- 2025-03-17
- 2025-03-17
アスリートとしてW杯4回優勝経験をもつ女性SSW、内面の苦悩を吐露するエモロック
ブラジルのシンガーソングライター、カレン・ジョンス(Karen Jonz)の新作『GUIZMO』。ポルトガル語で歌われている以外はサンバやボサノヴァといった所謂“ブラジルらしさ”はほぼ感じられないが、優れたポップ感覚を持ったブラジリアン・ロックの好盤だ。
ロック
ブラジルのシンガーソングライター、カレン・ジョンス(Karen Jonz)の新作『GUIZMO』。ポルトガル語で歌われている以外はサンバやボサノヴァといった所謂“ブラジルらしさ”はほぼ感じられないが、優れたポップ感覚を持ったブラジリアン・ロックの好盤だ。
イスラエル出身、米国を拠点とするジャズ/プログレシーンで強い存在感を示すジャズロックバンド、カダワ(Kadawa)が2枚目のフルアルバム『Post Graduation Fees』をリリースした。今作はオーヴァーダビングを多用するなどトリオのコア・サウンドを拡張した野心的な作品で、尽きない音楽的探究心によって培われた技巧と芸術性、そして彼ら特有のウィットに富んだ表現力が炸裂する。合わせ鏡によって無限の深淵を覗かせるジャケットが象徴するように、独特の深みを持った傑作だ。
ウルグアイのSSW/ギタリスト、ニコラス・イバルブル(Nicolas Ibarburu)の2025年新譜『La Ruta de la Seda』は、音楽家としての彼の圧倒的な才能を感じさせる素晴らしい傑作だ。ジャズやフュージョン、ロックにウルグアイの伝統的なカンドンベを巧みに組み込んだ最高のラテンロック。“シルクロード”を意味するアルバム・タイトルどおり、異なる文化を繋ぎ、混ぜ合わせた個性的な音楽でリスナーを潜在意識の巡礼の旅へと誘う。
トーゴ出身で米国ワシントンD.C.に20年間住み、現在はトーゴの首都ロメとワシントンD.C.を行き来するシンガーソングライター/ギタリストのドゴ・デュ・トーゴ(Dogo Du Togo)が率いるバンド、アラガア・ビート・バンド(The Alagaa Beat Band)のデビュー・アルバム『Avoudé』。彼が“アラガア・ビート”と呼ぶサウンドは、トーゴの伝統的なリズムや旋律にロックやファンクの要素が絡み、エネルギーに溢れる独特の創造的な音楽を作り上げている。
世界最大の瀑布であるジンバブエのヴィクトリアの滝近くを拠点とするバンド、フライング・バントゥー(Flying Bantu)。非常に洗練されたアフロ・フュージョンで、ファンク、レゲエ、ロック、ジャズの要素が混ざり合ったサウンドに英語やバントゥー語の歌詞が乗る。楽器は一部でムビラの音色が聴こえるほかはほぼ西洋楽器で、スケールなども西洋音楽のものなので民族音楽色はかなり薄いが、それが逆に耳馴染みの良さに繋がっている。
従来の音楽の“常識”や“法則”を打ち破りながらも、排他的なマニアたちの溜飲を下げるだけでなく、市井の多くの人々の間でインフルエンスしそうな興味深いグループが現れた。ロンドンを拠点に活動する男女ユニット、キット・セバスチャン(Kit Sebastian)の奇妙な音楽には従来なかった新しさがあり、同時に時代を超えたノスタルジアがあり、そしてポップスの純粋な至福と安心感もある。
作曲家/ギタリストのシュブ・サラン(Shubh Saran)が新作EP『Being Anybody Else』をリリースした。インドの外交官の息子として各国を転々として多様な文化の中で育ちグローバルな感覚を身につけると同時に、それはつまり逆説的に彼の帰属意識を希薄にしており、“アイデンティティの探求”はこれまでの彼の作品における重要なテーマでもあった。今回の作品は各メディアから絶賛された前作『Inglish』のささやかな続編とも言える内容で、楽曲のタイトルにも彼がいまだに自己探究の途上でその心を浮き沈みさせている様が垣間見える。
ブラジリア出身で現在はサンパウロを拠点に活動するシンガーソングライター、パウロ・オハナ(Paulo Ohana)の4枚目のアルバム『Língua na Orelha』。2本のギターを中心に、フェルナンド・サガワ(Fernando Sagawa)によるジャジーなサックスがアクセントとなったバンドサウンドに自然体のヴォーカル、爽やかで馴染みやすいメロディーラインが特徴的な親しみやすいアルバムだ。
イスラエルのコメディ・パンク・バンド、ラマ・アニ・ハイ(ヘブライ語:למה אני חי?)が最高に面白い!バンドは日本のアニメやゲームから多大な影響を受けたコメディアンのコンビ、シュガー・ザザ(Sugar Zaza)と、過去に当サイトでも絶賛とともに紹介させていただいたバカテク系マルチ奏者ロン・ミニス(Ron Minis)の3人で構成され、ユニークな笑撃的パンクロックを展開する。2022年にリリースされたデビューアルバム『הלוואי הייתי מת』は突き抜けたお馬鹿さ加減が楽しく、全13曲18分間を台風のように駆け抜ける。
ニューヨークのギタリスト/作曲家ニア・フェルダー(Nir Felder)の『III』は、これまでの彼の作品の中で最も彼のギターの“凄み”を感じられる作品ではないだろうか。ギターの音はより太く、深くなり、アドリブソロも冴え渡る。多重録音も随所に用いられそれがアルバムとしての効果的な演出となっているが、それでいてライヴ感は全く失われず、強力な推進力を伴った演奏に惹き込まれる。
ブラジルのミクスチャー・バンド、フランシスコ・エル・オンブレ(Francisco, el Hombre)の新作『Hasta El Final』がリリースされた。バンドは今年3月7日に彼らが”クリエイティヴなシエスタ(siesta criativa)”と呼ぶ無期限の活動休止に入ることを発表しており、これが最後のアルバムとなる。ゲストとしてレニーニ(Lenine)、パト・フ(Pato Fu)、マルチナリア(Mart'nalia)といったブラジルを代表するアーティストも参加しており、まさしく集大成的な音楽を作り上げている。
半世紀以上にわたってイスラエルのポピュラー音楽の大部分を形成してきた2人の巨匠、マティ・カスピ(Matti Caspi, מתי כספי)とシャローム・ハノフ(Shalom Hanoch, שלום חנוך)が、それぞれの代表曲を取り上げ歌ったライヴアルバム『העיקר זה השירים (Live)』。2人の大ヒット曲が多数収録されており、イスラエルロックの歴史が凝縮されたと言っても過言ではないほどの内容になっている。
イタリア・ナポリの鍵盤奏者/作曲家/プロデューサー、ダリオ・バッソリーノ(Dario Bassolino)のソロデビュー作『Città Futura』は、ニコラ・コンテにも通ずる爽やかなグルーヴを持ったジャズファンクが特徴的だ。地中海からアラビアへ、そして大西洋を越えて遥かブラジルまで吹き抜ける風。過去から現在の様々な時代を繋ぎながら、架空の“Città Futura = 未来都市”へと想像を膨らませる。
現在のリオデジャネイロのインディー・シーンにおける要注目シンガーソングライター/ギタリスト/打楽器奏者のペドロ・フォンチ(Pedro Fonte)。大きな注目を集めたソロデビュー作『Filme do Tempo』から3年ぶりとなる2ndアルバム『Luz Na Madrugada / Late Night Light』では、前作で見せた独特の魅力を放つサウンドをさらに深化。現代のトロピカリアとも呼ぶべき、少し捻りのあるブラジリアン・ロックがどこまでも魅力的な作品を仕上げてきた。