TAG

ブラジル音楽

  • 2025-08-07
  • 2025-08-07

ポスト・ボサノヴァの本流。ブラジル先住民族出身の女性SSWタイナー、注目の新作『Âmbar』

ブラジル北部パラー州の先住民族の家系出身のシンガーソングライター、タイナー(Tainá)の2作目となるアルバム『Âmbar』。ボサノヴァを基調とした柔らかなリズム、愛情、孤独、郷愁、憧れ、欲望といった誰もが抱く普遍的な感情をありのままに表現する自然で巧みなソングライティング、そして飾らない美しさを湛えた歌声と、ブラジルの豊かな音楽文化を象徴しつつも幅広いリスナーに訴求できる親しみやすい要素を兼ね備えた傑作だ。

  • 2025-08-03
  • 2025-07-28

ミナスのSSWグスタヴィート、伝統的なノルデスチ音楽の美学を詰め込んだエモーショナルな新譜

ブラジル・ミナスジェライス州ベロオリゾンチ出身で、同地のインディペンデント・ミュージック・シーンで確固たる実績を誇るSSWグスタヴィート(Gustavito)が自身8枚目となる新譜『Me Gusta!』をリリースした。プロデューサーにセーザル・ラセルダ(César Lacerda)を迎え、とりわけブラジル北東部音楽のフォホーに強く影響を受けた楽曲を多く収録した作品だ。

  • 2025-08-01
  • 2025-08-01

即興音楽、エレクトロ、詩的世界が相互作用するフレッヂ・セルヴァ&トリスタン・バルボサの傑作

ブラジル・ミナスジェライス州出身で、ヴィブラフォン奏者として知られるフレッヂ・セルヴァ(Fred Selva)が、アルゼンチンの詩人/歌手トリスタン・バルボサ(Tristán Barbosa)と共同名義でリリースした新譜『O Arpão Do Irreal』が驚きだ。エレクトロニック・アーティスト/ソロ・パフォーマーとしてのフレッヂの魅力が爆発した内容となっており、作編曲、演奏、音響、歌、詩が一体となった孤高の空間へと誘う。

  • 2025-07-26
  • 2025-07-26

ミナスを代表する総勢26名の音楽家が参加。7弦ギタリスト/作曲家ジュリアーノ・カマラ 初のソロ作

ミナスジェライス州チラデンテス出身の7弦ギタリスト/作曲家のジュリアーノ・カマラ(Juliano Camara)による素晴らしいソロデビュー・アルバム『Cabeças Flutuantes』が届いた。アルバムにはセルジオ・サントス(Sergio Santos)やハファエル・マルチニ(Rafael Martini)ら総勢26名の音楽家が集い、ミナスらしい豊かな複雑性と躍動感を兼ね備えた音の世界が広がる。

  • 2025-07-24
  • 2025-07-21

『Saga』:名手ヤマンドゥ・コスタが室内楽アンサンブルで紡ぐラテンアメリカの音楽叙事詩

ブラジルの7弦ギターの名手ヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)の新作は、アルゼンチンのバンドネオン奏者マルティン・スエド(Martin Sued)が率いるアンサンブルであるオルケストラ・アッシントマティカ(Orquestra Assintomática)とのコラボレーション・アルバム『Saga』だ。ブラジルやアルゼンチンを中心とした様々な南米音楽、それにジャズ、クラシックといった音楽の境界を易々と超え、自由に新しい音楽を紡いでゆく、豊かなスケールの作品となっている。

  • 2025-07-19
  • 2025-07-19

至上の“歌とピアノ”。サロマォン・ソアレス&ヴァネッサ・モレーノ、MPB名曲に吹き込む新しい風

ブラジルのピアニスト、サロマォン・ソアレス(Salomão Soares)と歌手ヴァネッサ・モレーノ(Vanessa Moreno)はこれまで2枚のデュオ・アルバムをリリースし、その度に大きな賞賛を浴びてきた。デュオ第3作となる『Outros Ventos』は、彼らが再びブラジル音楽に新しい風を吹き込む試みだ。リズムカルで自由で卓越したサロマォンのピアノと、透明で真っ直ぐな歌声と時折超絶的なスキャットも見せるヴァネッサのデュオは、今回も群を抜いて美しく素晴らしい。

  • 2025-07-12
  • 2025-07-07

MPB巨匠たちを支えるアルベルト・コンチネンチーノ、コロナ禍の内省を経て創造性を爆発させた新作

ブラジルを代表するベーシストであり、シンガーソングライターのアルベルト・コンチネンチーノ(Alberto Continentino)がソロとしては3枚目となる新譜『Cabeça a Mil e o Corpo Lento』をリリースした。MPBやジャズの伝統を音楽的な軸にしつつ、サウンドは非常に現代的かつドリーミーに洗練されており、極上のメロウ・ブラジリアン・ジャズポップを楽しめる作品に仕上がっている。

  • 2025-07-01
  • 2025-07-01

ノルデスチの気鋭SSW/ギタリスト、ジョシアラ。愛と欲望を直情的に表現する新譜『AVIA』

傑出した新世代のシンガーソングライターであり、パーカッシヴな演奏が高く評価されるギタリストであり、ブラジル北東部(ノルデスチ)の音楽シーンで独自の存在感を示すアーティストであるジョシアラ(Josyara)による3枚目のアルバム『AVIA』がリリースされた。物語を紡ぐように流れる全10曲はどれも素晴らしく、アフロブラジル音楽の新たな傑作と呼ぶべき高い完成度を誇る作品だ。

  • 2025-06-26
  • 2025-08-02

深淵な哲学と精神性を孕んだペドロ・イアコ最新作『Sangria』──現代ブラジル音楽芸術の重要作

これはとんでもない傑作だ。2017年にジョヴァンニ・イアシ(Giovanni Iasi)とのデュオでデビューし、称賛を浴びたブラジルのSSW/ギタリストのペドロ・イアコ(Pedro Iaco)は、2025年の新作『Sangria』で、単なるエンターテインメントとしての音楽に留まらない哲学や精神性を備えた限りなく美しい世界観を見せ、彼のアーティストとしての真髄を深く掘り下げている。

  • 2025-06-22
  • 2025-06-22

稀代のSSW/マルチ奏者アントニオ・ロウレイロ、複雑で洗練された7年ぶりソロ新譜『Aldeia Coração』

ブラジルのシンガーソングライター/マルチ奏者のアントニオ・ロウレイロ(Antonio Loureiro)がソロとしては4枚目となる新作アルバム『Aldeia Coração』をリリースした。ブラジルの多様な伝統・近代音楽や、世界中の才能溢れる音楽家たちから影響を受けながら、独自の音楽観や表現技法を築いてきた稀代のアーティストの究極的な到達点であると同時に、まだまだ可能性に満ちた未完の大器の現在地とも思える余白を残す、限りなく興味深い傑作だ。

  • 2025-06-21
  • 2025-06-20

ソダーデとサウダーヂの交叉点。ナンシー・ヴィエイラ&フレッヂ・マルチンス『Esperanca』

カーボベルデ出身ポルトガル在住の歌手ナンシー・ヴィエイラ(Nancy Vieira)と、ブラジル・リオデジャネイロ出身ポルトガル在住のSSWフレッヂ・マルチンス(Fred Martins)のデュオ作『Esperança』がリリースされた。基本的にギターと歌のみという最小限の編成で、カーボベルデの“ソダーデ”と、ブラジルの“サウダーヂ”(いずれも日本語では“郷愁”が近しい言葉とされる)が交叉する、普遍的で美しいアルバムだ。

  • 2025-06-14
  • 2025-06-14

ブラジル女性SSWの先駆者、ジョイス新作『O Mar é Mulher』は新しい『Feminina』だ

ブラジル音楽のマスター・ピースのひとつである『Feminina』(1980年)から45年。イノベーター、ジョイス・モレーノ(Joyce Moreno)は新作『O Mar é Mulher』で、再び彼女の原点に立ち返った。確かにその声は相応の年輪を刻んでいるが、ガットギターやピアノ、パーカッションによるサウンドは軽やかで瑞々しいまま、どういうわけか今も当時と似た課題を繰り返し抱える現代社会を抽象的に捉えるシンガー・ソングライターという芸術家の立場と役割を鋭く示す、近年の音楽作品の最高傑作とも思える輝きを静かに放つ。

  • 2025-06-11
  • 2025-06-13

EDM新時代を象徴する多才なデュオ、Sofi Tukker の新境地!新譜は全編、超良質なブラジル音楽

ニューヨークを拠点とする男女デュオ、ソフィ・タッカー(Sofi Tukker)が、2024年の前作『BREAD』の“ジャズ風の別人格”と呼ぶ新譜『butter』をリリースした。今作は『BREAD』収録曲の再構築が中心となっており、彼らのアイデンティティであるEDM1から一歩離れ、ブラジル音楽への深いリスペクトを根底に持つオーガニックなサウンドが特長で、ブラジルからは人気SSWのシウヴァ(Silva)やセウ・ジョルジ(Seu Jorge)、リニケル(Liniker)といったゲストを迎え、彼らの新境地を見せている。

  • 2025-06-10
  • 2025-06-09

サイケに尖るバイーア発の気鋭SSWジャジザ、アントニオ・ネヴィス・プロデュースの新作

ブラジルのSSW、ジャジザ(Jadsa)の2ndアルバム『big buraco』がリリースされた。非凡な才能で驚かせたデビュー作『Olho de Vidro』(2021年)から4年、今作はプロデューサーにリオの鬼才アントニオ・ネヴィス(Antônio Neves)を迎え、前作からより洗練・深化した極上のサウンドを聴かせてくれる傑作だ。