聴いてびっくり!’60年代風サウンドが新鮮なセフィ・ジスリング新譜

Sefi Zisling - Expanse

セフィ・ジスリング新譜は’60年代風サウンドが新鮮な極上ジャズファンク

イスラエルの鬼才トランペッター、セフィ・ジスリング(Sefi Zisling)の2019年新譜『Expanse』がすごい。彼は1960年代のジャズファンクの再現を目指しているようだ。2017年のデビュー作『Beyond the Things I Know』ではエレクトロニカや空間系のエフェクトも駆使し現代的なサウンドを聴かせていたアーティストが、2ndアルバムでいきなりルーツ回帰のような音で攻めてくるとは…!

このアルバムは前作で見せたようなギミックは一切使わず、セフィ・ジスリング率いるバンドメンバーがジャズミュージシャンとしてのプライドと力量のみで勝負をかけてくる。収録曲は全曲、セフィ・ジスリングとバンドメンバーによるオリジナルだ。おそらくセッションを重ねる中で自然と生まれてきたであろうこれらの楽曲はいずれも麻薬的な繰り返しの中毒性があり、飾らないトランペットやサックスも、昔懐かしい音色のハモンドオルガンも、ソロでは適度にアウトするギターも、わざと明瞭になりすぎないように録音されたドラムスも──全てが完璧に聴こえる。彼らの狙い通りに。

サン・ラ(Sun Ra)にインスパイアされた(5)「Flip Mode」。

セフィ・ジスリング(Sefi Zisling)はイスラエル・テルアビブ出身のトランペッター/作曲家。リジョイサー(Rejoicer)が主宰する新時代の音楽シーンを担うレーベル、Raw Tapes から2017年にリリースした作品『Beyond the Things I Know』で話題に。ジャズ、ファンク、アフロなどに影響された稀有な音楽性が強烈な印象を残した。

天才的なプレイを見せるギタリスト、ウジ・ラミレスにも注目

そして個人的に注目しているのは、セフィ・ジスリングとの活動を長らく共にするギタリストのウジ・ラミレス(Uzi Ramirez)の存在だ。ロックミュージシャン/SSWとしての活動でも知られる彼の本作での活躍がとにかく素晴らしい。バッキングからソロまで、これはセフィ・ジスリングとウジ・ラミレスの双頭アルバムと言っても過言ではないと思う。この作品を聴いてギターに耳が行った方は、ぜひウジ・ラミレスのリーダー作『Cheese in My Pocket』なども聴いてみてもらいたいと思う。

Sefi Zisling - Expanse
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