まるで楽園のようなアルゼンチン音楽。フェデリコ・アレセイゴル新作『.ar』

Federico Arreseygor - .ar

リオプラテンセの音楽的洗練を象徴、フェデリコ・アレセイゴル傑作

アルゼンチンの現代ジャズ/ネオフォルクローレを代表するSSW/ピアニスト、フェデリコ・アレセイゴル(Federico Arreseygor)の2025年作『.ar』の美しさは、格別だ。ジャズとアルゼンチン・フォルクローレが高度に混ざり合ったリオプラテンセの独特な音楽作品群の中でも一際輝く、素晴らしい作品だ。

前作『Jardinería para Principiantes』(2022年)に続きベースにオマール・ゴメス(Omar Gómez)、ドラムス/パーカッションにマリアーノ・カンテーロ(Mariano Cantero)という10年来の盟友とのピアノトリオを軸に、効果的にヴォーカルやコーラスを乗せる彼のこれまでの作風を踏襲。アルバムには豊かで美しいハーモニーと旋律に満ちていながら、どこか陰影を孕んだ6曲を収録している。アルバムタイトルにはアルゼンチンの国別コードトップレベルドメインである「.ar」を冠し、アルゼンチンの文化やアイデンティティを誇り高く反映する。

アルバムにはヴォーカル曲とインストがバランスよく混在。6曲中5曲はフェデリコ・アレセイゴルのオリジナルだが、ノルウェーのSSW、オーロラ(AURORA)のカヴァーである(3)「Everything matters」も収録。特徴的なリズムとゲストで迎えられた女性シンガーシンティア・コリア(Cintia Coria)の声も印象的な(1)「Secreta」から、“珠玉”と形容するに相応しい楽曲が並ぶ。まるで、楽園のような音楽がここにはある。

(1)「Secreta」

タイトなリズムで南米フュージョン的なサウンドの(4)「Alter」もかっこいいし、抒情的なインストゥルメンタル(5)「Tablas y corales」も美しい。ラストの(6)「Del tiempo y una voz」はセンチメンタルで、ギターやストリングスを加えたアレンジも効果的。

(4)「Alter」

Federico Arreseygor 略歴

フェデリコ・アレセイゴルはアルゼンチン・ブエノスアイレス州都ラ・プラタ出身のピアニスト/シンガー/作編曲家。これまでにペドロ・アスナール(Pedro Aznar)やシルビア・イリオンド(Silvia Iriondo)といったアルゼンチンを代表する音楽家のプロジェクトに参加し、ツアーに帯同するなど豊富な経験を積んできた。
ソロとして2009年に『Espirales』でデビュー。Aca Seca Trioとも双璧を成すクオリティの高さで傑作と評価され、つづく何枚かの作品も同様に話題となった。

Federico Arreseygor – piano, electric piano, vocals
Omar Gómez – double bass, electric bass
Mariano Tiki Cantero – drums, percussion, vocals

Guest :
Cintia Coria – vocals (1)

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