- 2026-05-03
- 2026-05-02
あらゆる世界に跨る巨木セイバのように。過去・現在・未来を繋ぐサイモン・ムーリエ新譜『Ceiba』
フランス出身のジャズ・ヴィブラフォン奏者、サイモン・ムーリエ(Simon Moullier)が早くも6作目となるアルバム『Ceiba』をリリースした。熱帯アメリカやアフリカに自生し、さまざまな文化で神聖視される巨木セイバをインスピレーションの源とし、ポスト・バップから現代のジャズ、そして未来のジャズまでをも見据えたエキサイティングな傑作だ。
フランス出身のジャズ・ヴィブラフォン奏者、サイモン・ムーリエ(Simon Moullier)が早くも6作目となるアルバム『Ceiba』をリリースした。熱帯アメリカやアフリカに自生し、さまざまな文化で神聖視される巨木セイバをインスピレーションの源とし、ポスト・バップから現代のジャズ、そして未来のジャズまでをも見据えたエキサイティングな傑作だ。
ラモマリ(Lamomali)は、フランスを代表するシンガーソングライター、「-M-」ことマチュー・シェディッドが、マリの巨匠コラ奏者であるトゥマニ・ジャバテとその息子バラ・ジャバテ、そして歌手のファトゥマタ・ジャワラと共に結成したユニットで、彼の西アフリカ、とりわけマリ共和国の音楽文化への愛情の結晶だ。 2025年末にリリースされた2枚組アルバム『Lamomali Je t'aime』はその集大成で、西アフリカの伝統的な音楽と西洋音楽が高度に融合した音楽性、そして何よりも文化を超えた人々の繋がりを感じさせる素晴らしい作品だ。
現生ジャズ・レジェンドのひとり、ビレリ・ラグレーン(Biréli Lagrène)。 ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt, 1910 - 1953)の正統な後継者として幼少期より類稀な才能を示し、マヌーシュ・ジャズだけでなくフュージョンやジャズロックの分野でも活躍した彼の2026年の最新作『Elegant People』は、ジャズ・ギターの“原点回帰”であり、彼自身の根幹を形作る音楽表現を凝縮した作品だ。
2025年初頭にEP『Fantastik』で注目を集め、その後(6)「Soleil Bleu」のバイラルヒットなどで更なる注目を集めたフランスのシンガーソングライター、ルイーザ(LUIZA)の待望の初フルレンス・アルバム『Luiza』がリリースされた。幼少期からブラジル音楽やフレンチポップ、ワールドミュージック、レゲエといった文化に囲まれて育った彼女のハイブリッドなポップセンスが凝縮された内容で、“トロピカル・ポップの新たなヒロイン”を強く印象づけるものとなっている。
「冷戦でソ連が勝った世界線」を夢想するフランスのデュオ・ユニット、ソヴィエ・シュプレム(Soviet Suprem)の4thアルバム『Rouge』がリリースされた。前作『Made in China』は現代の社会主義大国・中国を中心にアジアをテーマとしたが、今作では原点であるソヴィエト的世界観に立ち返り、鮮烈なルージュ=赤(もちろんそれは共産主義の象徴的な色だ)をジャケットに掲げ、ブラックユーモアで社会を皮肉る。
アメリカ・テキサス州出身のエリトリア系トランペット奏者ハーモン・メハリ(Hermon Mehari)と、3人のフランス人音楽家──ピアニストのエンゾ・カルニエル(Enzo Carniel)、ベーシストのダミアン・ヴァライヨン(Damien Varaillon)、ドラマーのステファン・アズュアール(Stephane Adsuar)──によるカルテット、ナウ・ビューティ(NO(w) Beauty)による2枚目のアルバム『(un)Seen』。伝統的なジャズと、フランスらしい多文化がもたらす知的な音楽的探求が楽しい作品だ。
カリブ海に浮かぶフランス領マルティニーク出身のピアニスト/シンガーソングライター、グレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)の新譜『Darling』。現代クレオール・ジャズの傑作と言って過言ではない傑作だろう。ソロピアノ作品『Yonn』(2022年)やトリオでの野心作『Phoenix』(2024年)を経て、今回のソロ作は彼のキャリアの頂点のように感じる。
現代のマグレブ社会を象徴するシンガーソングライター、スアド・マッシ(Souad Massi) の新作のタイトル『Zagate』は、フランス語で「事態は悪化している」を意味する「ça se gâte」に由来するアルジェリア風スラングだという。この作品は、四半世紀前にアルジェリアからフランスに亡命し、今もなお社会的なテーマを創造力の源とする彼女による、混乱や暴力や人種差別、戦争が絶えない現代社会への鋭利な警告だ。
フランス・リヨンを拠点とするピアノトリオ、フェーン・トリオ(Foehn Trio)の4枚目のアルバム『Soleil de Minuit』がリリースされた。これまでの作品で、現代的なアコースティック・ピアノトリオとしてアヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)などのイスラエルジャズに影響を受けたサウンドで強い印象を与えてきた彼らだが、今作ではその基盤を残しつつもエレクトロニックの比重が大幅に増加。さらにはエチオピア系フランス人シンガーのフルール・ウォルク(Fleur Worku)を3曲でフィーチュアするなど、新基軸を示す鮮烈な作品となっている。
トルコ出身のシンガーソングライター/クラリネット奏者、エズギ・セヴギ・ジャン(Ezgi Sevgi Can)によるデビュー・アルバム『Karanfiller』が素晴らしい。全曲がエズギ・セヴギ・ジャンの作詞作曲で、彼女自身はヴォーカルとクラリネットを担当。サウンドは親しみやすい西洋音楽と、マカームに根差した微分音や変拍子が見事に融合しており、音楽的にも新鮮な感動がある作品だ。しかしその裏には、彼女と彼女の家族をめぐる悲劇的な運命と、15年以上にわたって闘い続ける、彼女の強さが隠されていた。
フランスを拠点に活動するブラジリアン・ジャズ・コレクティヴ、サポカヤ(Sapocaya)。大編成のバンドが織りなすサウンドは、ブラジルの豊かな伝統音楽を土台に、ジャズの即興性とアフロ・カリビアンの躍動するリズムも融合させた、まるで生命の鼓動のような活き活きとしたエネルギーに満ちている。2025年末に待望のリリースを迎えた初のフルレンス・アルバム『Elementos』は、アマゾンの先住民族の叡智から着想を得た傑作で、自然界の四元素(地・風・火・水)をテーマに、リスナーを神秘的な旅へと誘う素晴らしい作品だ。
フランスのドラマー/作曲家、ステファン・シャルレ(Stéphane Scharlé)が率い、“フランスの爆発的ジャズ(French Explosive Jazz)”を標榜するバンド、オズマ(Ozma)の2025年新譜『The Day We Decided to Live at Night』は、これまでの彼のキャリアの中で最もパーソナルな作品だという。テーマは「愛すべき蛇、火の妖精、金属の魔女、子供たちの悪戯、柔らかく慰める弦」。幻想的で詩的なイメージを現代的なプログレッシヴ・ジャズで表現しており、暴力と優しさという対立する要素を同じ銀貨の表裏のように描いている。
現代ムガームジャズの旗手であるピアニスト/作曲家エディバル・アサドリ(Etibar Asadli)の2026年新譜『WYA』は、アゼルバイジャンのアイデンティティたるムガームジャズが醸す独特の東欧・中東・西アジアの文化境界的テクスチャーと、エレクトロニックやヒップホップ、アンビエントなどの複合的な音楽要素が絡み合う、一種独特な洗練を見せた興味深い作品だ。