“現代ジャズギターの皇帝”カート・ローゼンウィンケル、完全即興バンド Bandit 65 集大成

Kurt Rosenwinkel Bandit 65 - Searching The Continuum

ジャズギターを進化させるカート・ローゼンウィンケル

アルバムを出せば否応なしに注目を浴びる、現代ギターの“皇帝”カート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)の新譜『Searching The Continuum』は、エレクトロニカ系のギタリスト、ティム・モッツァー(Tim Motzer)とドラマーのジンタス・ジャヌソキス(Gintas Janusonis)との3人編成のバンド、Kurt Rosenwinkel Bandit 65 名義での作品で、世界中を完全即興演奏でツアーした彼らのパフォーマンスの最高の記録でもある。

アルバムの収録曲には次のように、演奏された都市名が添えられている。

(1) Inori (ストックホルム, スウェーデン)
(2) Sagrada (マドリード, スペイン)
(3) Bloomer (フィラデルフィア, アメリカ合衆国)
(4) Interstellar Suite (ウィーン, オーストリア)
(5) At The Gates (ベルリン, ドイツ)
(6) In Time (ロサンジェルス, アメリカ合衆国)
(7) Magical (フィラデルフィア, アメリカ合衆国)

完全即興で描かれる色彩豊かな音響空間

カート・ローゼンウィンケル・バンディット65の演奏は全て完全即興で行われる。まったく白紙の状態から、カート・ローゼンウィンケルとティム・モッツァーの2台のギターが作り出す音響空間、ジンタス・ジャヌソキスが臨機応変に叩き出すビート、そこにギターのインプロヴィゼーションが絡み合うさまは、聴いているこちら側としても非常にスリリングだ。

流石に完全即興だけあって突拍子もないコードチェンジは出てこないが、ルーパーや各種エフェクターも駆使しながら、長年3人で活動を続ける中で互いの手の内を探り合いつつリアルタイムに構築されていく色彩豊かな音楽という印象を受ける。

即興によって紡がれている音楽は、ときには奇跡的な美しさを見せ、ときには哲学的な静寂を訪れさせる。
三者三様にエレクトロニカを用い、ギターや音楽の可能性を拡張するさまは、音楽ファンにとっては興味深いものがあると思う。

イタリア・ミラノで行われたカート・ローゼンウィンケル・バンディット65の演奏。

Kurt Rosenwinkel Bandit 65 :
Kurt Rosenwinkel – guitar, electronics, vocals
Tim Motzer – guitar, electronics
Gintas Janusonis – drums, percussion, electronics

Kurt Rosenwinkel Bandit 65 - Searching The Continuum
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