まるでシルクの耳触り。ヨタム・シルバースタイン新譜は現代ジャズギターの万華鏡

Yotam Silberstein - Future Memories

ジョン・パティトゥッチ参加!イスラエル出身の鬼才ギタリスト新作

人気ジャズギタリスト、ヨタム・シルバースタイン(Yotam Silberstein)の2019年作『Future Memories』。長年ジャズの発展に寄与してきた最高峰のベーシスト、ジョン・パティトゥッチも参加した今作は、ニューヨークの最先端JAZZにとどまらず、ヨタムが愛して止まないブラジル音楽やスパニッシュ音楽への愛が溢れた作品だ。

ヨタム・シルバースタインはイスラエル・テルアビブ出身。10歳でギターを始め、2005年よりニューヨークに移ると、セロニアス・モンク国際ジャズギターコンクールでファイナリストになるなど群を抜くギタープレイでたちまち脚光を浴びる存在に。21歳のときには“Israeli jazz player of the year”も受賞している。
「どんな音楽も大好き」という彼の言葉どおり、ブラジルやアルゼンチンといった南米音楽や、ラテン、北アフリカ、フラメンコといった音楽などにも造詣が深く、各地の第一線で活躍するミュージシャンとの共演を重ね独自のスタイルを築いてきた。カート・ローゼンウィンケル以降の最重要ギタリストの一人と目されている。

今作はヨタムのギターに加え、ドラムスのダニエル・ドール(Daniel Dor)、ベースのジョン・パティトゥッチ(John Patitucci)とのトリオを核に、曲によってブラジル出身のヴィトール・ゴンサルヴェス(Vitor Goncalves)か、またはNYの若手注目株グレン・ザレスキー(Glenn Zaleski)がピアノ他で加わった編成。さらに1,3,6曲目にはアンドレ・メマーリ(Andre Mehmari)もシンセサイザーで参加している。

ブラジル音楽の影響も色濃い、美しいジャズギター

本作『Future Memories』でも、そうした様々な影響が伺える多彩な楽曲・演奏を披露している。多くはヨタム・シルバースタイン作のオリジナル曲だが、(7)「Capricho de Donga」、(9)「Capricho de Espanha」はブラジルのバンドリン奏者ハミルトン・ヂ・オランダが作曲した作品。後者はフラメンコ風のフレーズが印象的で斬新な楽曲に仕上がっている。
(10)「Choro Negro」はブラジルを代表するSSW/ギタリストのパウリーニョ・ダ・ヴィオラ(Paulinho da Viola)の作曲。原曲がブラジル音楽のショーロというジャンルに属するこれらの楽曲はあまりジャズとして演奏されることはないが、南米音楽に深い敬意を示すヨタム・シルバースタインは完全に自身のスタイルでこれらの難曲をモノにしている。

ヨタム・シルバースタインのギターは、とにかく絹のような音色で淀みなく流れるソロが素晴らしすぎる。アルバムのハイライト(2)「Matcha」は、抹茶好きなヨタムのオリジナル曲だ。

(2)「Matcha」のMV。
タイトルは日本発で世界的に知られる「抹茶」のことだが、ステレオタイプな日本感はここにはない。
抹茶好きを公言するヨタムのオリジナル曲。
グレン・ザレスキという新鋭ピアニストも凄い。
(3)「The Wind on the Lake」のライヴ演奏。
大ベテランのベーシスト、ジョン・パティトゥッチ(John Patitucci)の参加で音楽性はボトムアップされている。
本作には収録されていないが、ヴィトール・ゴンサルヴェス(アコーディオン)とアンドレ・メマーリ(ピアノ)との共演で披露されたピシンギーニャの名曲「1×0」も楽しい。
Yotam Silberstein - Future Memories
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