- 2024-11-12
- 2024-11-12
最高の歌手シルビア・ペレス・クルスが最高のギター奏者フアン・ファルーと奏でる至福の南米音楽
スペインを代表する歌手シルビア・ペレス・クルス(Sílvia Pérez Cruz)の新作『Lentamente』は、アルゼンチン最高のギター弾きのひとりであるフアン・ファルー(Juan Falú)との至上のデュオ作品となった。多くがアルゼンチンの作曲家たちの名曲のカヴァーで、一部にはブラジルの音楽、そして二人のオリジナルも1曲ずつ収録されている。
スペインを代表する歌手シルビア・ペレス・クルス(Sílvia Pérez Cruz)の新作『Lentamente』は、アルゼンチン最高のギター弾きのひとりであるフアン・ファルー(Juan Falú)との至上のデュオ作品となった。多くがアルゼンチンの作曲家たちの名曲のカヴァーで、一部にはブラジルの音楽、そして二人のオリジナルも1曲ずつ収録されている。
コロンビアを代表する女性シンガーソングライター、マルタ・ゴメス(Marta Gómez)による新作『Seré Guitarra』がリリースされた。子供時代のインスピレーションをもとにしたという純真な感性に満ちた作品となっており、オリジナル曲には世界を変えることはできないかもしれないが、少なくともそれを試みようという詩的なメッセージが散りばめられている。
カーボベルデ出身のSSW、マイラ・アンドラーデ(Mayra Andrade)の5年ぶりのアルバム『reEncanto (Live at Union Chapel)』は、自身2枚目となるライヴ盤となった。歴史ある教会でありながら、優れた音響のライヴ・コンサート会場としても有名なロンドンのユニオン・チャペルで2023年11月に行われた演奏を記録したもので、伴奏者はギターのジョジェ・アルメイダ(Djodje Almeida)のみという編成で極上のクレオール・ポップのひとときを味わえる。
ブラジルの名手、ギタリストのアンドレ・シケイラ(André Siqueira)とアコーディオン奏者のトニーニョ・フェハグッチ(Toninho Ferragutti)が、ブラジル音楽史最高のギタリストと称えられるガロート(Garoto)が遺したワルツ曲集『Valsas de Garoto』をリリースした。その洗練された楽曲、そしてアレンジと演奏は驚くばかりで、クラシカルな優美さと、フランスのミュゼットにも通じる静かに踊りたくなるような抒情性、ショーロの即興に潜む独特のサウダーヂは、どれをとっても一級品だ。
イスラエルのシンガーソングライター/ギタリストのナルキス・ラアム(Narkis Raam, ヘブライ語表記:נרקיס רעם)のデビュー・アルバム『אחיזה אחרת』がとても良い。穏やかで瑞々しい彼女の歌とギターを中心としつつ、センスよく注意深くアレンジされた控えめなバンドによる彩りが添えられている。
作曲家/ギタリストのシュブ・サラン(Shubh Saran)が新作EP『Being Anybody Else』をリリースした。インドの外交官の息子として各国を転々として多様な文化の中で育ちグローバルな感覚を身につけると同時に、それはつまり逆説的に彼の帰属意識を希薄にしており、“アイデンティティの探求”はこれまでの彼の作品における重要なテーマでもあった。今回の作品は各メディアから絶賛された前作『Inglish』のささやかな続編とも言える内容で、楽曲のタイトルにも彼がいまだに自己探究の途上でその心を浮き沈みさせている様が垣間見える。
2021年のデビュー作『Human Nature』が絶賛され、新世代の有力なボサノヴァ・ミュージシャンとして名乗りをあげたNYのSSWジョン・ローズボロ(John Roseboro)が待望の2枚目となるフルアルバム『Fools』をリリース。メイ・シモネスをはじめブルックリンの実力派の友人たちが強力にジョン・ローズボロをサポートしており、前作でも味を出していた程よい塩梅のユルさはそのままに、アンサンブルの魅力も楽しめる極上の一枚となっている。
ギタリストのギンガ(Guinga)とアコーディオン奏者のベベ・クラメール(Bebê Kramer)、ブラジルの2人のベテランによるデュオ作『Par Constante』がリリースされた。収録曲はラストのベベ・クラメール作曲の(8)「A casa」を除きすべてギンガの作曲で、彼のファンにとってはお馴染みの名曲たちを実に慈しみ深い2人による演奏で楽しめる極上の作品だ。
アナット・コーエン(Anat Cohen)は、僕が毎年そのリリースを超楽しみにしているアーティストのひとりだ。卓越したクラリネット奏者であり、特に“ブラジル音楽”への新しい視点を提供してくれる彼女のアルバムはどれも音楽がどれだけ美しく、楽しいものであるかを完璧に伝えてくれる。それは2024年の彼女の新作『Quartetinho: Bloom』でも変わらなかった。
スコットランドのジャズトリオ、Trio HLK が2ndアルバムとなる『Anthropometricks』をリリースした。鍵盤奏者/作曲家のリッチ・ハロルド(Rich Harrold)、8弦ギター奏者アント・ロウ(Ant Law)、そしてドラマーのリッチ・カス(Rich Kass)の頭文字から取られたこのトリオは、伝統的なジャズやクラシックの枠に囚われない自由な発想で聴き応え抜群の音楽を発信している。
アナログ機材によるローファイな質感のサイケデリック&ファンキーなバンドサウンドを聴きたいなら、イタリアで大人気のシネマティック・ファンクバンド、カリブロ35(Calibro 35)に注目すべきだ。2007年の結成以降、多数のオリジナル・アルバムや映画のサウンドトラック制作などで絶大な人気を得て、イタリアの音楽シーンのある一辺をリードする存在となった彼らが2022年作『Scacco al Maestro, Vol. 1』、『Scacco al Maestro, Vol. 2』でのエンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone, 1928 - 2020)への無限の愛情の表明を経てリリースした最新作『Nouvelles Aventures』(2023年)は、変わらず勢いのある意欲的で素晴らしい音楽作品に仕上がっている。
『Julieta No Convés』はギンガ(Guinga)とアナ・パエス(Anna Paes)の双頭名義の新作。収録曲はほぼ全てがギンガの未発表曲で、アルヂール・ブランキやパウロ・セザール・ピニェイロといった長年のパートナーとの楽曲のほか、ギンガとアナ・パエス共作なども収録された充実の内容となっている。“ギンガ”とは、もはやひとつの音楽のジャンルの代名詞のようなものだ。
アルゼンチン出身、現在は米国ニューヨークで活動するシンガーソングライター、フアナ・ルナ(Juana Luna)の新作『Canciones en Blanco y Negro』がリリースされた。ナイロン弦のギターやダブルベースを中心とし、曲によってはアコーディオンやマンドリン、弦楽四重奏なども加わって奏でられる温かく丁寧なアンサンブルに、気品のあるスペイン語の歌が乗る。
アルバム『Inner Spirits』は、スウェーデンのピアニスト/作曲家のヤン・ラングレン(Jan Lundgren)と、ブラジルの7弦ギター奏者ヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)の共作だ。互いにオリジナル曲を持ち寄り、一部にはカヴァー曲を取り上げた今作は、北欧ジャズとブラジル音楽という全くベクトルの異なる音楽性が意外なほどに調和し、言葉にできないほど素敵な空間を作り上げている。