- 2024-04-17
- 2024-04-17
どこか懐かしい気分を誘う、ベルギーの新進エチオジャズバンド、Kolonel Djafaar
ベルギーのエチオジャズバンド、コロネル・ジャファール(Kolonel Djafaar)の2ndアルバム『Getaway』がリリースされた。エチオピアに特徴的な音階(いわゆる“ヨナ抜き”、日本の演歌で用いられる音階と同一のもの)がアフロビート/ファンク/サイケロックがシームレスに融合するサウンドに乗り、どこか郷愁を感じさせる魅惑のグルーヴを生み出す。
ベルギーのエチオジャズバンド、コロネル・ジャファール(Kolonel Djafaar)の2ndアルバム『Getaway』がリリースされた。エチオピアに特徴的な音階(いわゆる“ヨナ抜き”、日本の演歌で用いられる音階と同一のもの)がアフロビート/ファンク/サイケロックがシームレスに融合するサウンドに乗り、どこか郷愁を感じさせる魅惑のグルーヴを生み出す。
唯一無二の音楽的パートナーシップを築いてきたデュオ、米国サンフランシスコ生まれのトロンボーン奏者ナタリー・クレスマン(Natalie Cressman)と、ブラジル・ブラジリア生まれのギタリスト/作曲家イアン・ファキーニ(Ian Faquini)の新作『Guinga』は、2人がこれまでに最も影響を受けた音楽家であるブラジルのレジェンド、ギンガ(Guinga)曲集だ。本作は単に2人がギンガの楽曲を演奏するだけのものではなく、なんとギンガ本人が15曲中5曲で参加しており、トリビュート・アルバムの範疇を超越した内容となっている。
パリ生まれロンドン在住。家系はガンビア、セネガル、マリにルーツを持つというベーシスト/シンガーソングライター、アーミ・ガジャガ(Amy Gadiaga)のデビューEP『All Black Everything』が、UKジャズシーンに新星の到来を告げる。
シャバカ・ハッチングス(Shabaka Hutchings)の新しいアルバムだと思って聴き始めたから、正直に言うとかなり驚いた。テナーサックスの音を待ち構えていたところに聴こえてきたのは、クラリネットの美しく温もりのある、悲しい音だった。人気バンドを率い、わくわくするような新世代のジャズを聴かせてきてくれた彼は、今作から名義をシャバカ(Shabaka)と変え、代名詞だった力強いテナーサックスを静かにケースに仕舞い、代わりの楽器としていくつかの笛を手に取ったようだ。
初めてその歌声を聴いたときから、歌手としての並外れた才能を感じた。八王子市出身のシンガー、後藤杏奈(Goto Anna)。ブルガリアへの留学や船での世界一周など豊富な国際経験をもつ彼女のデビューアルバム『Departure』は、“歌唱力”の一言では括ることのできない魅力が凝縮された作品となった。
ザ・カインドネス(The Kindness)はアメリカ合衆国アイダホ州を拠点とするピアノトリオで、リーダーであるベース奏者アーロン・ミラー(Aaron Miller)はブリガム・ヤング大学(BYU-Idaho)の教員でもあるそうだ。彼らのデビューアルバム『The Kindness』は、そうした知識が全くない状態で聴き始めたが、暗闇に徐々に煙が立ち込めるような印象的なイントロで始まる(1)「How Did the Rose」でのエスビョルン・スヴェンソン・トリオ(e.s.t.)を彷彿させる演奏に、すぐに惹き込まれた。
2021年に颯爽とデビューしたアイスランド・レイキャビク出身のピアニスト/シンガーソングライター、アンナ・グレタ(Anna Gréta)が待望のACT発第二弾アルバム『Star of Spring』をリリースした。現在ストックホルムに住む彼女が故郷アイスランドに想いを寄せて弾き語る曲はどれも美しく、特別だ。
フランスのシンガーソングライター/ハープ奏者ソフィー・ソリヴォー(Sophye Soliveau)のソロデビュー作『INITIATION』が圧巻だ。まずは(2)「Initiation II - Wonder Why」を聴いてみてほしい。タイトだが主張のないリズムセクションの上で、幾分慎ましやかに分散コードを爪弾くハープ。鳥肌立つほど多層にも重なる女性コーラス。そして何よりも耳を惹くのは、これがデビュー作とは思えない経験値を感じさせるソフィー・ソリヴォーその人のあまりに素晴らしいヴォーカルだ。
バンド結成から20周年となるスペイン・カタルーニャの女性のみで構成されるフラメンコ・クロスオーヴァー・バンド、ラス・ミガス(Las Migas)の6枚目となるアルバム『Rumberas』がリリースされた。タイトルのとおりルンバ・フラメンカを基調としつつも、その伝統に捉われずに自分たちのスタイルを確立した彼女らの新作は自身と誇りに溢れており、長らく男性優位のジャンルとなっていたフラメンコが完全に新しい時代に入ったことを感じさせる。
前作『Our Folklore』でジャズ、ブラジル音楽、ネオソウルなど多様な音楽的バックグラウンドを凝縮した優れた音楽を提示してみせたスイス出身のギタリスト/作曲家ルイ・マトゥテ(Louis Matute)が、自身4枚目のアルバムとなる『Small Variations of the Previous Day』をリリースした。今作も中南米や大西洋の島々の音楽への深い探求心がサウンドの中核を担う。
ベーシストのヤコブ・ローラン(Jakob Roland)とドラマーのヘンリック・ホルスト・ハンセン(Henrik Holst Hansen)のデュオ、アート・ローホ(Art Roho)がデンマーク・コペンハーゲン出身のピアニスト、マッツ・ソンダーガード(Mads Søndergaard)を迎え入れ制作した3rdアルバム。キース・ジャレットとビル・エヴァンスが同居するような音空間が美しい。
トルコ・イスタンブールを拠点とする7人編成のバンド、デヴェラー(Develer)。ピアノ、シンセ、ドラムス、エレクトリック・ベースという西洋音楽の楽器に加え、弓弾きするタンブールやフレットレスのクラシックギター、ダラブッカといったこの地域特有の楽器を加えた微分音満載のジャズ・アンサンブルがなんとも魅惑的だ。
米国ノースカロライナ州のバンジョー奏者/作曲家ベン・クラカウアー(Ben Krakauer)の2ndアルバム『Hidden Animals』は、南インド音楽やブルーグラスを専門とする民族音楽学者でもある彼の個性が発揮された、独創的な作品だ。バンジョー、フィドル、チェロ、ダブルベース、ドラムスというクインテット編成で、ジャズの影響を強く受けた技巧的かつ楽しい音楽を聴くことができる。
前作『Andalusian Love Song』(2022年)では地中海を取り囲む諸国の出身者による多国籍ラージアンサンブルを率い刺激的なエンターテインメントを提示したイスラエル出身の作曲家/鍵盤奏者アヴィシャイ・ダラシュ(Avishai Darash)が、今度はピアノトリオにトランペットを加えたカルテットによるアルバム『Between Hope and Despair』をリリースした。