- 2026-03-06
- 2026-03-05
異なる音楽史を歩んだヴァイオリンとハベッカを再び統合しようとする、“ブラジルの弓”プロジェクト
7年の音楽的パートナーシップを経て、ヒカルド・ヘルス(Ricardo Herz)とヴァニーユ・ゴヴァールツ(Vanille Goovaerts)のヴァイオリン・デュオ作『Arcos Brasileiros』が発表された。二人は曲ごとに起源を共有する二つの弦楽器──ヴァイオリンとハベッカ──を使いわけ、文化的にふたつの楽器を分け隔てなく再統合しようとする。
7年の音楽的パートナーシップを経て、ヒカルド・ヘルス(Ricardo Herz)とヴァニーユ・ゴヴァールツ(Vanille Goovaerts)のヴァイオリン・デュオ作『Arcos Brasileiros』が発表された。二人は曲ごとに起源を共有する二つの弦楽器──ヴァイオリンとハベッカ──を使いわけ、文化的にふたつの楽器を分け隔てなく再統合しようとする。
カタルーニャのシンガーソングライター、マガリ・サーレ(Magalí Sare)の2026年新譜『DESCASADA, Vol. 1』は、単なる美しい楽曲のコレクションではない。これは、数世紀にわたり女性を縛り付けてきた「結婚」という制度、そしてそこからの解放を巡る、壮大な音楽的人類学の試みであり、アーティストとしての彼女にとって重要なマイルストーンでもある。
イングランド・ソリハル出身のピアニスト/作曲家エリオット・ジャック(Elliott Jack)が、パートナーの妊娠が発覚した2023年1月から作曲を開始し、初めての息子が誕生したあとの2024年6月まで制作を続けた『Night Light』。父性の芽生えをテーマとし、息子への贈り物としても機能する楽曲が収められており、録音はアップライトピアノの演奏をペダルの動きまで克明に生々しく捉えている。ブラームスの子守唄をアレンジした(5)「Lullaby, Op. 49 No. 4」を除き、全曲がエリオット・ジャックのオリジナルで、ジャズからポスト・クラシカルへ転向したという彼らしい個性が滲む。
驚くべき、素晴らしいヴィオラのソロ・アルバムである。イタリア出身のヴィオラ奏者、マルコ・ミシアーニャ(Marco Misciagna)によるバリオス=マンゴレ曲集『Agustín Barrios Mangoré』。クラシック・ギタリストに人気の「フリア・フロリダ」「蜜蜂」「大聖堂」といったバリオスの代表曲をヴィオラ1本で演奏し、これがヴィオラ特有の豊かな音の深みと相まって新鮮な感動を与えてくれる作品だ。
前作『The Chopin Project』に続く、カート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)& ジャン=ポール・ブロードベック(Jean-Paul Brodbeck)によるクラシック巨匠の遺産に探訪するプロジェクトの第二弾がリリースされた。今回はドイツの作曲家ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms, 1833 - 1897)。前作と同じくルーカス・トラクセル(Lukas Traxel, b)とホルヘ・ロッシー(Jorge Rossy, ds)を擁したジャズ・カルテットで、「ハンガリー舞曲」「子守歌」といった楽曲が収められている。
西洋クラシックの作曲家の名曲をアフロ・カリビアン音楽で再解釈するプロジェクトが人気の米国のピアニスト/作編曲家ヨアキム・ホースレイ(Joachim Horsley)が最新作『Afro Bach』をリリースした。その名のとおり、“音楽の父”ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685 - 1750)の名曲を独創的にカヴァーしており、そのアイディアに驚き(そしてたくさんの楽しさ)を提供してくれるアルバムとなっている。
チュニジア出身のウード奏者/作曲家アヌアル・ブラヒム(Anouar Brahem)の新譜『After the Last Sky』がリリースされた。ECMの傑作のひとつと称賛された前作『Blue Maqams』以来、実に8年ぶりとなる新作で、彼にとって初めての試みとなるチェロを加えた最大4人の編成でアラブ音楽やジャズ、クラシックを自然に融合させた美しい室内楽を聴かせてくれる作品となっている。
アルゼンチンを代表するギタリストのキケ・シネシ(Quique Sinesi)が、同国のチェリストのアストリッド・モトゥーラ(Astrid Motura)とのデュオで新譜『La Magia』を発表した。収録の7曲はすべてキケ・シネシの作曲で、純粋で淀みのない、彼らしい澄み切った美しい音楽をたっぷりと堪能できる作品となっている。
フランスの天才バンドネオン奏者ルイーズ・ジャリュ(Louise Jallu)の2024年作『Jeu』。ピアソラの生誕100周年を記念し絶賛された前作『Piazzolla 2021』(2021年)を経て、今作では自身の作曲を中心にシューマンやラヴェル、ブラッサンスといった影響を織り交ぜた多彩なアプローチを見せている。
ブラジルの若手ギタリストにおける最高峰のひとり、カイナン・カヴァルカンチ(Cainã Cavalcante)が新譜『Coração de Melodia』をリリースした。彼自身10枚目のアルバムとなる今作は自身のプロデュースによって制作され、レパートリーはブラジルの偉大な作曲家たちの楽曲を中心に据えている。
イタリアを代表するクラシックギター四重奏団、ギタリアン・カルテット(Guitalian Quartet)が、中南米の音楽をテーマにした新作『Latin Landscapes』をリリース。エルネスト・ナザレー、ピシンギーニャ、アルトゥロ・マルケスといった作曲家たちの代表曲を、独創的なアレンジで演奏しており、中南米音楽やクラシック・ギターのファンにはぜひ聴いてもらいたい作品となっている。
スペインを代表する歌手シルビア・ペレス・クルス(Sílvia Pérez Cruz)の新作『Lentamente』は、アルゼンチン最高のギター弾きのひとりであるフアン・ファルー(Juan Falú)との至上のデュオ作品となった。多くがアルゼンチンの作曲家たちの名曲のカヴァーで、一部にはブラジルの音楽、そして二人のオリジナルも1曲ずつ収録されている。
音楽の価値をその売上や再生回数で測ろうとするとき、フェデリコ・モンポウの初期作品『内なる印象』のまるまる全曲をピアノトリオでジャズアップして売り出したいという企画を提案すれば、おそらくそれは即却下となるだろう。極端に内気な性格故にその人生や作品にはほとんど光が当たらず、マニアを除いて語られる機会も少ないこの地味な作曲家が残した地味な曲たちは、今日でも殆ど顧みられることがない。
チェリスト/歌手のマヤ・ベルシッツマン(Maya Belsitzman)と、ピアニストのウリエル・ヘルマン(Uriel Herman)はともにクラシック音楽を学んでいた20年以上前からの友人だったが、これまでにレコーディングを行ったことはなかった。COVID-19によるパンデミックは彼らに再会と初めての録音の機会を与え、二人は事前のリハーサルも楽譜も計画も何もないままにスタジオに入り、互いに深い精神的な対話を重ねることによって僅かなコンポージングを即興で彩った素晴らしい音楽『Pauses in Shades』を作りあげた。