ゴドウィン・ルイス、グローバルな大作
今NYでもっとも注目されるアルトサックス奏者、ゴドウィン・ルイスの初リーダー作は、タイトルに示されている通り「グローバル」な大作だった。
ゴドウィン・ルイス(Godwin Louis)はニューヨークのハーレム生まれ。ハイチで育ち、9歳でサックスを始め、バークリー音楽院を卒業している。
これまでに共演したアーティストはハービー・ハンコック、クラーク・テリー、ロン・カーター、テリ・リン・キャリントン、アル・フォスター、ジャック・ディジョネット、ジミー・ヒース、ビリー・プレストン、パティ・ラベル、トニ・ブラクストン、ベイビーフェイス、マドンナ、グロリア・エステファン、ハワード・ショア…といった、ジャズやR&Bの錚々たる面子が並ぶ。
そんな彼の初のリーダー作が『Global』だ。しかも、いきなりの2枚組!
ジャケも内容もなんとなく今をときめくカマシ・ワシントンのような雰囲気もあるが、楽曲もサウンドも“作り込み過ぎ”感の否めないカマシと比べ、ゴドウィン・ルイスは、なんというか、もっとJAZZだ──それも、ものすごく現代的な。
アフロ、ラテン、R&B…独自の“グローバル”なJAZZ
アルバムはまずアフリカンなパーカッションと、ゴスペルのようなコーラスで幕を開ける。そしてゴドウィン・ルイスの吹くアルトに乗ってR&Bやラテンなども混ざり、ジャンルの垣根を超えた斬新なJAZZがめまぐるしく展開していく。
バンドはゴドウィン・ルイス(as)含め8人編成で、イスラエル出身のギラッド・ヘクセルマン(g)やキューバ出身のアクセル・トスカ(p)など、注目の若手が揃う。
2枚組というボリュームにも関わらず、その全ての曲・演奏が濃密で、これが初リーダー作とは思えないほどに聴きごたえも抜群。
ラストのブラジル音楽の巨匠エルメート・パスコアールの名曲「O Farol Que Nos Guia」まで、息を飲むほどスリリングに駆け抜ける、まさに“グローバル”な傑作!
2019年のジャズ作品のなかでも、特に重要な一枚だろう。