- 2024-10-24
- 2024-10-19
ブラジルとラテンアメリカを結ぶ、懐かしくも新しい音楽紀行。マリ・ジャスカ 1st『Disparada』
シンガーソングライター/ギタリストとして12年のキャリアを持つブラジルのマリ・ジャスカ(Mari Jasca)が、自身初のアルバム『Disparada』をリリースした。ブラジルやラテンアメリカの伝統音楽を参照しながら、現代的なサウンドテクスチャに落とし込んだ注目すべき作品に仕上がっている。
シンガーソングライター/ギタリストとして12年のキャリアを持つブラジルのマリ・ジャスカ(Mari Jasca)が、自身初のアルバム『Disparada』をリリースした。ブラジルやラテンアメリカの伝統音楽を参照しながら、現代的なサウンドテクスチャに落とし込んだ注目すべき作品に仕上がっている。
『Mestizx』は、公私共にパートナーであるボリビア出身の女性シンガーソングライター/マルチ奏者イベリッセ・グアルディア・フェラグッティ(Ibelisse Guardia Ferragutti)と、プエルトリコにルーツを持つシカゴ出身の男性ジャズドラマー/パーカッショニスト、フランク・ロザリー(Frank Rosaly)の共同名義によるデビューアルバムだ。アルバムタイトルは中南米におけるスペイン植民地時代に性別を問わず“混血の人”を意味する言葉として使われたもので、ブラジル、ボリビア、プエルトリコという二人の多様なルーツから来る多様性と、脱植民地という重要なテーマをアーティスティックに扱っている。
米国のラテンジャズ・ピアニストのザッカイ・カーティス(Zaccai Curtis)のソロ名義での新作『Cubop Lives!』は、タイトルの通りキューバ音楽とビバップの融合した“キューバップ”を表現する心踊るジャズだ。ラテンの名曲からジャズ・スタンダード、そして彼のオリジナルまで17曲を収録。アフロ・キューバン・ジャズへの溢れんばかりの愛が今にも爆発しそうな圧巻の演奏が素晴らしい。
コロンビア・マニサレス出身のシンガーソングライター、アリスティ(Aristi)の新作『En busca del flow perdido』。クンビアを基調とし、優しく温かみのある声や素朴な楽曲構成、適度に緩いライヴ感のあるギターやパーカッション、管楽器などの演奏もなんとも言えず素敵で味わい深い。アルバムのタイトルはスペイン語で「失われた流れを求めて」の意味で、今作のルーツ回帰志向を象徴する。
ブラジルのバンドリン名手アミルトン・ヂ・オランダ(Hamilton de Holanda)と、ベネズエラのクアトロを中心とした弦楽器グループC4トリオ(C4 Trío)。ともに2022年のラテングラミー賞でノミネートされ、授賞式で席を共にした両者が初のコラボ作品『Tembla』をリリースした。一括りにラテン、ブラジル、そしてジャズが混ざり合ったアルバムというのは簡単だが、ここには驚くほどに豊かなカリブ海や南米、そしてスペインの音楽文化が凝縮されている。
卓越した演奏技術とジャズ、ラテン、プログレなど幅広い音楽性で注目されるコロンビア出身の鍵盤奏者、ヘスス・モリーナ(Jesus Molina)の最新作『Selah』がリリースされた。アルバムのタイトルは「賞賛」や「高揚」を意味する祝福の言葉で、音楽に対する彼のスピリチュアルなアプローチを表している。
カナダ・ケベックシティを拠点とする鍵盤奏者/作曲家マチュー・フィゼ(Mathieu Fiset)の新譜『Des Marteaux & Des Cordes』。一言でいうと、ラテン・ジャズやフュージョン、プログレッシヴ・ロックといった要素が高度に融合した、鳥肌の立つようなかっこいい音楽だ。録音にはラーネル・ルイス(Larnell Lewis)、アントワン・デュホール(Antoine Dufour)、トミー・ゴティエ(Tommy Gauthier)といった凄腕たちが揃っており、各々の細かいプレイの隅々まで最高に楽しいセッションが繰り広げられる。
この奇跡的なデュオが、ここまで長く作品を発表し続けてくれるとは思っていなかった。ミシェル・カミロ(Michel Camilo)とトマティート(Tomatito)、ラテンやブラジル、ジャズの数多の名曲たちを超絶技巧のピアノとギターで聴かせてきた2人の最新作のタイトルは『Spain Forever Again』。もうずっと何とも微妙なタイトルとジャケット・アートのセンスは変わらないが、中身の音楽に関していうとやはりこの2人は特別だ。四半世紀の間、ずっと、特別なままだ。
グアドループ出身のドラムス奏者アーノウ・ドルメン(Arnaud Dolmen)と、ブラジル出身でグアドループに移り住んだピアニスト、レオナルド・モンタナ(Leonardo Montana)によるデュオ・アルバム『LéNo』がリリースされた。ピアノとドラムスのデュオ編成だが、カリブ海のクレオール・ジャズのグルーヴが渦巻き、グウォカの洗礼を受けたユニークなドラミングとピアノ、そして2人のコーラスが有機的に絡み合う演奏は圧巻。一般的に想像される“ジャズ”とはまた違った世界の、唯一無二の音楽体験を与えてくれる絶品となっている。
カタルーニャの歌手/トランペット奏者アンドレア・モティス(Andrea Motis)が、南米チリの室内楽団カメラータ・パパゲーノ(Camerata Papageno)と録音した新譜『Febrero』がリリースされた。タイトルは「2月」の意味だが、北半球の寒い2月ではなく、南米の暑い夏を祝う意が込められている。毎年のようにチリを訪れているアンドレア・モティスにとって、2月とは“喜び、カーニバル、友情、花、太陽、光、熱の象徴”なのだという。
モロッコとセネガルにルーツを持ち、フランスで活動するドラマー、モクタル・サンバ(Mokhtar Samba)の新作『Safar』。キャリアの初期でエディ・ルイスに見出され、ジャコ・パストリアスのサポートを行い、その後スアド・マッシ、サリフ・ケイタ、ユッスー・ンドゥール、カルリーニョス・ブラウン、カルロス・サンタナ、ジョー・ザヴィヌルら多くの世界的音楽家とプレイしてきた1960年生まれの彼が今もなお音楽観をアップデートし続け、最先端でいることを証明する傑作だ。
1990年代後半に結成され、スパニッシュ・ミクスチャーのムーヴメントを牽引したバンド、アンパラノイア(Amparanoia)。2008年に一度は解散したが、2017年に再結成。2枚のアルバムをリリースし、そして結成25周年を迎える2022年にはスタジオでブラスバンドのアルティスタス・デル・グレミオ(Artistas del Gremio)と初めて出会った。
ヨルダンの首都アンマンで2007年に結成されたアウトストラッド(Autostrad)はロック、レゲエ、ラテン、ファンク、ジャズ、アラブ伝統音楽を組み合わせたバンド名「高速道路」のとおりの疾走感のある音楽をアラビア語のヨルダン方言で歌う、アラブ圏で非常に人気のあるバンドだ。アラビア語圏を中心に各国でツアーを行なっているが、2014年にはイギリス・ロンドンでも演奏をした。
柔らかな感性と卓越した技術のチェロ弾き語りで多くのリスナーを魅了した女性SSW、アナ・カルラ・マサ(Ana Carla Maza)。セルフプロデュースの新譜『Caribe』は驚いたことに、最大時にはセクステット編成で一気に“ラテンジャズ”の作風を前面に押し出してきた作品となった。新曲を中心に、(5)「Astor Piazzola」や(6)「Bahia」などソロで演じた過去作からの楽曲も新たなアレンジが躍動。これまで彼女が見せてこなかった新たな魅力を堪能できるアルバムに仕上がっている。