- 2024-12-21
- 2024-12-19
ピアノとクラリネットの至高のアート・ジャズ。Pierre-François Blanchard 新譜『#puzzled』
フランスのピアニスト/作曲家、ピエール=フランソワ・ブランシャール(Pierre-François Blanchard)の新作『#puzzled』。クラリネット奏者のトーマス・サヴィ(Thomas Savy)とともに、水鏡に映した自分自身との果てない対話のような哲学的な時間が流れる、とても美しい作品だ。
フランスのピアニスト/作曲家、ピエール=フランソワ・ブランシャール(Pierre-François Blanchard)の新作『#puzzled』。クラリネット奏者のトーマス・サヴィ(Thomas Savy)とともに、水鏡に映した自分自身との果てない対話のような哲学的な時間が流れる、とても美しい作品だ。
イスラエル・テルアビブのSSW、アナット・モシュコフスキー(Anat Moshkovski)の初のフルレンス・アルバム『ANAT』が素晴らしい。1970年代前後のフォークロックやフレンチポップの手触りのある良質なポップスで、アコースティック楽器を軸にした室内楽的な優しいサウンドに英語やフランス語の歌詞を乗せて優美に歌う。
クラリネット奏者のルイ・スクラヴィス(Louis Sclavis)、そしてピアニストのベンジャミン・モウゼイ(Benjamin Moussay)というフランスを代表する二人の音楽家によるデュオ作品『Unfolding』がECMからリリースされている。25年の長い歳月を良き音楽パートナーとして協力しあってきた二人は近年デュオ演奏にも力を入れており、ヨーロッパ・ツアーでも人気を博してきた。今作はその集大成的な作品で、極度に集中した音空間で至上の音楽を探究している。
フランスのベース奏者、ルノー・ガルシア=フォン(Renaud Garcia-Fons)の2024年新譜『Blue Maqam』は、娘でシンガーのソレア・ガルシア=フォン(Solea Garcia-Fons)をフィーチュアしたカルテットによってアンダルシアからアナトリアに至る地中海周辺音楽、さらには中東やインドまでの種類豊かな音楽を独自のベースを軸に表現する優れたアルバムだ。
フランスのチェロ奏者/作曲家アデル・ヴィレ(Adèle Viret)のデビュー・アルバム『Close to the Water』が素晴らしい。チェロ、トランペット、ピアノ、ドラムスというジャズの編成としては珍しいフォーマットで、混ざり合う地中海周辺の世界の“今”を体現するような複雑さと美しさが織り重なる。
フランス育ちのアルジェリア系チェリスト/歌手/作曲家のネスリーヌ(Nesrine)の新作『Kan Ya Makan (Once Upon a Time)』がリリースされた。ジャズ、北アフリカの伝統音楽、西洋クラシック音楽、R&Bなどか混合する個性的で非常に豊かな色彩を持った作品だ。
フランスのジャズ・トランペットのスーパースター、イブラヒム・マアルーフ(Ibrahim Maalouf)が16枚目のスタジオ・アルバム『Trumpets of Michel-Ange』をリリースした。編集やオーバーダブを用いず、大人数のバンドでライヴ録音された作品で、凄まじいほどの熱を帯びる。“ミケランジェロのトランペット”というタイトルは単にアルバムのタイトルというだけでなく、半世紀以上前に彼の父親が発明し、彼のトレードマークでもあるユニークな四分音トランペットを世界に広め、誰もが楽しめるようにすることを最終目標とする、大規模な教育プロジェクトの名称(T.O.M.A.)でもある。
マルティニークにルーツを持つフランス人ピアニスト/作曲家ジョルジュ・グランヴィル(Georges Granville)がミシェル・アリーボ(Michel Alibo, b)とアーノウ・ドルメン(Arnaud Dolmen, ds)という名手と組んだアコースティック・ピアノトリオ作品『Perspectives』は、フランスらしい抒情性と、3人の故郷であるマルティニークやグアドループの伝統的な音楽のエッセンスが融合した優れたジャズ・アルバムだ。
歌手オリアーヌ・ラカイユ(Oriane Lacaille)をフィーチュアしたレユニオン島の音楽・マロヤを受け継ぐフランスのバンド、ボンボン・ヴォドゥ(Bonbon Vodou)の2024年新作EP『Afrodiziak』が素晴らしくヤバい。たった4曲のEPだが、これは必聴だ。多数のパーカッションが生み出す南国のグルーヴ(それは決してマロヤの範疇に留まらない)と、フランス語とレユニオン・クレオール語による新鮮なサウンドが耳を貫き、体を激しく揺さぶる。
英国エディンバラを拠点に活動する男女デュオ、エディ・フォーレイ(Edy Forey)のデビューアルバム『Culture Today』が絶品だ。ジャズ、ネオソウル、エレクトロニックなどが抜群のセンスで配合されたサウンドは多くのリスナーに強く訴求することができるだろう。
ブラジル・サンパウロ出身で、サンパウロとフランス・パリの二拠点で活動するシンガーソングライター、ナンナ・ミラーノ(Nanná Millano)の極上のデビューアルバム『Can't Translate Saudade』。ボサノヴァ、ジャズ、MPB、フレンチポップなどがほのかに香る非常に完成度の高いサウンドで、新世代の歌姫の登場を強く印象づける。
フランスのトロンボーン奏者/作曲家ロビンソン・クーリー(Robinson Khoury)の新作『MŸA』は、アラビア音楽の旋法、デジタル・パーカッションやアナログシンセなどエレクトロニックの多用が特徴的な前衛的ジャズ作品。
エジプトの天才的ウード奏者モハメド・アボゼクリ(Mohamed Abozekry)の新作『Roh El Fouad』。とかく伝統楽器としての側面が注目され、古典的な振る舞いを求められがちなウードという楽器の伝統に囚われない自由で先進的な演奏が新鮮。6人編成のバンドでアラビック・ミュージックをジャズの語法に持ち込んだ、大胆かつ美しいアルバムだ。
フランスのベーシスト/作曲家シルヴァン・ダニエル(Sylvain Daniel)の新譜『SlyDee』は、スライ&ザ・ファミリーストーン(Sly & the Family Stone)やハービー・ハンコック(Herbie Hancock)といった1970年代のジャズ/フュージョン、ジェームス・ブラウン(James Brown)のファンク、さらにはエレクトリック・マイルスやヒップホップを経由した時代を超越する豪華なサウンドを聴かせてくれる楽しいアルバムだ。