イタリアとブラジルの鬼才が描き出す奇妙で耽美な音楽

Gabriele Mirabassi & Guinga - Graffiando Vento

ガブリエル・ミラバッシ、そしてギンガ

イタリアのジャズクラリネット奏者、ガブリエル・ミラバッシ(Gabriele Mirabassi)と、ブラジルの作曲家/ギタリストのギンガ(Guinga)のデュオ作『Graffiando Vento』。ときに“変態的”と賞賛されるギンガの名曲の数々を、表情豊かなジャズクラリネットが歌い上げる傑作だ。

ガブリエル・ミラバッシは1967年イタリア・ペルージャ生まれのジャズクラリネット奏者。イタリアの室内楽的なジャズを多数録音しているレーベル、EGEAの看板アーティストで、これまでにエンリコ・ピエラヌンツィやリシャール・ガリアーノなど、ヨーロッパを代表するミュージシャンとの共演を重ねてきた。
時には静謐にクラシカルに、時には情熱的に踊る彼のクラリネットは実に表現力豊かで、現在のジャズクラリネット奏者の中でもトップクラスの実力者だ。
実弟に人気ジャズピアニストのジョヴァンニ・ミラバッシ(Giovanni Mirabassi)がいる。

一方のギンガ(Guinga)は“ブラジル三大鬼才音楽家”のひとりにも数えられる、1950年生まれの天才的な作曲家でありギタリスト。歯科医として社会人のキャリアを歩みだした傍らで独自にギターや音楽を探求し、遅咲きながら他にない個性的で美しい楽曲を次々と発表。ブラジル音楽のみならず世界的に影響を与えてきた。

ミラバッシのクラリネットが歌い上げるギンガの音楽世界

この二人の初めてのデュオアルバムとなった2004年作『Graffiando Vento』は、クラシック、ジャズ、ブラジル音楽といったカテゴライズが全く意味を為さないほどに独創的で美しい演奏が収められている。

アルバムの全12曲はすべてギンガの作曲によるものだ。ギンガというブラジルの至宝ともいうべき作曲家の真髄が発揮される(1)「Choro pro Zé」から、才能ほとばしる二人の偉大な音楽家によるおそろしいほどに精神が研ぎ澄まされた演奏が続いていく。

ギンガが爪弾くヴィオラォン(ガットギター)から乾いた音色で繰り出される奇妙なコード。そしてその上を自在に泳ぐミラバッシの自由で優雅なクラリネット。
型に嵌った音楽とは一線を画すこの作品は、ブラジルと地中海が溶けてくっついてしまったような、どこか空想上の土地に誘ってくれるような感覚がある。

これまでギンガという作曲家の作り出す音楽に触れたことのない人や、ジャズではマイナーな楽器であるクラリネットのジャズ演奏を聴いたことのない人にとっても、この素晴らしく特異なアルバムは新しい音楽への扉を開くきっかけとなるかもしれない。

Gabriele Mirabassi & Guinga - Graffiando Vento
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