YEAR

2025年

  • 2025-03-04
  • 2025-03-03

バーレーン系女性ジャズ・トランペット奏者、ヤズ・アハメドが切り拓くアラビック・ジャズ新境地

ロンドンを拠点に活動する女性トランペッター/作曲家のヤズ・アハメド(Yazz Ahmed)が、自身のルーツである中東の島国バーレーンの伝統的文化にインスパイアされた新作『A Paradise In The Hold』をリリースした。真珠産業に従事する労働者やアラブの女性達の強さを祝い、また数曲で自身の作品として初めて歌手とのコラボレーションも行うなど、アラビック・ジャズの新たな境地を切り拓いた作品となっている。

  • 2025-03-02
  • 2025-03-02

コロンビアのSSWマリア・クリスティーナ・プラタがギターと声で魅せる、南米音楽の詩情と滋味

コロンビア出身のギタリスト/シンガーのマリア・クリスティーナ・プラタ(María Cristina Plata)の新作『Casi Te Creo』は、声とギターを中心とした深みのある抒情が美しい南米音楽作品だ。全10曲のアルバムには彼女のオリジナルと中南米スペイン語圏の音楽家たちのカヴァーがバランスよく収録され、彼女自身によるギターと声を中心とした感性豊かなアコースティック音楽を堪能できる。

  • 2025-03-01
  • 2025-03-01

ダブルベースの革命家アダム・ベン・エズラ、孤高の極みに達する新譜『Heavy Drops』

卓越した個性的な技術でダブルベース(コントラバス)のソロ演奏に革命をもたらしたイスラエル出身のベーシスト/作曲家アダム・ベン・エズラ(Adam Ben Ezra)が、新作『Heavy Drops』をリリースした。今作はキューバ出身の打楽器奏者ミシャエル・オリべラ(Michael Olivera)を伴奏者に迎え、圧巻の技巧とグルーヴを堪能できる作品となっている。

  • 2025-02-28
  • 2025-02-16

研ぎ澄まされた水晶のように透明な美しさ。ケヴィン・ヘイズ、ホルヘ・ロッシ 初のデュオ作

90年代からニューヨークでしばしば演奏を重ねてきた二人の名手、ピアニストのケヴィン・ヘイズ(Kevin Hays)と打楽器奏者ホルへ・ロッシ(Jorge Rossy)が再会。ピアノとヴィブラフォンの編成で初のデュオ作『The Wait』をリリースした。トニーニョ・オルタ(Toninho Horta)がジョビン(A.C. Jobim)逝去後にトリビュートとして作曲した(1)「De Ton Pra Tom」で始まる今作には、二人のオリジナルやスタンダードをバランスよく収録。大胆と繊細が同居する深淵なサウンドに魅せられる美しいアルバムとなっている。

  • 2025-02-26
  • 2025-02-25

破滅と再生の物語を優れた表現力で歌う。サンパウロのSSWト・ブランヂリオーニ 注目の新作

ブラジル・サンパウロ出身のSSWト・ブランヂリオーニ(Tó Brandileone)の待望の新譜『Reações Adversas / Ao Persistirem os Sintomas』がリリースされた。アルバムは11曲収録で、アヴァン・ロック寄りの前半『Reações Adversas』と、洗練された美しいメロディーがつづく後半『Ao Persistirem os Sintomas』の二部構成となっており(それぞれEPとして2025年1月に相次いで個別にリリースされている)、全体として豊かな彼の才能から溢れ出るさまざまな音楽的景色を楽しむことができる素晴らしい作品に仕上がっている。

  • 2025-02-24
  • 2025-02-25

目に見えないもの、語られないものへの美しい賛辞。ペトロス・クランパニス 国籍を超えたトリオでの新作

ギリシャ出身のベーシスト/作曲家ペトロス・クランパニス(Petros Klampanis)の新作『Latent Info』。アルバムはエストニア出身のピアニスト、クリスチャン・ランダル(Kristjan Randalu)とイスラエル出身のドラマー、ジヴ・ラヴィッツ(Ziv Ravitz)との共同名義だが、収録曲は多くがペトロス・クランパニスの作曲クレジットとなっている。

  • 2025-02-23
  • 2025-02-22

ブラジル若手最高峰ギタリスト、カイナン・カヴァルカンチによる至上のガットギター・アルバム

ブラジルの若手ギタリストにおける最高峰のひとり、カイナン・カヴァルカンチ(Cainã Cavalcante)が新譜『Coração de Melodia』をリリースした。彼自身10枚目のアルバムとなる今作は自身のプロデュースによって制作され、レパートリーはブラジルの偉大な作曲家たちの楽曲を中心に据えている。

  • 2025-02-22
  • 2025-02-22

多文化共生のカナダ・トロントJAZZシーンを象徴する最強ピアノトリオ! Jeremy Ledbetter Trio

カナダ・トロントを拠点とするピアニスト/作曲家ジェレミー・レッドベター(Jeremy Ledbetter)率いるピアノトリオの2024年新譜『Gravity』。スナーキー・パピー(Snarky Puppy)のドラマーとして知られるラーネル・ルイス(Larnell Lewis)と、スティーヴ・コールマン(Steve Coleman)との活動で知られるベーシストのリッチ・ブラウン(Rich Brown)とのトリオで、2018年のデビュー作『Got a Light?』以来の新作だ。

  • 2025-02-21
  • 2025-02-22

驚異的なジャズ・スティールパンに胸踊る大傑作。巨匠E.パスコアールも参加するCaneFire大傑作

カナダ生まれの鍵盤奏者/作曲家のジェレミー・レッドベター(Jeremy Ledbetter)が、トリニダード・トバゴや中南米諸国での長期滞在を経てカナダに戻り結成した超絶ラテンジャズバンド、ケインファイア(CaneFire)が最高に面白い。2005年にデビュー作『Kaiso Blue』、2010年に2nd『Pandemonium』をリリースしており、いずれもクリエイティヴなエネルギーに満ちた最高の音楽だが、今回は2ndアルバムに焦点を当てて紹介したい。

  • 2025-02-20
  • 2025-02-19

北欧の現代ジャズを象徴するシェーティル・ムレリド・トリオ 自由な表現を拡張した新譜『And Now』

革新的なスタイルで知られるノルウェーのピアニスト/作曲家、シェーティル・ムレリド(Kjetil Mulelid)のトリオによる4枚目のアルバム『And Now』がリリースされた。ピアノ、ダブルベース、ドラムスという一般的なピアノトリオ編成だが、手数の多い攻めのピアノ、ときにフリージャズを思わせる高次元の絡みを見せるアンサンブル、それでいて北欧らしい叙情性を失わない好盤となっている。

  • 2025-02-18
  • 2025-02-18

イタリア史に散らばる音楽的断片を繋ぎ、重厚な物語に仕立てた鬼才ランベルト・キアンマルギ新譜

イタリアン・ジャズの鬼才ピアニスト/作曲家ランベルト・キアンマルギ(Ramberto Ciammarughi)が、欧州ジャズの象徴的存在のトランペット奏者パオロ・フレス(Paolo Fresu)、打楽器アンサンブルのテトラクティス・パーカッシオーニ(Tetraktis Percussioni)、さらに声楽アンサンブルのアドカントゥス合唱団(AdCantus Ensemble Vocale)、ヴォーカリア合唱隊(Vocalia Consort)から成る大編成を率い録音した圧巻の新譜『Intramontes』。ラテン語で山の間を意味するが、その山々を抜けて、さらにその奥に広がる空間も意味するタイトルの通り、刺激的で示唆に富む音響が広がる作品だ。

  • 2025-02-16
  • 2025-02-16

モニカ・ゼタールンド&ビル・エヴァンスの名盤への再訪。現代北欧ジャズの才媛アンナ・グレタ新譜

モニカ・ゼタールンド(Monica Zetterlund)がビル・エヴァンス(Bill Evans)のトリオをバックに、アメリカのスタンダードやスウェーデンの伝統歌を歌った『Waltz For Debby』(1964年)というアルバムを愛するジャズファンは多いだろう。幼い頃からジャズに親しみ、ジャズとともに育ったアイスランド生まれのピアニスト/歌手アンナ・グレタ(Anna Gréta)もまた、その魔法の虜になり、それを自身の音楽的指針としてきたひとりだった。

  • 2025-02-15
  • 2025-02-15

フランス発、少しノスタルジックなお洒落センスの要注目新人SSW、LUIZA デビュー!『Fantastik』

フランスからは度々、高度な音楽性とキャッチーでキュートな魅力を兼ね備えたヒロイン歌手が現れるが、彼女もまたそうした存在になるかもしれない。シンガーソングライターのルイーザ(Luiza)のデビューEP『Fantastik』は、そう思わせるに充分な傑作だった。フレンチポップ、ヒップホップ、ロマ音楽、ブラジリアン・ポップ、ジャズ、レゲエ、エレクトロニックといった要素を独自の感性で巧みに組み合わせ、甘さ、切なさ、懐かしさといった感情を呼び覚ます歌にはすでに大物の貫禄すら漂わせる。7曲入りのEPという扱いだが、デビュー作でこの完成度は衝撃的だ。

  • 2025-02-14
  • 2025-02-14

文化の交易に想いを馳せる、ウルグアイの現代カンドンベ・ロック。SSWニコラス・イバルブル新譜

ウルグアイのSSW/ギタリスト、ニコラス・イバルブル(Nicolas Ibarburu)の2025年新譜『La Ruta de la Seda』は、音楽家としての彼の圧倒的な才能を感じさせる素晴らしい傑作だ。ジャズやフュージョン、ロックにウルグアイの伝統的なカンドンベを巧みに組み込んだ最高のラテンロック。“シルクロード”を意味するアルバム・タイトルどおり、異なる文化を繋ぎ、混ぜ合わせた個性的な音楽でリスナーを潜在意識の巡礼の旅へと誘う。