鬼才シャソール、5年ぶり新譜
前作『Big Sun』から実に5年ぶり!フランスの鬼才シャソール(Chassol)のオリジナル・フルアルバム『Ludi』がリリースされた。
日常に溢れる音や、普通のスピーチなどから音楽を作り上げる手法にさらに磨きがかかり、驚きに満ちた全30曲のめくるめくシャソール・ワールドが展開される。
彼の音楽は、めっちゃ楽しくて、芸術性もあり、そして単純にかっこいい。
こんな音楽、なかなかないぞ。
いくつかミュージック・ヴィデオも公開されているので、とにかく観てほしい。
アルバムにはクリスタル・ケイやKOHHのサンプリングも
ドイツのノーベル文学賞作家ヘルマン・ヘッセの長編小説『ガラス玉演戯』に触発されたという今作『Ludi』も驚きに満ちた傑作だ。
(2)「Les règles」での主旋律はずっと単音、コードが絶えず変化する小洒落た音楽はA.C.ジョビンの名作「One Note Samba」のよう。
(8)「Koh & Sam」や(9)「Mikado Walking」、(11)「Esatabemakuru」などなど、随所に謎な日本語も聴こえてくる。クリスタル・ケイや日本のMC、KOHHの声もサンプリングされているようだが、これらの曲で聴こえる日本語がそうなのだろうか。
(12)「Tetris Synths」、(13)「Tetris Crystal」は世界的元祖落ちゲー「テトリス」のBGMとしても有名なロシア民謡「コロブチカ(行商人)」の楽しいサウンドコラージュ。
めまぐるしく展開する実験的なサウンドながら、リズムや低音が強調されたサウンドはクラブミュージックにも通じる。
自由で遊び心に溢れ、異彩を放つシャソール
シャソール(Christophe Chassol)はカリブ海に浮かぶフランスの海外県マルティニークに生まれた作曲家。米国ボストンのバークリー音楽大学を2002年に卒業、しばらくは映画音楽やテレビ、CMの作曲などの仕事を手掛けた。
2015年には“ウルトラスコア(ultrascore)”と呼ばれる日常の生活音や騒音、話し声などを音楽に昇華させる手法で制作されたアルバム『Big Sun』が一躍評判に。
スピーチにメロディーや和声をつける手法はブラジルのエルメート・パスコアール(Hermeto Pascoal)とも比較される。
自由奔放で遊び心溢れるシャソール。クリエイティヴなアイディアに満ちた約1時間の音楽的遊戯。