TAG

2024

  • 2024-09-24
  • 2024-09-24

サン・アンドレウ出身マガリ・ダッチラ、瑞々しい才能が詰め込まれた新譜『La salut i la bellesa』

世界的に有名なスペイン・バルセロナの青少年ジャズバンド、サン・アンドレウ・ジャズバンド出身のベーシスト/歌手/作曲家マガリ・ダッチラ(Magalí Datzira)が新作『La salut i la bellesa』をリリースした。アルバムは全17曲40分というボリュームで、その中にはジャズやエレクトロ・ポップ、ヒップホップ、地中海の伝統音楽など様々なスタイルが宝石箱のように詰め込まれ、彼女の溢れ出る瑞々しい才能をさりげなく、誇らしげに示している。

  • 2024-09-23
  • 2024-11-23

トランペットに新時代到来! イブラヒム・マアルーフが導くジャズ・ルネッサンス

フランスのジャズ・トランペットのスーパースター、イブラヒム・マアルーフ(Ibrahim Maalouf)が16枚目のスタジオ・アルバム『Trumpets of Michel-Ange』をリリースした。編集やオーバーダブを用いず、大人数のバンドでライヴ録音された作品で、凄まじいほどの熱を帯びる。“ミケランジェロのトランペット”というタイトルは単にアルバムのタイトルというだけでなく、半世紀以上前に彼の父親が発明し、彼のトレードマークでもあるユニークな四分音トランペットを世界に広め、誰もが楽しめるようにすることを最終目標とする、大規模な教育プロジェクトの名称(T.O.M.A.)でもある。

  • 2024-09-21
  • 2024-09-28

現代ジャズと現代音楽の最もエキサイティングな融合。Trio HLK『Anthropometricks』

スコットランドのジャズトリオ、Trio HLK が2ndアルバムとなる『Anthropometricks』をリリースした。鍵盤奏者/作曲家のリッチ・ハロルド(Rich Harrold)、8弦ギター奏者アント・ロウ(Ant Law)、そしてドラマーのリッチ・カス(Rich Kass)の頭文字から取られたこのトリオは、伝統的なジャズやクラシックの枠に囚われない自由な発想で聴き応え抜群の音楽を発信している。

  • 2024-09-18
  • 2025-05-18

特異な天才音楽家ギンガ、歌手アナ・パエスを迎えた新作『Julieta No Convés』で覗く音楽の深淵

『Julieta No Convés』はギンガ(Guinga)とアナ・パエス(Anna Paes)の双頭名義の新作。収録曲はほぼ全てがギンガの未発表曲で、アルヂール・ブランキやパウロ・セザール・ピニェイロといった長年のパートナーとの楽曲のほか、ギンガとアナ・パエス共作なども収録された充実の内容となっている。“ギンガ”とは、もはやひとつの音楽のジャンルの代名詞のようなものだ。

  • 2024-09-14
  • 2024-09-15

イタリア発の熱狂的ジャズ・コレクティヴ Addict Ameba、宇宙的カオスを醸す2nd『Caosmosi』

イタリア・ミラノを拠点に活動するジャズ・コレクティヴ、アディクト・アメーバ(Addict Ameba) の2ndアルバム『Caosmosi』。10人編成のバンドが奏でる音楽はジャズ、アフロビート、ブラジリアン、サイケロックといった要素が豊かに混ざり合い、極彩色の地平へとリスナーを連れてゆく。アルバムのタイトルはフランスの哲学者フェリックス・ガタリ(Félix Guattari, 1930 - 1992)の最後の著書『Chaosmosis』にインスパイアされており、創造性と無秩序がもたらす無限の可能性を称賛している。

  • 2024-09-10
  • 2024-09-10

ブラジリアン・ロック新世代の Chico Chico、北東部音楽との融合が魅力の新譜『Estopim』

ブラジルのシンガーソングライター、シコ・シコ(Chico Chico)がロックやMPB、そしてブラジル北東部音楽などにインスパイアされた新作『Estopim』をリリースした。ソロ名義では2021年の『Pomares』以来となる第二作目で、都会的な洗練と、田舎風の素朴さを併せ持った彼らしい素直な音楽が楽しめる作品に仕上がっている。

  • 2024-09-08
  • 2024-09-03

北欧と南米の最高の器楽奏者の奇跡の邂逅。ヤン・ラングレン&ヤマンドゥ・コスタ『Inner Spirits』

アルバム『Inner Spirits』は、スウェーデンのピアニスト/作曲家のヤン・ラングレン(Jan Lundgren)と、ブラジルの7弦ギター奏者ヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)の共作だ。互いにオリジナル曲を持ち寄り、一部にはカヴァー曲を取り上げた今作は、北欧ジャズとブラジル音楽という全くベクトルの異なる音楽性が意外なほどに調和し、言葉にできないほど素敵な空間を作り上げている。

  • 2024-09-07
  • 2024-09-07

中南米の多様なルーツに根差した革新的な混血音楽。注目の男女デュオが放つデビュー作『Mestizx』

『Mestizx』は、公私共にパートナーであるボリビア出身の女性シンガーソングライター/マルチ奏者イベリッセ・グアルディア・フェラグッティ(Ibelisse Guardia Ferragutti)と、プエルトリコにルーツを持つシカゴ出身の男性ジャズドラマー/パーカッショニスト、フランク・ロザリー(Frank Rosaly)の共同名義によるデビューアルバムだ。アルバムタイトルは中南米におけるスペイン植民地時代に性別を問わず“混血の人”を意味する言葉として使われたもので、ブラジル、ボリビア、プエルトリコという二人の多様なルーツから来る多様性と、脱植民地という重要なテーマをアーティスティックに扱っている。

  • 2024-09-06
  • 2024-09-06

北アフリカ文化とジャズを繋ぐ新星ベーシスト、チュニジア出身マルワン・アッラムのデビュー作

チュニジア出身、現在は米国ニューヨークで活動するベーシスト/作曲家マルワン・アッラム(Marwan Allam)がデビューアルバム『باب بحر』(英字転写:Bab Bhar)をリリースした。アルバムのタイトルは彼の祖国であるチュニジアの首都チュニスのヨーロッパ式の新市街とイスラム統治時代に栄えた旧市街(メディナ)を分つ歴史的な門「バブ・エル・バール(海の門)」、別名「ポルト・ド・フランス(フランスの門)」に因んで名付けられている。

  • 2024-09-05
  • 2024-09-05

この世界に温かいハグを。NYのSSWイングリッド・マイケルソン新作『For the Dreamers』

米国のシンガーソングライター、イングリッド・マイケルソン(Ingrid Michaelson)の2024年新譜『For the Dreamers』。オリジナルだけでなく、「夢はひそかに」の邦題で知られるディズニーの名曲(4)「A Dream Is a Wish Your Heart Makes」、(6)「What a Wonderful World」(この素晴らしき世界)といったカヴァーも丁寧に仕上げられており、ドラムレスの曲が多い構成でリラックスして聴ける作品となっている。

  • 2024-09-03
  • 2024-09-03

新世代のマルチ奏者モーガン・ゲリン、内なる孤独を才気迸るジャズに昇華した新譜

米国のマルチ奏者/作曲家モーガン・ゲリン(Morgan Guerin)がほぼすべての楽器を演奏し作り上げた新作『Tales of the Facade』は、エレクトリック・ジャズ、R&B、ソウル、ヒップホップといった多様な音楽性を内包する新世代のマルチ奏者の才能が詰め込まれたアーティスティックな作品だ。

  • 2024-09-01
  • 2024-09-15

奇想の音楽家ティグラン・ハマシアン、アルメニアの古代の物語にインスパイアされた壮大な新譜

アルメニア出身のピアニスト/作曲家のティグラン・ハマシアン(Tigran Hamasyan)が、構想から5年の歳月をかけて新たなアルバム『The Bird Of A Thousand Voices』を完成させた。今作はアルメニアの古い物語である『Hazaran Blbul』をテーマに、音楽に留まらないトランスメディア・プロジェクトとして発表されており、ティグラン・ハマシアンという天才的アーティストのキャリアを代表するであろう壮大な作品となっている。

  • 2024-08-31
  • 2024-08-31

無限のインスピレーション迸る 現代スパニッシュ・ジャズ最高峰、ダニエル・ガルシア新作

スペインのピアニスト/作曲家ダニエル・ガルシア(Daniel García)率いるピアノトリオの新作『Wonderland』が素晴らしい。現代的なジャズ、スペインの伝統音楽、クラシック、ラテン音楽などの折衷的なスタイルである彼の音楽はリズム、ハーモニー、メロディの多様性も特長的で、楽曲ごとに異なる色彩を示す。驚くようなゲストの参加もあり、グローバルなジャズの傑作と言っても過言ではない作品だ。