“ボッサメタル”で一躍有名、ラファエル・モロミザトがキャリア初のソロ作品をリリース
ボサノヴァの名曲「Chega de Saudade(想いあふれて)」のメタル・バージョンが日本でも話題となり、一躍人気となったブラジルの“ボッサメタル”バンド、Huaska(ウアスカ)のリーダー/ヴォーカリストのラファエル・モロミザト(Rafael Moromizato)がキャリア初となるソロ作品『Contra Corrente(逆流)』をリリースした。
どこか懐かしい日本風のアートワークも印象的な本作では、これまでのHuaskaでの音楽性とはまた違った一面を聴くことができる。
ガットギター、チェロ、そしてパーカッションといったナチュラルなサウンドに乗せ、ロックやボサノヴァ以外のHuaskaの重要な要素だった素朴なブラジル音楽の側面が引き出されており、“ボッサメタル”に留まらない彼の新たな魅力に気づくことができる音楽に仕上がっている。
ラファエル・モロミザト 略歴
ラファエル・モロミザト(発音は“ハファエル”が近い)は1981年、サンパウロ出身のシンガーソングライター。その姓が表す通り、父方の祖父母が沖縄出身のブラジル移民で、日系三世だ。
彼はレディオヘッド(Radiohead)やニルヴァーナ(Nirvana)、デフトーンズ(Deftones)、フェイス・ノー・モア(Faith No More)といったロックバンドからの影響のほか、ジョアン・ジルベルト(João Gilberto)やアントニオ・カルロス・ジョビン(Antônio Carlos Jobim)らのボサノヴァからも多大な影響を受けて育った。
2002年にヴォーカルを担当するバンド「Huaska」を結成、以後、ボサノヴァやサンバなどのブラジル音楽とヘビーメタル、ハードロックを融合した独自のサウンドを目指し活動を開始。
2012年に発表した3rdアルバム『Samba de Preto』はエウミール・デオダート(Eumir Deodato)やエルザ・ソアレス(Elza Soares)といった大御所との共演も果たし大ヒット。日本でもSNSを通じ大いに話題となり、のちに日本独自のベスト盤『ボサノヴァ・メタル教典』が大々的にリリースされるなど“ボッサメタル旋風”を巻き起こした。
“諸見里ラファエル”と日本風の名前を好んで名乗っており、祖父母の祖国である日本、そして沖縄の地を踏むことを夢見ている。
Huaska は一時活動停止発表も、復活に向け準備中
Huaskaは2016年に4thアルバム『Fim』をリリース後、同年末に無期限での活動停止を発表。ラファエル・モロミザトはソロ活動の道を模索すると語っていたが、2019年初頭にHuaskaとしての活動を再開し、2曲のシングル──「Anime」、「Com Sentimento」をリリース。現在、2020年の新作リリースを目指しブラジルでのクラウドファンディングを募っている。