かつて『マリオカート64』の驚きの演奏で話題となったSAX奏者Chase Baird、豪華メンバーによる待望の2ndアルバム

Chase Baird - A Life Between

チェイス・ベアード。“これからのジャズ”を示唆する必聴盤

米国のサックス奏者チェイス・ベアード(Chase Baird)の2019年作『A Life Between』は、ブラッド・メルドー(Brad Mehldau, p)やアントニオ・サンチェス(Antonio Sanchez, ds)など現代NYジャズを代表するミュージシャンが参加した傑作。
太く重く、かつ洗練された知的なソロを吹くチェイス・ベアードに、これからのジャズへの期待を強く感じずにはいられない。

ブラッド・メルドーのピアノに導かれ、ニア・フェルダー(Nir Felder, g)による歪んだギターやエイトビートのドラムが流れ込み、その後シームレスに叙情的なJAZZアンサンブルとなる(1)「Ripcord」。曲中でも要所でニア・フェルダーはギターの音を激しく歪ませ、効果的な音響空間を演出している。ちなみにこの曲はレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)にインスパイアされたものなのだそうだ。

ハードロックを思わせるギターのパワーコードが意外な(1)「Ripcord」

バンド最年長、1970年生まれのブラッド・メルドー(p, key)は今作においてもキーマンだ。デビュー時より天才ピアニストとして名を馳せ、常にジャズの第一線で活躍をしながら、レディオヘッド(Radiohead)の曲を好んで演奏したり、近年はドラマーのマーク・ジュリアナ(Mark Guiliana)との活動でビートミュージックにも踏み込むなどジャズの定義を拡大し続け、現代ジャズの進化の一翼を担う彼の存在は、やはりこのバンドの中でも大きい。

アルバムのジャケットデザインはクレイジーだが、内容は決して前衛的なものではない。
むしろ古すぎず先鋭すぎないサウンドは、今のNYジャズの中心を知るには最適だろう。

『マリオカート64』動画で話題になったことも

チェイス・バード(Chase Baird)は1988年、米国ワシントン州シアトル生まれのサックス奏者/作曲家。ロックバンドのトランペット奏者でもある父親の影響下で幼少時より音楽に親しみ、サックスは10歳頃から本格的に習い始めた。14歳の頃、伝説的サックス奏者マイケル・ブレッカー(Michael Brecker)の目に留まり、直接指導を受けている。

2010年に『Crosscurrent』でデビューしており、今作『A Life Between』はリーダー作としては2作品目となる。


そして、チェイス・ベアードといえば…もしかしたらこの動画を覚えている人もいるかもしれない。

数年前にネット上で話題になったビッグバンドによる任天堂のゲーム『マリオカート64』テーマ曲のビッグバンドによる演奏動画。
この中でテナーサックスソロを披露し、そのクレイジーさに称賛を浴びていたのがチェイス・ベアードだ。

SNSで拡散され、ゲーム好きの間で話題になった「マリオカート64」テーマ曲のビッグバンドアレンジ。この中でテナーソロを吹いていたのがチェイス・ベアードだ。
Chase Baird - A Life Between
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