テーマは“人類の絶滅”。UKジャズシーンのカリスマ、シャバカ・ハッチングス新譜

Shabaka And The Ancestors - We Are Sent Here By History

シャバカ・ハッチングス新譜テーマは“人類の絶滅”

現代UKジャズシーンの旗手、シャバカ・ハッチングス(Shabaka Hutchings)率いるバンド、シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズ(Shabaka And The Ancestors)の新譜『We Are Sent Here By History』のテーマは、ずばり人類の避けられぬ運命=絶滅だ。アルバム全編を通じ、切迫した力強い演奏が繰り広げられる。これはアフリカやアフロ・カリブの死生観に根ざしたものだろう。地球上の人類が“歴史”と呼ぶものの中で、“より強い何か”のために失ってきた多くのものへの鎮魂歌のようにも聴こえる。

シャバカ・ハッチングスは1984年英国ロンドン生まれだが、6歳の頃からは両親の祖国バルバドスで青年期までの多感な時を過ごしている。彼が音楽に出会ったのは9歳、最初の楽器はクラリネットだった。16歳になってロンドンに戻るまでの間に経験したバルバドスのカーニバルや、カリプソ、ソカといった伝統音楽は彼の原体験に大きな影響を与えつつ、10代の彼は他の多くの若者と同様にレゲエやヒップホップという文化にも大きな影響を受けた。彼はその類稀なサックスで、ジョン・コルトレーンやソニー・ロリンズになろうとはしていない。彼がサックスを武器に目指すものは著名なレゲエのMC──ケイプルトン(Capleton)、アンソニー・B(Anthony B)、シズラ(Sizzla)など──だと語っている

(3)「Go My Heart, Go To Heaven」

そんな彼がこの暗澹とした作品で披露するサックスは饒舌だ。繰り返される低音のリフレインの上で時には静かに、時には叫ぶように奏でる魂の音色。
全11曲、そこに連なる曲名を見ても分かる通り、ストーリーテラーとしてのシャバカ・ハッチングスがここにはいる。

(6)「The Coming Of The Strange Ones」

UKジャズシーンを牽引するシャバカ・ハッチングス

シャバカ・ハッチングスは現在、人気サイケデリック・ジャズバンド、コメット・イズ・カミング(The Comet Is Coming)に在籍し、さらにソンズ・オブ・ケメット(Sons Of Kemet)、そしてこのシャバカ・アンド・ジ・アンセスターズという2つのレギュラーバンドも率いている。アンセスターズ編成では2016年の『Wisdom of Elders』以来の2作目となる。

Shabaka And The Ancestors :
Shabaka Hutchings – tenor saxophone
Mthunzi Mvubu – alto saxophone
Mandla Mlangeni – trumpet
Siyabonga Mthembu – vocals
Nduduzo Makhathini – rhodes, piano
Ariel Zamonsky – bass
Gontse Makhene – percussion
Tumi Mogorosi – drums

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