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ヨーロッパ

  • 2026-08-26
  • 2026-08-24

イタリア最高峰ピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ名盤『Racconti mediterranei』

イタリアのピアニスト/作曲家エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)が変則ピアノトリオで録音した2000年のアルバム『Racconti mediterranei』を聴き返している。サルヴァドール・ソブラルが2017年のユーロビジョン・ソングコンテストの授賞式で無邪気に言い放った言葉を借りれば、“内容のほとんどない、使い捨ての無意味な音楽が蔓延するこの世界”なのだからこそ、ときどきはこういう本物の音楽に立ち返り、体の芯から暖かく沸き立つような人間らしい感情の震えに身を任せたくなるのだ。

  • 2026-08-19
  • 2026-08-18

Shake Stew、10周年を記念する新譜『TEN ONE TWO』で見せたクラウトジャズの到達点

オーストリア・ウィーンを拠点とするジャズ集団シェイク・スチュー(Shake Stew)は、2016年の結成以降、その先進的な音楽性で注目を浴び、とりわけクラウトロックの反復するリズムやサイケデリックな感覚と現代ジャズやアフロビートなどを融合させた“クラウトジャズ”の代表格として称賛を浴びてきた。結成10周年を記念して制作された2枚組大作『TEN ONE TWO』は、そうした彼らの歩みを総括すると同時に、次の10年へ向けた宣言でもある。

  • 2026-08-12
  • 2026-08-02

スウェーデンのSSWスミエ・ナガノ 病を経て命と向き合った、儚げな北欧フォーク作『Stardust In Valleys』

スウェーデンのシンガーソングライター、スミエ(Sumie、本名サンドラ・スミエ・ナガノ)の9年ぶりとなるアルバム『Stardust In Valleys』は、ギターと声を中心としたシンプルなサウンドによって、驚くほど豊かな感情を包み込んだ優れた北欧フォーク作品だ。

  • 2026-08-11
  • 2026-08-10

G.ミラバッシ直系ピアニスト、トリスタン・メリアが奏でる至極耽美なソロピアノ『The Bird in My Heart』

フランスの新鋭ピアニスト、トリスタン・メリア(Tristan Mélia)のソロピアノ作『The Bird in My Heart』が素晴らしい。アルバムはピアノ演奏、録音、ミキシング、マスタリングがすべて彼自身によって行われており、真に内省的な制作プロセスを通じて生み出された音にはアーティストの独白が綴られており、さらにはその奥に秘められた彼の魂の咆哮を感じさせる。3曲のカヴァーと、5曲のオリジナルを収録。

  • 2026-07-26
  • 2026-08-27

成熟した北欧ジャズの極致。“感謝”をテーマにしたソーレン・ベーベ・トリオ新作『Gratitude』

北欧を代表するピアノトリオ、ソーレン・ベーべ・トリオ(Søren Bebe Trio)による9枚目のスタジオ・アルバム『Gratitude』がリリースされた。デンマークの音楽賞にノミネートされた前作『Here Now』(2023年)で確立された、ベーシストのカスパー・テーイル(Kasper Tagel)とドラマーのクヌート・フィンスルー(Knut Finsrud)とのピアノトリオ編成で、オリジナル曲を中心に北欧らしい抑制された美学が貫かれた作品となっている。

  • 2026-07-07
  • 2026-07-07

現代最高の越境型ピアノトリオ EYM Trio、世界各地での“ノマド・セッション”集大成

フランスの人気ピアノトリオ、EYM Trio はこれまで世界中をツアーする合間に、訪れた街の街角で、海辺で、廃墟で、ときには火山の火口付近で、「ノマド・セッション」と彼らが呼ぶ屋外セッションを繰り広げてきた。2019年から続けられてきたこのプロジェクトの動画は、2026年7月現在で13本あり、それらはYouTubeの彼らの公式チャンネルで観ることができる。2026年7月にデジタル・リリースされた彼らの新作『NOMAD SESSIONS』は、そのノマド・セッションの集大成的なアルバムだ。

  • 2026-07-07
  • 2026-07-07

【幻の音源】ビョーク × ミルトン・ナシメント × デオダート。1996年、リオで生まれた幻のカバー音源「Travessia」|映画『ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー』公開記念ミニコラム

ビョーク(Björk)がポルトガル語で歌い上げた、ミルトン・ナシメントの大名曲「Travessia(トラヴェシーア)」。録音には、オリジナルの「Travessia」のアレンジにも関わったエウミール・デオダートも参加している。 エイズ撲滅支援の世界的プロジェクト『Red Hot + Rio』のために録音されながらも、結果的に公式リリースを見送られ、「幻の音源」となってしまった。当時の報道では、ビョークがこの仕上がりを気に入り、自身の新作のために取っておきたいと考えたためだと伝えられている。だが、その後の公式アルバムにも収録されず、現在知られている音源は、のちに一部の非公式コンピレーション(『Icelandic Mysteries』など)に収録された音源だ。現在のところ、正規のディスコグラフィーには残らない「アウトテイク」となってしまっている。

  • 2026-06-28
  • 2026-06-28

謎の三つ子、トキ三兄弟が先祖代々伝わる創作楽器で奏でるファンタジー・ワールド『Un dimanche à Monaco』

深編笠を被った三兄弟が、先祖代々から受け継いだ創作楽器を用い、国籍不明の独創的な音楽を奏でる── 彼らはタコ・トキ(Tako Toki)という、フランスを拠点に活動するグループだ。グループ名は日本語のタコ(蛸)に、韓国語でウサギを表すトキ(토끼)を組み合わせたもの。先祖のルーツはベトナム、韓国、日本、沖縄、インドネシアに跨るらしい。

  • 2026-06-27
  • 2026-06-24

深い抒情を湛えた最高峰のヨーロッパ・ジャズ! ギター、ダブルベース、バンドネオンで紡がれる詩的な音楽

『Pont De Vie』はアコースティックギター、ダブルベース、バンドネオンのトリオ編成という珍しい作品ながら、地中海から北欧まで旅するようなシネマティックな音像が素晴らしく、静かな夜にじっくりと耳を傾けたい作品だ。 演者はポーランド出身のギタリストのマチェク・ピシュ(Maciek Pysz)、ロシア出身のベース奏者ユーリ・ゴルベフ(Yuri Goloubev)、そしてイタリアのバンドネオン奏者ダニエレ・ディ・ボナヴェンチュラ(Daniele di Bonaventura)。

  • 2026-06-21
  • 2026-06-20

政治的に弾圧されたオクシタニアのフォークロアを現代に復興する女性デュオ、Cocanha。爆発的新譜『Flame Folclòre』

フランス南部オクシタニア地方の都市トゥールーズを拠点に活動する女性デュオ、コカーニャ(Cocanha)の3枚目となるアルバム『Flame Folclòre』には、長いあいだ周縁へと追いやられてきた言語と文化を現代へ取り戻そうとする強い意志が込められている。アルバムタイトルを直訳すれば「燃えるフォークロア」。彼女たちにとってフォークロア(伝統文化)とは、観光パンフレットの装飾でも、懐古趣味の対象でもない。Cocanhaの二人は本作を通じて、フォークロアを現在を生きるための文化的実践として再定義しようとしている。

  • 2026-06-10
  • 2026-06-08

洪水のような爆発的エネルギーを秘めたローザ・ブルネッロ新譜。強固なリズム、躍動するジャズ

イタリアのベーシスト/作曲家ローザ・ブルネッロ(Rosa Brunello)の2026年新譜『We Are Surging Waters』は、“私たちは押し寄せる水”を意味するタイトルが示すとおり、とてつもなく力強いジャズの傑作だ。トランペットのヤズ・アハメド(Yazz Ahmed)、バリトンサックスのテイマー・オズボーン(Tamar Osborn)、そしてトロンボーンのルカ・タピーノ(Luca Tapino)の強力な3管をフロントに据え、ただでさえ強いグルーヴに半数の曲ではツインドラムという編成で、強固な絆で結ばれた即興集団の本質的な強さを見せつける。

  • 2026-06-03
  • 2026-06-03

イタリアの新鋭SSWキアレ、ほろ苦さと微かな甘さの余韻に浸る新作EP『Sei』

イタリアのシンガーソングライター/マルチ奏者キアレ(Chiaré)が2026年1月にリリースしたEP『Sei』は、絶賛されたデビューアルバム『Chiaré』(2024年)からわずか2年足らずで発表された6曲入りの新作だ。イタリアのフォークにジャズやエレクトロニックの要素を織り交ぜ、洗練されたサウンドを展開。全曲がイタリア語とそのナポリ方言で歌われ、彼女の温かく繊細なヴォーカルが際立つ。

  • 2026-05-31
  • 2026-05-28

女性ヴァイオリン奏者率いるスウェーデンの北欧ジャズ・クインテット新譜『Phoenix』

ノルウェー出身、現在はスウェーデン・ヨーテボリを拠点とする女性ヴァイオリン奏者テレーセ・リーン・エヴェンスタ(Terese Lien Evenstad)率いるクインテットの2026年作『Phoenix』は、ヴァイオリンとクラリネットをフロントに据えた珍しいクインテット編成で、北欧ジャズ特有の静謐さだけではない、生命のエネルギーを感じさせる作品だ。