フランスのブラジリアン・バンド、Sapocaya『Elementos』
フランスを拠点に活動するブラジリアン・ジャズ・コレクティヴ、サポカヤ(Sapocaya)。大編成のバンドが織りなすサウンドは、ブラジルの豊かな伝統音楽を土台に、ジャズの即興性とアフロ・カリビアンの躍動するリズムも融合させた、まるで生命の鼓動のような活き活きとしたエネルギーに満ちている。2025年末に待望のリリースを迎えた初のフルレンス・アルバム『Elementos』は、アマゾンの先住民族の叡智から着想を得た傑作で、自然界の四元素(地・風・火・水)をテーマに、リスナーを神秘的な旅へと誘う素晴らしい作品だ。
アルバムに収録された12の曲は、前述の四元素でセクションが分かれており、途切れることなく連続的に場面を切り替えていく。
(1)「Raízes」…「根」。植物の根や起源、ルーツを示す。穏やかな導入だが、トランペットの即興フレーズはその後に待ち受ける冒険を予感させる。
(2)「Floresta」…「森」。複雑な生態系で満たされた、豊かな自然を表現。
(3)「Terremoto」…「地震」。大地を、感情を揺るがす激しいバトゥカーダ。
(4)「Brisa」…「そよ風」。ブラジルのSSWマトゥ・ミランダ(Matu Miranda)がヴォーカルで参加した爽やかな旋律や、フルートの音色が印象的。
(5)「Vendaval」…「突風」。小品ながら、ドラマチックな展開の器楽曲。
(6)「Furacão」…「ハリケーン」。緩急の効いた、管楽器中心の卓越したジャズ・アンサンブル。早熟の天才ピアニスト、ネイサン・モレ(Nathan Mollet)が鍵盤でゲスト参加。
(7)「Brasa」…「熾火」。ゲストのベーシスト、フレデリコ・エリオドロ(Frederico Heliodoro)のソロが素晴らしい。
(8)「Chama」…激しく燃える「炎」。ハーモニーもソロも実験的。アコーディオン奏者レイス・デル・カンポ(Leith Del Campo)が参加。
(9)「Incêndio」…「大火」を意味し、広がる火事や激しい燃焼を指す。シャルロット・イーゼンマン(Charlotte Isenmann)の激情的なフルートの即興。
(10)「Chuva」…「雨」。燃え尽きた大地を癒す、優しく降る雨。癒しや生命の再生を示す。
(11)「Ribeirão」…「渓流」。ブラジルで小さな河川を指す。“ミス・ヒチモ(Miss Ritmo)”ことサイス・モッタ(Thaís Motta)のヴォーカルが最高に素晴らしい。
(12)「Enchente」…「洪水」。しかし曲風はそのタイトルから想起されるような破壊的なものではなく、大地に恵みをもたらす自然現象であることを描く。
Sapocaya プロフィール
ブラジルを象徴する樹木サプカイア(Sapucaia)に由来する名を冠したサポカヤは、トランペット奏者ジャマイエ・ヴィヴェイロス(Jamayê Viveiros)と、トロンボーン/パーカッション奏者トリスタン・ブーランジェ(Tristan Boulanger)を中心に2023年に結成。
ブラジルへの旅から帰国した二人は、サンバやフォホーといったよく知られているリズムだけでなく、ブラジル音楽の多様性を表現するグループを作りたいという志のもとバンドを結成し、2024年に初のEP『Sapocaya』でデビューした。
メンバーはライヴやレコーディングにより変動する9人以上の大編成で、パリのジャズシーンの精鋭たちで構成されており、木管楽器、パーカッション、ギター、ベース、ドラムスを中心に、多様な文化的背景(フランス、ブラジル、グアドループ、ハイチなど)がサウンドの豊かさを生み出している。
Sapocaya :
Carlos Malta – soprano saxophone, bass flute
Bernardo Aguiar – percussions
Jamayê Viveiros – trumpet
Maxime Chevalier – trombone
Lilou Claverie – flute
Charlotte Isenmann – alto flute
Léo Morini – clarinet
Daphné Jacquet – bass clarinet
Darius Moglia – alto saxophone
Zephania Lascony – tenor saxophone
César Aouillé – guitar
Simon Voituriez – bass
Tristan Boulanger – bass trombone, percussion
Taylor Philemon – drums
Guests :
Matu Miranda – vocal (4)
Nathan Mollet – keyboard (6)
Frederico Heliodoro – bass (7)
Leith Del Campo – accordion (8)
Thaís Motta – vocal (11)