- 2025-12-10
- 2025-12-09
北欧ジャズの象徴ブッゲ・ヴェッセルトフト、世代を超えた特別な才能たちを招いた新作『Am Are』
ノルウェーの先進的なジャズを牽引するピアニスト/作曲家ブッゲ・ヴェッセルトフト(Bugge Wesseltoft)が、個性豊かなゲストを迎えて制作した2025年新譜『Am Are』。アルバムではソロからトリオまでメンバーを変えて様々な編成やサウンドを試すなど実験的な要素がありつつ、ジャズの伝統にもしっかりと根差し、聴きやすくも刺激的な作品だ。
ノルウェーの先進的なジャズを牽引するピアニスト/作曲家ブッゲ・ヴェッセルトフト(Bugge Wesseltoft)が、個性豊かなゲストを迎えて制作した2025年新譜『Am Are』。アルバムではソロからトリオまでメンバーを変えて様々な編成やサウンドを試すなど実験的な要素がありつつ、ジャズの伝統にもしっかりと根差し、聴きやすくも刺激的な作品だ。
ヨーナ・トイヴァネン・トリオ(Joona Toivanen Trio)はフィンランドでももっとも長い活動歴を誇るトリオのひとつだ。日本でも、彼らの存在は比較的知られているだろうと思う。なにせ、彼らのデビュー作『Numurkah』(2000年)を“若干21歳のトリオ、フィンランドからの新風!”と紹介し大々的に売り出したのはあのレジェンダリーな澤野工房だったからだ。実際、彼らの音は北欧ジャズらしいリリカルさがあり、さらに若手特有の背伸びした青さもあり、非常に魅力的に映った。
1960年にノルウェーのオスロで生まれ、小さな港町ラルヴィクで育ったベーシスト/作曲家テリエ・ゲヴェルト(Terje Gewelt) 。10歳のときにギターを手にし弦の振動に心を奪われ、14歳でエレクトリックベースに魅了され、17歳でアコースティックベースと運命的な出会いを果たした彼はその後渡米し名門バークリー音楽大学でジャズを学び、ジャコ・パストリアスやデイヴ・ホランドに個人指導を受け、その技と感性を磨いてきた。
ジャズの名門・ECMレーベルより、トランペット奏者マティアス・アイク(Mathias Eick)の新作『Lullaby』がリリースされた。メンバーはカルテット編成で、ピアノのクリスチャン・ランダル(Kristjan Randalu)、ベースのオーレ・モルテン・ヴォーガン(Ole Morten Vågan)、そしてドラムスのハンス・フルベクモ(Hans Hulbækmo)で、エストニア出身のクリスチャン・ランダル以外は全員がノルウェー人という構成。アルバムは全体的にメランコリックで、深く沈むような美しさがあるが、同時に温かな情熱を秘めている。
2020年にアルバム『Storstrejk』でデビューして以来、スウェーデンのジャズシーンで注目を集める5人組、ヘドロスグルッペン(Hederosgruppen)の3枚目のアルバム『Stilbrott』がリリースされた。彼らのスタイルはジャズの伝統に則りつつも独自の創造性や芸術性を追求するもので、ジャケットに描かれた“V字ジャンプの先駆者”であるスキージャンプ選手ヤン・ボークレブ(Jan Boklöv)が象徴するような自由と革新性を賛美している。
革新的なスタイルで知られるノルウェーのピアニスト/作曲家、シェーティル・ムレリド(Kjetil Mulelid)のトリオによる4枚目のアルバム『And Now』がリリースされた。ピアノ、ダブルベース、ドラムスという一般的なピアノトリオ編成だが、手数の多い攻めのピアノ、ときにフリージャズを思わせる高次元の絡みを見せるアンサンブル、それでいて北欧らしい叙情性を失わない好盤となっている。
モニカ・ゼタールンド(Monica Zetterlund)がビル・エヴァンス(Bill Evans)のトリオをバックに、アメリカのスタンダードやスウェーデンの伝統歌を歌った『Waltz For Debby』(1964年)というアルバムを愛するジャズファンは多いだろう。幼い頃からジャズに親しみ、ジャズとともに育ったアイスランド生まれのピアニスト/歌手アンナ・グレタ(Anna Gréta)もまた、その魔法の虜になり、それを自身の音楽的指針としてきたひとりだった。
ピアノとトランペットのドイツの兄弟デュオ、ジュリアン&ローマン・ヴァッサーフール(Julian & Roman Wasserfuhr)がチェロ奏者のイェルク・ブリンクマン(Jörg Brinkmann)を迎え録音したアルバム『Safe Place』は、アルバムタイトル“安全な場所”が示すとおり、日常の喧騒から離れ、雑念を取り払い、静かに心を洗うための音楽だ。
フィンランドのピアニスト/作曲家のアレクシ・トゥオマリラ(Alexi Tuomarila)の新作『Departing the Wasteland』は、エスビョルン・スヴェンソン・トリオ(e.s.t.)以降の現代的な北欧ジャズの雰囲気を持つ作品だ。ロックや現代音楽の趣向を反映した構成で、技巧と感情のバランスの取れた総合的に優れたアルバムとなっている。
デンマーク出身のベーシスト/作曲家トーマス・フォネスベック(Thomas Fonnesbæk)が欧州最高のメンバーを迎え録音した『In Rome』が素晴らしい。北欧ジャズの静かな抒情と、ピアニストのエンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)がもたらす古いイタリア映画のようなセピア色のノスタルジアが織りなす繊細なインタープレイが実に情感豊かな作品だ。
好き1Música Terra(ムジカテーハ)ライターDJ mitsuが選ぶ2024年のベストアルバム。基本、当サイトで紹介してきたもの中心ではありますが、取り上げきれなかった作品もここではPick Up。今年はあれこれ聴き漁るというよりは気に入った […]
スウェーデンのベーシスト/チェリストのラーシュ・ダニエルソン(Lars Danielsson)、イギリスのギタリストのジョン・パリチェッリ(John Parricelli)、そしてフィンランドのトランペッターのヴェルネリ・ポホヨラ(Verneri Pohjola)の新作。アルバムのタイトルはシンプルに『Trio』だが、この何とも味気ないタイトルとは裏腹に彼ら3人の演奏は美しい色彩感覚に満ちている。
ノルウェーの女性ベーシスト/歌手/作曲家エレン・アンドレア・ワン(Ellen Andrea Wang)が、2019年以来活動の軸としているロンドンのギタリストのロブ・ラフト(Rob Luft)とスウェーデンのドラムス奏者ヨン・フェルト(Jon Fält)とのトリオによる第二作目『Closeness II』をリリースした。
アルバム『Inner Spirits』は、スウェーデンのピアニスト/作曲家のヤン・ラングレン(Jan Lundgren)と、ブラジルの7弦ギター奏者ヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)の共作だ。互いにオリジナル曲を持ち寄り、一部にはカヴァー曲を取り上げた今作は、北欧ジャズとブラジル音楽という全くベクトルの異なる音楽性が意外なほどに調和し、言葉にできないほど素敵な空間を作り上げている。