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イスラエル

  • 2025-04-20
  • 2025-04-20

ブラジル音楽への深い敬意が込められた名手たちの最高のギタートリオ。名曲に吹き込む新たな視点

ブラジルに生まれ、現在はオランダで活動するベーシストのマテウス・ニコライエフスキー(Matheus Nicolaiewsky)が、イスラエル出身米国在住、南米音楽に造詣の深いギタリストのヨタム・シルバースタイン(Yotam Silberstein)と、ブラジルのドラマーキコ・フレイタス(Kiko Freitas)とのトリオでデビューアルバム『Volume I』をリリースした。

  • 2025-04-19
  • 2025-04-12

繊細かつ知的な創造性に満ちたギタリスト、タル・ヤハロムの初リーダー作『 Mirror Image』

創造的でアグレッシヴな2013年結成のジャズ/プログレバンド、カダワ(Kadawa)のギタリストであり、優れた作曲家であるタル・ヤハロム(Tal Yahalom)が自身初のリーダー作『Mirror Image』をリリースした。バンドはクインテット編成だが、各メンバーの楽器の持ち替えや、曲ごとに多ジャンルに渡る音楽性によって非常に多様な音楽を楽しめる作品となっている。

  • 2025-04-13
  • 2025-04-13

創造性がつくる即興のキャンバス。ヤロン・ヘルマンが描く美しい音の冒険

イスラエル出身、フランスで活躍するピアニスト/作曲家のヤロン・ヘルマン(Yaron Herman) が、新譜『Radio Paradice』をリリースした。アスリートから転向し16歳からピアノと音楽を始め、ジャズの世界で唯一無二の活躍を続け、“創造力とは生まれ持った才能ではなく、学ぶことで誰もが得られるスキルである”という持論を広く世界に発信し多くの共感を得る彼の音楽には、今作でもポジティヴな未来志向の感覚が満ちている。

  • 2025-03-29
  • 2025-04-26

音楽を再定義する可能性を秘めた壮大な芸術的実験。ポーランドの鬼才レシェック・モジジェル新譜

ポーランドのピアニスト、レシェック・モジジェル(Leszek Możdżer)は新作『Beamo』で、彼の前作『Passacaglia』(2024年)で試みた調性に対する実験をさらに大胆な形で更新している。彼はそれぞれ調律の異なる3台のピアノを用い、調性を放棄するのではなく、調性を拡張する形で音楽そのものを美しく再構築する。

  • 2025-03-16
  • 2025-03-12

鋭くウィットに富んだ視点で社会を皮肉る強烈なアヴァン・ジャズロック。Kadawa 驚異の新譜

イスラエル出身、米国を拠点とするジャズ/プログレシーンで強い存在感を示すジャズロックバンド、カダワ(Kadawa)が2枚目のフルアルバム『Post Graduation Fees』をリリースした。今作はオーヴァーダビングを多用するなどトリオのコア・サウンドを拡張した野心的な作品で、尽きない音楽的探究心によって培われた技巧と芸術性、そして彼ら特有のウィットに富んだ表現力が炸裂する。合わせ鏡によって無限の深淵を覗かせるジャケットが象徴するように、独特の深みを持った傑作だ。

  • 2025-03-09
  • 2025-03-08

サイケに渦巻く宇宙的グルーヴ!現代に蘇ったアナドル・ロックの注目バンド、Şatellites 新作

イスラエル・テルアビブを拠点とする6人編成のバンド、シャテライツ(Şatellites)が2ndアルバム『Aylar』をリリースした。今作は2021年リリースのデビューアルバム『Şatellites』で確立した70年代のアナトリアン・ロックに強い影響を受けた独創的なスタイルをさらに発展させた作品となっており、西洋音楽には見られない独特の音階や不穏に渦巻くサイケデリックなグルーヴが面白い作品だ。

  • 2025-03-01
  • 2025-03-01

ダブルベースの革命家アダム・ベン・エズラ、孤高の極みに達する新譜『Heavy Drops』

卓越した個性的な技術でダブルベース(コントラバス)のソロ演奏に革命をもたらしたイスラエル出身のベーシスト/作曲家アダム・ベン・エズラ(Adam Ben Ezra)が、新作『Heavy Drops』をリリースした。今作はキューバ出身の打楽器奏者ミシャエル・オリべラ(Michael Olivera)を伴奏者に迎え、圧巻の技巧とグルーヴを堪能できる作品となっている。

  • 2025-02-24
  • 2025-02-25

目に見えないもの、語られないものへの美しい賛辞。ペトロス・クランパニス 国籍を超えたトリオでの新作

ギリシャ出身のベーシスト/作曲家ペトロス・クランパニス(Petros Klampanis)の新作『Latent Info』。アルバムはエストニア出身のピアニスト、クリスチャン・ランダル(Kristjan Randalu)とイスラエル出身のドラマー、ジヴ・ラヴィッツ(Ziv Ravitz)との共同名義だが、収録曲は多くがペトロス・クランパニスの作曲クレジットとなっている。

  • 2025-02-01
  • 2025-05-11

イスラエル・ジャズ若手代表格の人気ピアノトリオ、GTO Trio 待望の新作『Within』

ピアノのガディ・レハヴィ(Gadi Lehavi)、ダブルベースのタル・マシアハ(Tal Mashiach)、ドラムスのオフリ・ネヘミヤ(Ofri Nehemya)という現代イスラエル・ジャズ最高峰の若手3人によるピアノトリオ、GTO Trio が新作『Within』をリリースした。10年以上にわたるコラボレーションの中でトリオとしてのアルバムはこれまでに2018年の『From the Road』のみだったが、それぞれがリーダーとして、あるいはプレイヤーとして世界中の様々なミュージシャンらと共演してきた経験を再び長い友情の中に持ち込み、それぞれの成長を反映させたような素晴らしい作品となっている。

  • 2025-01-18
  • 2025-01-18

パレスチナの鬼才ファラジュ・スレイマンが描く、非日常に生きる恋人たちの物語

パレスチナ人として初のジャズ・ピアニストと言われるファラジュ・スレイマン(Faraj Suleiman) が新作『Maryam』をリリースした。衝撃的なプログレッシヴ・ジャズの前作『As much as it takes』のリリースが2023年9月29日。そのわずか10日後に彼の世界は一変し、一時はその怒りとショックから所謂西側メディアから姿を消してしまった彼だが、2024年のモントルー・ジャズ・フェスティバルへの出演を機に徐々に復帰。こうしてまた、素晴らしい音楽作品を届けてくれた。

  • 2024-12-14
  • 2024-12-11

フレンチポップの流れを汲む懐かしくて新しいアートポップ。注目のSSWアナット・モシュコフスキー

イスラエル・テルアビブのSSW、アナット・モシュコフスキー(Anat Moshkovski)の初のフルレンス・アルバム『ANAT』が素晴らしい。1970年代前後のフォークロックやフレンチポップの手触りのある良質なポップスで、アコースティック楽器を軸にした室内楽的な優しいサウンドに英語やフランス語の歌詞を乗せて優美に歌う。

  • 2024-12-07
  • 2024-12-07

驚異の微分音ピアノ。イスラエルのディナ・キトロスキー、激動の体験が生み出す未知のジャズ

イスラエルのピアニスト、ディナ・キトロスキー(Dina Kitrossky)のデビューアルバム『Waves』は2023年の年末にリリースされた。彼女のピアノはマカーム(アラビア音楽の旋法)を取り入れた音楽を弾くために特別な調律が施されており、微分音が特徴的な強く印象に残る旋律を奏でる。それは聴衆の興味関心を引くための姑息な戦術などではなく、その深い音楽の先には西洋のクラシックや中東の民族音楽、彼女の両親が聴いていたロシアの音楽、その他様々な世界中の音楽を経由して辿り着いた彼女の独創的な視点から生まれる、音の芸術の未来の兆しがある。