モーゼス・ボイド。隆盛極めるUKジャズシーンで輝く最先端ドラマー

Moses Boyd - Dark Matter

最先端のビートを提示する、UKジャズシーンの鬼才ドラマー

「ジャズ」という音楽の従来のイメージを根底から覆しながら、それでも「ジャズ」としか呼べない音楽を次々と生み出し続けるイギリス・ロンドンの現在進行形のシーンから、その中心で活躍するドラマー、モーゼス・ボイド(Moses Boyd)の衝撃的な新譜がリリースされた。
その人力とは思えないビートが冴え渡る2020年の新譜『Dark Matter』は、ジャズ、アフロビート、ネオソウル、さらにはダブといった要素が良い意味でカオスに混ざり合った隆盛極めるロンドンのジャズシーンを象徴するようなアルバムだ。

本作にはシーンを代表する鬼才鍵盤奏者ジョー・アーモン・ジョーンズ(Joe Armon-Jones)、ソウル/ジャズの若手女性シンガーポピー・アジューダ(Poppy Ajudha)、ナイジェリア出身の男性シンガーオボンジェイヤー(Obongjayar)、南アフリカ出身のノンク・フィリ(Nonku Phiri)といったゲストも参加。現代UKジャズの充実ぶりを改めて誇示するような作品になっている。

ポピー・アジューダをフィーチュアした(5)「Shades of You」のMV。

モーゼス・ボイドのドラム演奏など生音を軸としながらも、おそらくポストプロダクションにも多大な時間を費やしたであろう本作には、モーゼス・ボイドの時代の流行を読む才能が現れているし、しかもその中においてもジャズの醍醐味である即興演奏のエネルギーを失わないように細部まで調整されたサウンド作りにプロデューサーとしての才を感じずにいられない。

ジャンルレスな実績が輝く新世代の音楽家

モーゼス・ボイド(Moses Boyd)はロンドンを中心に活動するドラマー/作曲家/プロデューサー。父親はドミニカ出身、母親はジャマイカ出身という西インド諸島からの移民の2世。
2015年にレコーディングされたデビュー作『Displaced Diaspora』が高く評価され、これまでにロンドンのジャズシーンだけでなくリトル・シムズ(Little Simz)サンファ(Sampha)といったHip-Hop/R&Bシーンでも活躍。さらにはビヨンセ(Beyonce)が監修した実写版『ライオン・キング』のサウンドトラック『The Lion King: The Gift』にも楽曲を提供(23曲目の「My Power」)するなど、多岐に渡る活動でその名を馳せてきた。

ジョー・アーモン・ジョーンズをフィーチュアした(8)「2 Far Gone」のオフィシャルオーディオ。
Moses Boyd - Dark Matter
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