TAG

クラリネット

  • 2026-09-27
  • 2026-09-22

ユダヤのルーツに想いを馳せる、クラリネットとピアノの叙情派ジャズ。Sam Sadigursky & Yotam Ishay『-ish』

ロサンゼルス出身で現在はニューヨークを拠点に活動するクラリネット奏者/作曲家サム・サディガースキー(Sam Sadigursky)と、イスラエル出身のピアニスト/作曲家ヨタム・イシャイ(Yotam Ishay)によるデュオ・アルバム『-ish』。全12曲、ゲストは招かずに全編たった二人だけの演奏だが、ジャズと室内楽を軸に、イスラエルの歌曲やユダヤ音楽など、それぞれが培ってきた文化的・音楽的背景が自然に溶け込んだ興味深い作品となっている。

  • 2026-08-26
  • 2026-08-24

イタリア最高峰ピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ名盤『Racconti mediterranei』

イタリアのピアニスト/作曲家エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)が変則ピアノトリオで録音した2000年のアルバム『Racconti mediterranei』を聴き返している。サルヴァドール・ソブラルが2017年のユーロビジョン・ソングコンテストの授賞式で無邪気に言い放った言葉を借りれば、“内容のほとんどない、使い捨ての無意味な音楽が蔓延するこの世界”なのだからこそ、ときどきはこういう本物の音楽に立ち返り、体の芯から暖かく沸き立つような人間らしい感情の震えに身を任せたくなるのだ。

  • 2026-08-16
  • 2026-08-16

イラン出身クラリネット奏者率いる、不安定な世界を表現するアヴァンギャルド・ジャズ・トリオ

イラン出身のクラリネット奏者シャブナム・パルヴァレシュ(Shabnam Parvaresh)率いる実験的ジャズトリオ、シーン・トリオ(Sheen Trio)の新譜『Transitory』が面白い。イギリス出身のギタリスト、ウラ・マーティン=エリス(Ula Martyn-Ellis)と、ドイツ出身ドラマーのフィリップ・ブック(Philipp Buck)という国籍や文化を超えたトリオで、構造的な側面と即興的な側面を自在に行き来し、不安定な現代社会の混乱と、それでも未来へと向かう希望のエネルギーを象徴するような音楽を奏でる。

  • 2026-07-24
  • 2026-07-23

欧州屈指のクレズマーバンド、AKB新譜『Diaspora』──熱狂的グルーヴに潜む多文化混淆の歴史

30年におよぶバンドの歴史の中で、クレズマーを揺るがない根幹に据えつつジャズ、スカ、マヌーシュスウィング、果てはヒップホップやエレクトロニカなどを融合しながら様々な表現を試みてきたアムステルダム・クレズマー・バンド(Amsterdam Klezmer Band, 通称:AKB)は、2026年の新譜『Diaspora』で、彼らの“根”である完全アコースティックなクレズマーに立ち戻ってきた。

  • 2026-06-13
  • 2026-06-12

ピアノとクラリネットの対話が紡ぐ、コーカサスとバルカンの風景『Il Duo』

コーカサス地方とバルカン半島の旋律が混ざり合い、高度な即興で絡み合う素晴らしいデュオ・アルバムだ。 ジョージア出身のピアニスト、ジョルジ・ミカゼ(Giorgi Mikadze)と、北マケドニア共和国出身のクラリネット奏者イスマイル・ルマノフスキー(Ismail Lumanovski)の2026年作『Il Duo』は、全9曲・約34分というコンパクトな作品ながら、コーカサスからバルカン、アナトリア、東地中海へと広がる広大な音楽文化圏の記憶が凝縮されている。

  • 2026-05-31
  • 2026-05-28

女性ヴァイオリン奏者率いるスウェーデンの北欧ジャズ・クインテット新譜『Phoenix』

ノルウェー出身、現在はスウェーデン・ヨーテボリを拠点とする女性ヴァイオリン奏者テレーセ・リーン・エヴェンスタ(Terese Lien Evenstad)率いるクインテットの2026年作『Phoenix』は、ヴァイオリンとクラリネットをフロントに据えた珍しいクインテット編成で、北欧ジャズ特有の静謐さだけではない、生命のエネルギーを感じさせる作品だ。

  • 2026-05-10
  • 2026-05-10

結成40周年。NYのクレズマー・バンド、The Klezmatics 人々が分断される時代への返歌

1986年にアメリカ合衆国ニューヨークで結成され、今年40周年を迎えたクレズマティックス(The Klezmatics)。クレズマー音楽のバンドとしては唯一グラミー賞受賞経験のある彼らの新作『We Were Made For These Times』は、急進的な政治や戦争などによってますます分断の進む現代社会の中にあって、彼らが今あげるべき声を凝縮した作品だ。

  • 2026-05-04
  • 2026-05-02

時を織る経糸と緯糸。ジヴ・ラヴィッツ&クリストフ・パンザニ、音楽の進化の歴史を象徴する傑作

イスラエル出身のドラマー、ジヴ・ラヴィッツ(Ziv Ravitz)と、フランス出身のクリストフ・パンザニ(Christophe Panzani)のデュオによる『Warp & Weft』は、おそらく2026年屈指のジャズの名作だ。まるでそのテイクの少なさや、スタジオをレンタルした時間の短さで競うかのように、短期間のセッションでテーマと即興演奏を主体に録音されることの多いジャズという分野の、しかもデュオとしては間違いなく異例の、2年間という制作期間を経て誕生したアルバムは、タイトル「経糸と緯糸」という言葉が喚起するイメージの期待を裏切らない、素晴らしい芸術だ。

  • 2026-04-25
  • 2026-04-25

永遠の故郷を求める望郷のジャズ・クラリネット──パレスチナ出身アハメド・ハワーシュ

今回紹介する作品は、パレスチナの古都イェリコ出身で、現在はベルギーを拠点とするクラリネット/ネイ奏者/作曲家アハメド・ハワーシュ(Ahmed Hawwash)のデビュー作『Eternal Homeland』(2025年)。祖国パレスチナへの望郷滲むタイトルが冠せられた本作は、同地の伝統的な旋律にインスパイアされつつ、ジャズの語法も交えた美しくも儚い音楽が繰り広げられる。

  • 2026-04-12
  • 2026-04-05

フィ・マロスティカ&アレシャンドリ・ヒベイロ、遊び心と多幸感溢れるデュオ・アルバム

卓越した技巧と、繊細かつ大胆な表現力。互いの音に耳を傾け、指先で呼応する。エフェクターで遊び、心から演奏を楽しむ──。 ブラジルのベース奏者フィ・マロスティカ(Fi Maróstica)と、クラリネット奏者アレシャンドリ・ヒベイロ(Alexandre Ribeiro)は約20年前に初めて会ったときから、互いを昔から知っている“古い友人”であるかのように感じたという。彼らの初のデュオ作である『Devaneio』は、クラリネットとベースという最小限の編成ながら、様々な工夫と遊び心によって彩られた、とても美しいアルバムだ。

  • 2026-03-01
  • 2026-02-21

円熟のベーシスト、マーティン・ウィンドが巨匠ケニー・バロン擁するカルテットで豊かに描くジャズ

ドイツ出身のベーシスト/作曲家、マーティン・ウィンド(Martin Wind)が、ジャズの名手たちを集めたカルテットで語り合うように音を紡ぐアルバム『Stars』をリリースした。ピアノにケニー・バロン(Kenny Barron)、クラリネットにアナット・コーエン(Anat Cohen)、ドラムスにはマット・ウィルソン(Matt Wilson)というオールスター級のメンバーを揃え、音楽の悦びが静かに滲むようなインタープレイが素晴らしい作品となっている。

  • 2026-02-23
  • 2026-02-24

生きるための歌──SSW/クラリネット奏者エズギ・セヴギ・ジャンが背負う、あまりに重い苦難の物語

トルコ出身のシンガーソングライター/クラリネット奏者、エズギ・セヴギ・ジャン(Ezgi Sevgi Can)によるデビュー・アルバム『Karanfiller』が素晴らしい。全曲がエズギ・セヴギ・ジャンの作詞作曲で、彼女自身はヴォーカルとクラリネットを担当。サウンドは親しみやすい西洋音楽と、マカームに根差した微分音や変拍子が見事に融合しており、音楽的にも新鮮な感動がある作品だ。しかしその裏には、彼女と彼女の家族をめぐる悲劇的な運命と、15年以上にわたって闘い続ける、彼女の強さが隠されていた。

  • 2026-02-08
  • 2026-02-02

ターキッシュ・フュージョンの魅力が満載! ピアノとG管クラリネット中心の心踊る傑作『Homeland』

トルコの伝統音楽と技巧的なジャズ・フュージョンの高度な融合に驚かされる。現在進行形のターキッシュ・ジャズを牽引する4人の音楽家による2025年のアルバム『Homeland』は、日本はおろか世界中のほとんどのメディアで言及されていないが、埋もれさせておくには勿体無い“中東の宝石”のような作品だ。

  • 2025-11-27
  • 2025-11-27

クレズマー・クラリネットの王者Yomが、“静寂のリズム”に見出した音楽表現の新境地

“クレズマー・クラリネットの王者”ことフランスのクラリネット奏者/作曲家ヨム(Yom)が、新作『LE RYTHME DU SILENCE』でヴァイオリン奏者テオ・セカルディ(Théo Ceccaldi)とチェロ奏者ヴァランタン・セカルディ(Valentin Ceccaldi)の兄弟とともに、深い瞑想の中に潜む“静寂のリズム”を紡ぎ出す。