ギターの皇帝に惚れ込まれた新世代最強ギタリスト、セクステットでの圧巻ライヴ盤

Pedro Martins - Spider's Egg Live

今を生きる音楽の幸せ、ペドロ・マルチンス『Spider’s Egg』

鬼才カート・ローゼンウィンケルに魅入られた新世代の天才ギタリスト、ペドロ・マルチンス(Pedro Martins)のバンド「Spider’s Egg Sextet」のライヴ盤『Spider’s Egg (Live)』がいつの間にかリリースされていた(2019年11月リリース)。

今や次世代を担うギタリストとして期待値がMAXに高まるペドロ・マルチンスだが、さすがというか、期待以上というか…これはもう疑いようもない傑作だ。
世界中のあらゆる現在進行形の音楽が自然に融け込み、進化の最先端をゆくジャズ作品として多くの人に聴いてもらいたい絶品だと思う。

バンドはペドロ・マルチンス(g, vo)のほか、アントニオ・ロウレイロ(Antonio Loureiro, ds)、フレデリコ・エリオドロ(Frederico Heliodoro, b)、ジェネヴィエーヴ・アルタディ(Genevieve Artadi, vo, key)といった新世代ジャズを代表する最強メンツが揃い、ここにデイヴィッド・ビニー(David Binney, as)、セバスティアン・ギレ(Sebastian Gille, ts)の2管が加わる。ブラジル、米国、そしてドイツから注目のアーティストが揃ったステージというだけでもとても興味をそそられる。

サウンドは緻密で複雑なソングライティング、ジャズの即興性、豊潤なブラジル音楽文化、エフェクターを多用した音響的な要素、ジェネヴィエーヴ・アルタディのヴォーカルが醸すエキセントリックな雰囲気、そしてペドロ・マルチンスを始めとする聴き応え抜群の演奏などなど、もう一概にこれと言えない独特の音楽が次々と繰り出される万華鏡の世界だ。

咳払いひとつせずその音楽に集中し浸る聴衆はこの作品がライヴ盤であることを一時忘れさせる。そして古いスタイルのジャズにありがちな“各自のソロが終わったら拍手”のようなしきたりにはない、ステージで演奏する彼らが奏でる音楽の感動的な瞬間で自然に沸き起こる拍手によって、これが多くの聴衆と共有された空間であることを思い出させ、そして自分もこの場でこの音楽にリアルタイムで浸りたかった、そういう幸せな悔しさに似た感情を刺激させる。

このアルバムと似た内容のライヴ映像がYouTubeで公開されているので、ぜひ観てもらいたいと思う。

2017年11月にスウェーデンで行われたライヴ映像。

“ギターの皇帝”に惚れ込まれた新世代ギタリスト

ペドロ・マルチンス(Pedro Martins)は1993年、ブラジルの首都ブラジリア生まれのギタリスト/マルチプレイヤー。2015年にモントルー・ジャズフェスティバルでのギター・コンペティションで優勝すると、そこで審査員を務めていた“ギターの皇帝”ことカート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)にその才能を惚れ込まれ、カートの『Caipi』プロジェクトのツアーにも参加するなど一気にその知名度を上げた。
ギター誌『Jazz Guitar Magazine』でも現代ジャズの最先端をゆくギタリストの一人として取り上げられるなど、今もっとも注目すべき音楽家だろう。ギタリストに止まらないマルチプレイヤーとしての才能を爆発させた2019年作『Vox』は、多くの批評家などの2019年ベスト上位として絶賛されていた。

カート・ローゼンウィンケルのバンド「Caipi」で演奏するペドロ・マルチンス(前列でギター、シンセサイザーを演奏)。
カート・ローゼンウィンケルとのソロの応酬が凄まじい。

Spider’s Egg Sextet :
Pedro Martins – guitar, vocals
Genevieve Artadi – vocals, keyboards
David Binney – alto sax
Sebastian Gille – tenor sax
Frederico Heliodoro – bass
Antonio Loureiro – drums

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