ヴィオラ・ダ・ガンバとルシアーナ・エリゾンド
チェロやギターに似ていながら、全く別の進化を遂げてきたヴィオラ・ダ・ガンバ(viola da gamba)という古楽器をご存知の方は、おそらくそんなに多くはないだろう。
上の写真が、そのヴィオラ・ダ・ガンバだ。その演奏姿はチェロに似るが、よく見ると弦の数が異様に多い(チェロは4弦、ヴィオラ・ダ・ガンバは6〜7弦)し、ギターのようにネックにはフレットが取り付けられている。
この楽器に関してはWikipediaに詳しい解説があるが、18世紀にはいったん完全に廃れてしまったヴァイオリン属とは別の系統の楽器らしい。チェロとの違いについて興味がある方は、Wikipediaを参照いただきたい。
この魅力的な古楽器の演奏者が、今回の記事の主人公であるアルゼンチン出身のルシアーナ・エリゾンド(Lucíana Elizondo)だ。
まずは有名な楽曲の演奏動画がYouTubeにアップされていたので、古楽器ヴィオラ・ダ・ガンバと、それを弾きながら美声を聴かせるルシアーナ・エリゾンドを観てほしい。
…いかがだろうか。古楽器ヴィオラ・ダ・ガンバを弾きながら、美しい声で歌う彼女の姿に、私は心をつよく心を打たれた。
ヴィオラ・ダ・ガンバはチェロに比べ、弦の張力が弱い。そのため音量は小さいものの音色は繊細で暖かく、良い意味でリラックスできる印象がある。
どこか懐かしい音色に癒される極上のアルバム
ルシアーナ・エリゾンドが古楽弦楽器&ギター奏者キト・ガト(Quito Gato)と録音した2018年のアルバム『La Copla Perdida』では、ヴィオラ・ダ・ガンバの雅な響きと彼女の美しいヴォーカルを堪能することができる。
今作では南米を中心に活躍する日本人ケーナ奏者の岩川光(Hikaru Iwakawa)がゲスト参加。他にもフルートや打楽器、ピアノのゲスト参加もあり、終始変化に富んだ極上の音楽を聴けるオススメの作品だ。