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ジャズ

  • 2024-06-06
  • 2024-06-06

ブラジルを代表する名手たちによる至高のクインテットを堪能。マルタ・カラサワ『Tempo Bom』

ブラジル・サンパウロのピアニスト/作編曲家マルタ・カラサワ(Marta Karassawa)がブラジルを代表する名手たちを擁するクインテットで録音した『Tempo Bom』。クインテットのメンバーはピアノのマルタのほか、フルート/サックスのテコ・カルドーゾ(Teco Cardoso)、トランペット/フリューゲルホルンのセヂマール・ヴィエイラ(Sidmar Vieira)、ベースのドイツ出身サンパウロ在住フランク・ハーツバーグ(Frank Herzberg)、そしてドラムスのゼー・エドゥアルド・ナザリオ(Zé Eduardo Nazário)という構成で、いずれも長年ブラジルのジャズの第一線で活躍する凄腕だ。

  • 2024-06-03
  • 2024-06-03

ソウルフルで壮大な音楽観が身体に魂に反響する。南アフリカの新世代SSW、ゾイ・モディーガ新作

すべてを抱擁するような、あたたかく美しい声と音楽だ。南アフリカのマルチ奏者/シンガーソングライターのゾイ・モディーガ(Zoë Modiga)の3rdアルバム『nomthandazo』。今作でもアコースティックとエレクトロニックのバランスの取れた洗練されたサウンドと、何よりも包容力のあるヴォーカルが彼女のスケールの大きさを物語っている。

  • 2024-06-02
  • 2024-06-02

どうしようもなくクレイジーな異端サンバジャズ。鬼才アントニオ・ネヴィス『Deixa Com a Gente』

ブラジルのトロンボーン/ドラムス奏者アントニオ・ネヴィス(Antônio Neves)が新作『Deixa Com a Gente』をリリースした。ある種の狂気やカオスを感じさせた前作『A Pegada Agora É Essa (The Sway Now)』の要素もほのかに残しつつ、全体的にはサンバやショーロの感覚が大幅に強化された作品となった。

  • 2024-06-01
  • 2024-06-01

北欧の天才イーロ・ランタラ、新生ピアノトリオ HEL Trio 始動!最高のジャズがここにある。

独創的なユーモアと超絶技巧でピアノトリオの世界に輝かしい足跡を残したトリオ・トウケアット(Trio Töykeät)が2008年に解散して以来、イーロ・ランタラ(Iiro Rantala)は一般的なピアノトリオのフォーマットをずっと避けてきた。2011年にACTからソロデビュー作『Lost Heroes』からは挑戦の連続だ。ソロ、デュオ、チェロとヴァイオリンとのトリオ、ヒューマンビートボックスとギターとのトリオ、オーケストラとの共演などなど。リリースのたびに手を変え品を変え繰り出されてきた彼の作品、その目的は観客を楽しませること、そして自らも楽しむことだったように思う。

  • 2024-05-31
  • 2024-05-30

ウクライナの名手ディミトリ・ナイディッチ、ショパンに捧げる詩情溢れる美しいジャズ

クラシックとジャズの両分野で活躍するウクライナを代表するピアニスト、ディミトリ・ナイディッチ(Dimitri Naïditch)の最新作『Chopin Sensations』はピアノトリオ編成でショパンに捧げる甘美で叙情的なジャズだ。収録曲はラストの(12)「Valses, Op. 64: n°2 en do dièse mineur」(ワルツ第7番 嬰ハ短調 作品64-2)を除き他はすべてディミトリ・ナイディッチの作曲クレジットとなっているが、随所にショパンのフレーズも引用され、ため息の零れるような美しい音世界を作り上げてゆく。

  • 2024-05-30
  • 2024-05-30

エルメート・パスコアール。唯一無二のレジェンドが四半世紀前に他界した最愛の妻に宛てた最後の手紙

ブラジルのレジェンド、エルメート・パスコアール(Hermeto Pascoal)が亡き最愛の妻に宛てた新作『Pra você, Ilza』(イルザ、あなたのために)をリリースした。アルバムには妻が亡くなる直前の1999年〜2000年に彼女のために書かれたものをゼロからアレンジした楽曲群が収録されている。自身のグルーポを率い、音楽的にはエルメート・パスコアールらしさが全開の最高に楽しい作品だが、人生を寄り添い続けた妻へのエピソードと現在の彼自身の87歳という齢を考えるとなんとも感慨深いものが感じられる。

  • 2024-05-29
  • 2024-05-29

これは比類なきビッグバンド・ジャズロック。新鮮な驚きが連続する、モニカ・ロッシャー新譜

ドイツの作編曲家/シンガー/ギタリストのモニカ・ロッシャー(Monika Roscher)率いるビッグバンド、Monika Roscher Bigbandの3rdアルバム『Witchy Activities and the Maple Death』が壮絶に凄い。2023年にリリースされたアルバムだが、こんな凄いものを聴き逃してしまっていた…。言葉で説明するのは難しい。とにかく聴き、体験してみるべき作品だ。

  • 2024-05-28
  • 2024-05-27

アミルトン・ヂ・オランダとC4 Trio、ラテングラミー常連の2者がコラボ!南米音楽を巡る豊かな旅

ブラジルのバンドリン名手アミルトン・ヂ・オランダ(Hamilton de Holanda)と、ベネズエラのクアトロを中心とした弦楽器グループC4トリオ(C4 Trío)。ともに2022年のラテングラミー賞でノミネートされ、授賞式で席を共にした両者が初のコラボ作品『Tembla』をリリースした。一括りにラテン、ブラジル、そしてジャズが混ざり合ったアルバムというのは簡単だが、ここには驚くほどに豊かなカリブ海や南米、そしてスペインの音楽文化が凝縮されている。

  • 2024-05-27
  • 2024-05-27

UKジャズの最先端を行く完璧なサウンド・デザイン。ロンドン発・BOREAL SUN、デビューEP

スウェーデン出身のヴォーカリスト、リサロッテ・オストブロム(Liselotte Östblom)と、マルチ奏者/プロデューサーのマット・ロバーツ(Matt Roberts)によるロンドンのユニット、BOREAL SUNのデビューEP『DAWN』が素晴らしい。生バンドはフュージョンからアシッドジャズ、ファンク、ネオソウルなどを自然と取り入れたグルーヴを生み出し、リサロッテの圧倒的な歌唱力が全体を引き締める。またまたロンドンから面白いグループが登場した。

  • 2024-05-25
  • 2024-05-24

現代の鍵盤神ヘスス・モリーナ、ラテンもブラジルもプログレも飲み込んだ最強新譜『Selah』

卓越した演奏技術とジャズ、ラテン、プログレなど幅広い音楽性で注目されるコロンビア出身の鍵盤奏者、ヘスス・モリーナ(Jesus Molina)の最新作『Selah』がリリースされた。アルバムのタイトルは「賞賛」や「高揚」を意味する祝福の言葉で、音楽に対する彼のスピリチュアルなアプローチを表している。

  • 2024-05-20
  • 2024-05-20

カンタン・デュジャルダン&オリヴィエ・ケル・オゥリオ、“セレンディピティ”を探す航海

ベルギー出身のギター奏者カンタン・デュジャルダン(Quentin Dujardin)と、レユニオン出身のハーモニカ奏者オリヴィエ・ケル・オゥリオ(Olivier Ker Ourio)によるデュオ作品『Serendipity』は、思いがけない偶然の幸運(=セレンディピティ)を求めて、2人きりで港から港へ、音楽の大海を旅するようなアルバムだ。

  • 2024-05-19
  • 2024-05-12

本能を踊らせるクラリネットとアコーディオンのデュオ、再び。至福の地中海ジャズ

クラリネット奏者ガブリエーレ・ミラバッシ(Gabriele Mirabassi)と、アコーディオン奏者シモーネ・ザンキーニ(Simone Zanchini)のデュオ第二弾となるアルバム『Un Ballo Con La Luna』がリリースされた。二人の初デュオ作である前作『Il Gatto E La Volpe』(2022年)はオリジナルが中心だったが、今作は逆にカヴァー曲を軸に、燦々とした地中海ジャズを聴かせてくれる絶品だ。

  • 2024-05-18
  • 2024-05-18

古都カサブランカの街の匂いが薫る。気鋭ピアノトリオ、EYM Trioによる直情的ワールド・ジャズ

西はヨーロッパや北アフリカ、東はインドまで、広大な音楽文化の地図をジャズの上で描き出すフランスのピアノトリオ、EYM Trioが新作『Casablanca』をリリースした。モロッコ最大の都市をタイトルに据えた今作はアラビア音楽の伝統を大胆に取り入れ、久々にゲストを迎えず、トリオの3人のみでオリジナリティに富む壮大な音世界を繰り広げる素晴らしい作品に仕上がっている。