Magda & Banda Magda『For Spring』
マイケル・リーグ(Michael League)や小川慶太(Keita Ogawa)ら、スナーキー・パピーが強力にバックアップしたことで人気を博したバンダ・マグダ(Banda Magda)を率いるギリシャ出身SSWマグダ・ヤニクゥ(Magda Giannikou)による、ソロ・アーティストとしての新作『For Spring』。今作の名義は「Magda & Banda Magda」となっており、スナーキー・パピーのトランペッター/鍵盤奏者であるジャスティン・スタントン(Justin Stanton)や、ニュージャージー州出身のベース奏者マット・アロノフ(Matt Aronoff)らを迎えたバンドでマグダ・ヤニクゥの独創的な世界観を表現した作品だ。
今作は『For Seasons』と題された、四季をテーマにした四部作の第1作目として位置付けられている。都会に生きる人間の視点から、絶え間なく変化する自然の美しさにインスピレーションを受けたもので、今作は春の季節へのオマージュであり、生、死、愛、再生、そして変容を祝福する。
アルバムは(1)「April Is The Cruelest Month」(四月はもっとも残酷な月)で幕を開ける。ほぼインストゥルメンタルの曲で、後半にかけてコーラスが入る重厚な構成となっており、これまでのBanda Magdaのようなキャッチーさとは一線を画したアルバムだという宣言として機能する。
つづく(2)「Leleyo (Kissing in the Dark)」は英語で歌われる。彼女らしいポップな側面を持ちつつ、絶妙なアーティスティックな個性が発揮された佳曲だ。
ブラジル・ポルトアレグレ出身のSSW、ニーナ・ニコライフスキー(Nina Nicolaiewsky)との共演の(4)「Deixa Cair」は今作でのリード・トラック。アカペラで始まり、サンバのリズムに乗るポルトガル語の歌詞、サウダーヂを感じさせる短調の曲調はブラジル音楽ファンの耳にもきっと刺さるだろう(直前の(3)「Aurore」はフランス語の歌詞だから、英語 – フランス語 – ポルトガル語 と次々と切り替えて歌うマグダ・ヤニクゥの才能には驚かされる)。
(7)「Rosa Blanca」はクラシカルな様式美を備えた三拍子の楽曲。
全体的にはコンセプト・アルバムとして、他3作へと繋げる余力を残した作品という印象を受けるものの、前述したようにいくつかの楽曲はマグダ・ヤニクゥの突出した才能をあらためて感じさせてくれる素晴らしい出来栄えだ。
Magdalini Giannikou – lead vocal (all tracks), acoustic guitar (8)
Justin Stanton – synthesizers, trumpet, flugelhorn (1, 2, 3, 4, 5, 8)
Malena Marcase – vocals (1, 2, 3, 4, 5, 7, 8)
Matt Aronoff – uplight bass (1, 2, 3, 8)
Jordan Perlson – drums (2, 3, 4, 8)
Bob Lanzetti – guitars (2, 3, 4, 8)
Nina Nicolaiewsky – lead vocal (4)
Viktorija Pilatovic – vocal (4)
Andres Rotmistrovsky – electric bass (4)
Brian Potts – percussion (4)
Bernardo Aguiar – percussion (4)
Luiz Barcelos – mandolin (4)
Ignacio Hernandez – acoustic guitar (4)
Marcelo Woloski – percussion (7)
Artemis Kokkinara – vocals (8)