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ジャズ

  • 2024-04-02
  • 2024-03-26

アメリカ・ブルーグラスの新潮流。バンジョー奏者ベン・クラカウアー新作『Hidden Animals』

米国ノースカロライナ州のバンジョー奏者/作曲家ベン・クラカウアー(Ben Krakauer)の2ndアルバム『Hidden Animals』は、南インド音楽やブルーグラスを専門とする民族音楽学者でもある彼の個性が発揮された、独創的な作品だ。バンジョー、フィドル、チェロ、ダブルベース、ドラムスというクインテット編成で、ジャズの影響を強く受けた技巧的かつ楽しい音楽を聴くことができる。

  • 2024-04-01
  • 2024-03-31

オランダに移住したイスラエル人音楽家、アヴィシャイ・ダラシュ『希望と絶望のあいだ』

前作『Andalusian Love Song』(2022年)では地中海を取り囲む諸国の出身者による多国籍ラージアンサンブルを率い刺激的なエンターテインメントを提示したイスラエル出身の作曲家/鍵盤奏者アヴィシャイ・ダラシュ(Avishai Darash)が、今度はピアノトリオにトランペットを加えたカルテットによるアルバム『Between Hope and Despair』をリリースした。

  • 2024-03-31
  • 2024-03-31

アーノウ・ドルメン&レオナルド・モンタナが贈る超刺激的な現代グアドループ・ジャズ

グアドループ出身のドラムス奏者アーノウ・ドルメン(Arnaud Dolmen)と、ブラジル出身でグアドループに移り住んだピアニスト、レオナルド・モンタナ(Leonardo Montana)によるデュオ・アルバム『LéNo』がリリースされた。ピアノとドラムスのデュオ編成だが、カリブ海のクレオール・ジャズのグルーヴが渦巻き、グウォカの洗礼を受けたユニークなドラミングとピアノ、そして2人のコーラスが有機的に絡み合う演奏は圧巻。一般的に想像される“ジャズ”とはまた違った世界の、唯一無二の音楽体験を与えてくれる絶品となっている。

  • 2024-03-30
  • 2024-03-30

これは“フュージョン”の最新形態かも。フランスの5人組Monsieur MÂLÂ 凄まじいデビューアルバム

フランスのバンド、ムッシュ・マラー(Monsieur MÂLÂ)は2021年から2022年にかけてリリースした2枚のEPと、奔放で熱いライヴでフランスのインディー・シーンで確実に存在感を高めてきた。この5人組の音楽にはファンク、ジャズ、ソウル、アフロビート、サンバ、ロック、さらにはもっとプリミティヴな民族音楽など様々な要素があるが、それらジャンルのどれにも当てはまらない強烈な個性を持つ。

  • 2024-03-29
  • 2024-03-29

ウクライナ出身の奇才ギタリスト、イーゴリ・オシポフが描き出すスタイリッシュな最先端JAZZ

ウクライナ出身のギタリスト/作曲家、イーゴリ・オシポフ(Igor Osypov)の2024年新譜『Motherland?2k14』が凄い。現在はドイツ・ベルリンに滞在し、母国に帰ることができない状況となっている彼の個性的な音楽には、従来のジャンルの枠に留まらない洗練されたサウンドの中に曖昧だが示唆的な主張が垣間見える。

  • 2024-03-28
  • 2024-03-28

新時代のジャズを探求する南アフリカのバンド Kujenga、セプテット編成の新譜『In the Wake』

南アフリカ・ケープタウンを拠点とする7人編成のジャズバンド、クジェンガ(Kujenga)。スワヒリ語で“構築する”を意味するバンド名を持つ彼らの2枚目のアルバム『In the Wake』がリリースされた。トランペット、トロンボーン、テナーサックスの3管や電化ギター、ベースなどよくあるジャズ編成ではあるものの、アフリカ南部のアイデンティティを感じさせる力強いサウンドがとても素晴らしいアルバムだ。

  • 2024-03-27
  • 2024-03-26

ミナス器楽音楽の潮流を継承する新星、イガーラがデビュー!技巧的かつ情感豊かな演奏に酔いしれる

ミナスのほかの多くの若手器楽奏者たちの例に漏れず、非常に複雑かつ瑞々しい音楽を作り出す女性ピアニスト/作曲家イガーラ(IGARA)。2021年にBDMGヤング・インストゥルメンタル(BDMG Jovem Instrumentista 2021)を受賞し、その後2023年にミナスの器楽音楽で最も意味のある賞である第22回BDMGインストゥルメンタル(BDMG Instrumental 2023)を受賞した彼女のデビューEP『O Piano, os Cavalos e o Mar』は、哲学や文学の香りをも感じさせる非常に美しい作品だ。

  • 2024-03-25
  • 2024-03-24

自由な実験精神を発揮するハンガリー/オーストリアのカルテット、András Dés Quartet

ハンガリー出身、現在はオーストリアのウィーンを拠点とする打楽器奏者/作曲家アンドラーシュ・デーシュ(András Dés)がカルテット編成での新作『Unimportant Things』をリリースした。バンドには同郷の盟友ギタリストマールトン・フェニヴェシ(Marton Fenyvesi)のほか、オーストリアの名手であるトランペット奏者マルティン・エバーレ(Martin Eberle)とピアニストのフィリップ・ニクリン(Philipp Nykrin)が参加。現代的でアーティスティックな実験性を帯びた刺激的な演奏を繰り広げている。

  • 2024-03-24
  • 2024-03-24

ウェールズ出身ジャズハープ奏者アマンダ・ホワイティング、優しく力強い『The Liminality of Her』

ウェールズ出身のグランドハープ奏者/作曲家アマンダ・ホワイティング(Amanda Whiting)の2024年新譜『The Liminality of Her』が絶品だ。クラシックを学んだ確かな技術を基底に持ちながら、ジャズの即興や民族音楽的な独特のスケールを試みる演奏は彼女の好奇心の表れ。バンドメンバーとのアンサンブルも熱く、比較的珍しいジャズ・ハープの近年における最高の作品のひとつと言えるだろう。

  • 2024-03-21
  • 2024-03-21

野心に満ちた究極的ブラス・オクテット、Brassology アレンジの妙技を楽しめる逸品

カナダで活躍するトランペッター、ブランドン・リドヌール(Brandon Ridenour)とWDRビッグバンドでの活動で世界的に知られるトロンボーン奏者マーシャル・ギルクス(Marshall Gilkes)。ともにジャズやクラシックといったジャンルの概念に捉われない音楽を探求し、ブラスの限界点を拡張しようとする2人が結成した新しいブラス・オクテット、ブラソロジー(Brassology)のアルバム『Brassology』。金管楽器のみ8人の編成で、非常によく練られていながらも挑戦的な音楽表現が新鮮なアルバムだ。

  • 2024-03-19
  • 2024-03-13

レス・ポールに芸名を与えられたドイツの知られざる名ギタリスト/シンガー、トルステン・グッズ新作

ドイツのジャズギタリスト/シンガーソングライター、トルステン・グッズ(Torsten Goods)の2023年新譜『Soul Searching』。ランディ・ブレッカー(Randy Brecker)や欧州ジャズの名手たちをゲストに迎え、80〜90年代のフュージョン/スムースジャズの香りを感じさせる良質な作品だ。ギターのテクニックも、ソウルフルなヴォーカルも、AORからも影響された作編曲も、どれもがセンスに溢れている。

  • 2024-03-18
  • 2024-03-17

南米音楽の真髄に触れる。ヤマンドゥ・コスタ&エロヂー・ボウニー夫妻が贈る究極のギターデュオ作

ブラジルの7弦ギタリスト、ヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)とベネズエラ生まれのクラシック・ギタリスト、エロヂー・ボウニー(Elodie Bouny)のデュオ作『Helping Hands』がリリースされた。この夫婦は過去たびたび一緒に演奏する動画をYouTubeなどにアップしているが、こうして音源としてまとまったものは初めてだ。

  • 2024-03-16
  • 2024-03-16

地中海からアラビア、そしてブラジルへ。イタリアの鍵盤奏者バッソリーノによる架空の“未来都市”

イタリア・ナポリの鍵盤奏者/作曲家/プロデューサー、ダリオ・バッソリーノ(Dario Bassolino)のソロデビュー作『Città Futura』は、ニコラ・コンテにも通ずる爽やかなグルーヴを持ったジャズファンクが特徴的だ。地中海からアラビアへ、そして大西洋を越えて遥かブラジルまで吹き抜ける風。過去から現在の様々な時代を繋ぎながら、架空の“Città Futura = 未来都市”へと想像を膨らませる。

  • 2024-03-12
  • 2024-03-12

グナワとジャズ、幸せな土埃の匂い…。イスラエルのゲンブリ奏者シャイ・ハザン新作『Wusul』

前作『Reclusive Rituals』でグナワやジャズ、ヒップホップの高度な融合を見せたイスラエルのゲンブリ奏者シャイ・ハザン(Shay Hazan)が新作『Wusul』をリリースした。アルバムタイトルはアラビア語表記で「وصول」、"到着"を意味する。中米から日本までの広範囲にわたる旅の中で接した異文化から大きなインスピレーションを得ており、アルバムには東京世田谷・下北沢をテーマにした(7)「Shimo Kitazawa」をはじめとした豊かな楽曲群が収録されている。