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ヨーロッパ

  • 2026-07-07
  • 2026-07-07

現代最高の越境型ピアノトリオ EYM Trio、世界各地での“ノマド・セッション”集大成

フランスの人気ピアノトリオ、EYM Trio はこれまで世界中をツアーする合間に、訪れた街の街角で、海辺で、廃墟で、ときには火山の火口付近で、「ノマド・セッション」と彼らが呼ぶ屋外セッションを繰り広げてきた。2019年から続けられてきたこのプロジェクトの動画は、2026年7月現在で13本あり、それらはYouTubeの彼らの公式チャンネルで観ることができる。2026年7月にデジタル・リリースされた彼らの新作『NOMAD SESSIONS』は、そのノマド・セッションの集大成的なアルバムだ。

  • 2026-07-07
  • 2026-07-07

【幻の音源】ビョーク × ミルトン・ナシメント × デオダート。1996年、リオで生まれた幻のカバー音源「Travessia」|映画『ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー』公開記念ミニコラム

ビョーク(Björk)がポルトガル語で歌い上げた、ミルトン・ナシメントの大名曲「Travessia(トラヴェシーア)」。録音には、オリジナルの「Travessia」のアレンジにも関わったエウミール・デオダートも参加している。エイズ撲滅支援の世界的プロジェクト『Red Hot + Rio』のために録音されながらも、結果的に公式リリースを見送られ、「幻の音源」となってしまった。当時の報道では、ビョークがこの仕上がりを気に入り、自身の新作のために取っておきたいと考えたためだと伝えられている。だが、その後の公式アルバムにも収録されず、現在知られている音源は、のちに一部の非公式コンピレーション(『Icelandic Mysteries』など)に収録された音源だ。現在のところ、正規のディスコグラフィーには残らない「アウトテイク」となってしまっている。

  • 2026-06-28
  • 2026-06-28

謎の三つ子、トキ三兄弟が先祖代々伝わる創作楽器で奏でるファンタジー・ワールド『Un dimanche à Monaco』

深編笠を被った三兄弟が、先祖代々から受け継いだ創作楽器を用い、国籍不明の独創的な音楽を奏でる──彼らはタコ・トキ(Tako Toki)という、フランスを拠点に活動するグループだ。グループ名は日本語のタコ(蛸)に、韓国語でウサギを表すトキ(토끼)を組み合わせたもの。先祖のルーツはベトナム、韓国、日本、沖縄、インドネシアに跨るらしい。

  • 2026-06-27
  • 2026-06-24

深い抒情を湛えた最高峰のヨーロッパ・ジャズ! ギター、ダブルベース、バンドネオンで紡がれる詩的な音楽

『Pont De Vie』はアコースティックギター、ダブルベース、バンドネオンのトリオ編成という珍しい作品ながら、地中海から北欧まで旅するようなシネマティックな音像が素晴らしく、静かな夜にじっくりと耳を傾けたい作品だ。演者はポーランド出身のギタリストのマチェク・ピシュ(Maciek Pysz)、ロシア出身のベース奏者ユーリ・ゴルベフ(Yuri Goloubev)、そしてイタリアのバンドネオン奏者ダニエレ・ディ・ボナヴェンチュラ(Daniele di Bonaventura)。

  • 2026-06-21
  • 2026-06-20

政治的に弾圧されたオクシタニアのフォークロアを現代に復興する女性デュオ、Cocanha。爆発的新譜『Flame Folclòre』

フランス南部オクシタニア地方の都市トゥールーズを拠点に活動する女性デュオ、コカーニャ(Cocanha)の3枚目となるアルバム『Flame Folclòre』には、長いあいだ周縁へと追いやられてきた言語と文化を現代へ取り戻そうとする強い意志が込められている。アルバムタイトルを直訳すれば「燃えるフォークロア」。彼女たちにとってフォークロア(伝統文化)とは、観光パンフレットの装飾でも、懐古趣味の対象でもない。Cocanhaの二人は本作を通じて、フォークロアを現在を生きるための文化的実践として再定義しようとしている。

  • 2026-06-10
  • 2026-06-08

洪水のような爆発的エネルギーを秘めたローザ・ブルネッロ新譜。強固なリズム、躍動するジャズ

イタリアのベーシスト/作曲家ローザ・ブルネッロ(Rosa Brunello)の2026年新譜『We Are Surging Waters』は、“私たちは押し寄せる水”を意味するタイトルが示すとおり、とてつもなく力強いジャズの傑作だ。トランペットのヤズ・アハメド(Yazz Ahmed)、バリトンサックスのテイマー・オズボーン(Tamar Osborn)、そしてトロンボーンのルカ・タピーノ(Luca Tapino)の強力な3管をフロントに据え、ただでさえ強いグルーヴに半数の曲ではツインドラムという編成で、強固な絆で結ばれた即興集団の本質的な強さを見せつける。

  • 2026-06-03
  • 2026-06-03

イタリアの新鋭SSWキアレ、ほろ苦さと微かな甘さの余韻に浸る新作EP『Sei』

イタリアのシンガーソングライター/マルチ奏者キアレ(Chiaré)が2026年1月にリリースしたEP『Sei』は、絶賛されたデビューアルバム『Chiaré』(2024年)からわずか2年足らずで発表された6曲入りの新作だ。イタリアのフォークにジャズやエレクトロニックの要素を織り交ぜ、洗練されたサウンドを展開。全曲がイタリア語とそのナポリ方言で歌われ、彼女の温かく繊細なヴォーカルが際立つ。

  • 2026-05-31
  • 2026-05-28

女性ヴァイオリン奏者率いるスウェーデンの北欧ジャズ・クインテット新譜『Phoenix』

ノルウェー出身、現在はスウェーデン・ヨーテボリを拠点とする女性ヴァイオリン奏者テレーセ・リーン・エヴェンスタ(Terese Lien Evenstad)率いるクインテットの2026年作『Phoenix』は、ヴァイオリンとクラリネットをフロントに据えた珍しいクインテット編成で、北欧ジャズ特有の静謐さだけではない、生命のエネルギーを感じさせる作品だ。

  • 2026-05-20
  • 2026-05-09

口腔から深淵へ。人生の得難さを歌う、カタルーニャの才媛シルビア・ペレス・クルス新譜

カタルーニャを代表するシンガーソングライター、シルビア・ペレス・クルス(Silvia Perez Cruz)が2026年5月にリリースした新譜『Oral_Abisal』を聴いて、私は「とてつもなく絵画的な音楽だな」と感じた。脳裏に即座に浮かぶのは、同郷の画家であるサルバドール・ダリ(Salvador Dalí)やジョアン・ミロ(Joan Miró)だ。心の奥底に眠る想像力が、夢のような自由さ(=シュルレアリスムという便利な言葉もある)で表現された彼らの絵が乗り移ったような世界観。“口腔から深淵へ”という大胆で挑戦的なタイトルからして、近年の充実した創作活動によってますます神秘性の増すシルビア・ペレス・クルスの集大成的な一枚と言っても過言ではなさそうだ。

  • 2026-05-13
  • 2026-05-07

「ジャズとダブには共通のDNAがある」イタリア発、ダブ・コレクティヴとサックス奏者の衝撃コラボ

イタリアのダブ・コレクティヴ、ウィキッド・ダブ・ディヴィジョン(Wicked Dub Division)とジャズサックス奏者フランチェスコ・ベアルザッティ(Francesco Bearzatti)による、驚くようなコラボレーション・アルバム『Jazz My Dub』。即興性を基調としながら、Wicked Dub Divisionの既存曲にベアルザッティのサックスが新たに加わるような形で「探求心・即興・自由」というジャズとダブの“共通のDNA”を探る、実験的なサウンドが面白い。

  • 2026-05-03
  • 2026-05-02

あらゆる世界に跨る巨木セイバのように。過去・現在・未来を繋ぐサイモン・ムーリエ新譜『Ceiba』

フランス出身のジャズ・ヴィブラフォン奏者、サイモン・ムーリエ(Simon Moullier)が早くも6作目となるアルバム『Ceiba』をリリースした。熱帯アメリカやアフリカに自生し、さまざまな文化で神聖視される巨木セイバをインスピレーションの源とし、ポスト・バップから現代のジャズ、そして未来のジャズまでをも見据えたエキサイティングな傑作だ。

  • 2026-04-29
  • 2026-04-24

「初めて長調の曲も収録」…次世代北欧ジャズの旗手ヨエル・リュサリデスの新章。『Late on Earth』

「静謐」と「強烈」、この一見相反するとも思える言葉が最も当てはまるというのが、スウェーデン出身のピアニスト、ヨエル・リュサリデス(Joel Lyssarides)への世間の評価らしい。私は彼の過去作について“まるで冬の冷たく引き締まった空気のように端正な音。クラシック音楽からの影響の強いジャズで、思慮深く紡いでいく絶妙なハーモニーは深呼吸したくなるほどの澄んだ美しさ”と評したが、なるほど、静謐なだけでなく「強烈」という言葉も言い得て妙だな、と2026年最新作『Late on Earth』を聴いて思った。

  • 2026-04-18
  • 2026-04-18

天才ギタリスト ビレリ・ラグレーンが魅せる、円熟のジャズギター。『Elegant People』

現生ジャズ・レジェンドのひとり、ビレリ・ラグレーン(Biréli Lagrène)。ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt, 1910 - 1953)の正統な後継者として幼少期より類稀な才能を示し、マヌーシュ・ジャズだけでなくフュージョンやジャズロックの分野でも活躍した彼の2026年の最新作『Elegant People』は、ジャズ・ギターの“原点回帰”であり、彼自身の根幹を形作る音楽表現を凝縮した作品だ。