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ヨーロッパ

  • 2026-06-03
  • 2026-06-03

イタリアの新鋭SSWキアレ、ほろ苦さと微かな甘さの余韻に浸る新作EP『Sei』

イタリアのシンガーソングライター/マルチ奏者キアレ(Chiaré)が2026年1月にリリースしたEP『Sei』は、絶賛されたデビューアルバム『Chiaré』(2024年)からわずか2年足らずで発表された6曲入りの新作だ。イタリアのフォークにジャズやエレクトロニックの要素を織り交ぜ、洗練されたサウンドを展開。全曲がイタリア語とそのナポリ方言で歌われ、彼女の温かく繊細なヴォーカルが際立つ。

  • 2026-05-31
  • 2026-05-28

女性ヴァイオリン奏者率いるスウェーデンの北欧ジャズ・クインテット新譜『Phoenix』

ノルウェー出身、現在はスウェーデン・ヨーテボリを拠点とする女性ヴァイオリン奏者テレーセ・リーン・エヴェンスタ(Terese Lien Evenstad)率いるクインテットの2026年作『Phoenix』は、ヴァイオリンとクラリネットをフロントに据えた珍しいクインテット編成で、北欧ジャズ特有の静謐さだけではない、生命のエネルギーを感じさせる作品だ。

  • 2026-05-20
  • 2026-05-09

口腔から深淵へ。人生の得難さを歌う、カタルーニャの才媛シルビア・ペレス・クルス新譜

カタルーニャを代表するシンガーソングライター、シルビア・ペレス・クルス(Silvia Perez Cruz)が2026年5月にリリースした新譜『Oral_Abisal』を聴いて、私は「とてつもなく絵画的な音楽だな」と感じた。脳裏に即座に浮かぶのは、同郷の画家であるサルバドール・ダリ(Salvador Dalí)やジョアン・ミロ(Joan Miró)だ。心の奥底に眠る想像力が、夢のような自由さ(=シュルレアリスムという便利な言葉もある)で表現された彼らの絵が乗り移ったような世界観。“口腔から深淵へ”という大胆で挑戦的なタイトルからして、近年の充実した創作活動によってますます神秘性の増すシルビア・ペレス・クルスの集大成的な一枚と言っても過言ではなさそうだ。

  • 2026-05-13
  • 2026-05-07

「ジャズとダブには共通のDNAがある」イタリア発、ダブ・コレクティヴとサックス奏者の衝撃コラボ

イタリアのダブ・コレクティヴ、ウィキッド・ダブ・ディヴィジョン(Wicked Dub Division)とジャズサックス奏者フランチェスコ・ベアルザッティ(Francesco Bearzatti)による、驚くようなコラボレーション・アルバム『Jazz My Dub』。即興性を基調としながら、Wicked Dub Divisionの既存曲にベアルザッティのサックスが新たに加わるような形で「探求心・即興・自由」というジャズとダブの“共通のDNA”を探る、実験的なサウンドが面白い。

  • 2026-05-03
  • 2026-05-02

あらゆる世界に跨る巨木セイバのように。過去・現在・未来を繋ぐサイモン・ムーリエ新譜『Ceiba』

フランス出身のジャズ・ヴィブラフォン奏者、サイモン・ムーリエ(Simon Moullier)が早くも6作目となるアルバム『Ceiba』をリリースした。熱帯アメリカやアフリカに自生し、さまざまな文化で神聖視される巨木セイバをインスピレーションの源とし、ポスト・バップから現代のジャズ、そして未来のジャズまでをも見据えたエキサイティングな傑作だ。

  • 2026-04-29
  • 2026-04-24

「初めて長調の曲も収録」…次世代北欧ジャズの旗手ヨエル・リュサリデスの新章。『Late on Earth』

「静謐」と「強烈」、この一見相反するとも思える言葉が最も当てはまるというのが、スウェーデン出身のピアニスト、ヨエル・リュサリデス(Joel Lyssarides)への世間の評価らしい。私は彼の過去作について“まるで冬の冷たく引き締まった空気のように端正な音。クラシック音楽からの影響の強いジャズで、思慮深く紡いでいく絶妙なハーモニーは深呼吸したくなるほどの澄んだ美しさ”と評したが、なるほど、静謐なだけでなく「強烈」という言葉も言い得て妙だな、と2026年最新作『Late on Earth』を聴いて思った。

  • 2026-04-18
  • 2026-04-18

天才ギタリスト ビレリ・ラグレーンが魅せる、円熟のジャズギター。『Elegant People』

現生ジャズ・レジェンドのひとり、ビレリ・ラグレーン(Biréli Lagrène)。ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt, 1910 - 1953)の正統な後継者として幼少期より類稀な才能を示し、マヌーシュ・ジャズだけでなくフュージョンやジャズロックの分野でも活躍した彼の2026年の最新作『Elegant People』は、ジャズ・ギターの“原点回帰”であり、彼自身の根幹を形作る音楽表現を凝縮した作品だ。

  • 2026-04-17
  • 2026-04-17

この世でもっとも美しく、憂いと悦びに満ちたカルテット Liberetto 深い抒情を湛えた新譜『Echomyr』

リリースのたびに深く美しい抒情性で極上の安らぎを与えてくれる「Liberetto」が、5年ぶりの完全なる新作で再び戻ってきてくれた。アルバムタイトルは 『Liberetto V: Echomyr』、「echo」は音が響き渡る広大な空間を表し、「myr」は古ノルド語で“荒野”を意味する造語なのだという。いつものように、親しみやすさの奥に隠された複雑な構造の美しい楽曲を、単に卓越した技巧だけではない“心の込められた”演奏で聴かせてくれる彼らの心の奥底から湧き上がる情熱と魂によって奏でられた音で、その空間は満たされている。

  • 2026-04-03
  • 2026-04-02

ブラジル出身気鋭ギター奏者ルーカス・エチェヴェリア。K.ローゼンウィンケル参加の色彩豊かな新譜

ブラジル出身、現在はドイツを拠点に活動する気鋭ギタリスト/作曲家ルーカス・エチェヴェリア(Lucas Etcheverria)が、2作目となるフルレンス・アルバム『Color Is a Gift』をリリースした。ドラムス、ダブルベースとのトリオを軸に、カート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)を含むゲストを交え、卓越したコンポージングのセンスと豊かな色彩のバンド・アンサンブルが魅力の作品となっている。

  • 2026-04-01
  • 2026-03-31

気鋭トランペッター、ハーモン・メハリとフランスの知的ジャズの見事な融合。『(un)Seen』

アメリカ・テキサス州出身のエリトリア系トランペット奏者ハーモン・メハリ(Hermon Mehari)と、3人のフランス人音楽家──ピアニストのエンゾ・カルニエル(Enzo Carniel)、ベーシストのダミアン・ヴァライヨン(Damien Varaillon)、ドラマーのステファン・アズュアール(Stephane Adsuar)──によるカルテット、ナウ・ビューティ(NO(w) Beauty)による2枚目のアルバム『(un)Seen』。伝統的なジャズと、フランスらしい多文化がもたらす知的な音楽的探求が楽しい作品だ。

  • 2026-03-22
  • 2026-03-20

UK現代ジャズ最前線!ママール・ハンズがGoGo Penguinのドラマーを得て初のアルバム『Circadia』

UKを代表するジャズトリオ、ママール・ハンズ(Mammal Hands)。新しいドラマーとして元ゴーゴー・ペンギン(GoGo Penguin)のロブ・ターナー(Rob Turner)が加わり、さらにレーベルをゴンドワナ・レコード(Gondwana Records)からアクト(ACT)に移しての最初のアルバム『Circadia』がリリースされた。タイトルは生物の約24時間周期のリズムである「サーカディアン・リズム(概日リズム)」に由来する造語で、循環や反復するリズムの上で自由な即興を繰り広げる彼らの音楽性を象徴している。

  • 2026-03-01
  • 2026-02-21

円熟のベーシスト、マーティン・ウィンドが巨匠ケニー・バロン擁するカルテットで豊かに描くジャズ

ドイツ出身のベーシスト/作曲家、マーティン・ウィンド(Martin Wind)が、ジャズの名手たちを集めたカルテットで語り合うように音を紡ぐアルバム『Stars』をリリースした。ピアノにケニー・バロン(Kenny Barron)、クラリネットにアナット・コーエン(Anat Cohen)、ドラムスにはマット・ウィルソン(Matt Wilson)というオールスター級のメンバーを揃え、音楽の悦びが静かに滲むようなインタープレイが素晴らしい作品となっている。

  • 2026-02-27
  • 2026-02-23

多文化混交で沸き立つベルギーの現代JAZZ!若手トロンボーン奏者ネイサン・シュルカン『Ambre』

ベルギー出身のトロンボーン奏者/作曲家ネイサン・シュルカン(Nathan Surquin)の初リーダー作『Ambre』がリリースされた。オランダのサックス奏者ルーク・ファン・デン・ベルフ(Loek Van Den Berg)のアルバム『Seafarer』(2025年)で、サイドマンながら一際光る演奏を見せていた若きアーティストが自身の感性を思い切り出し切った、傑出した作品だ。