinesi)らに並ぶアルゼンチン・ネオ・フォルクローレの草分け的存在。
自身の作品だけでなく、音楽教育者として、また2007年からは20名のオーケストラ、American Orchestra のディレクターを務めるなど幅広い活動を行っている。
2013年には世界中から注目のピアニストが集う祭典「ザ・ピアノ・エラ」で来日も果たし、大きな喝采を浴びた。
Nora Sarmoria – piano, vocal, percussion
Facundo Ferreira – percussion