カッサ・オーバーオールに覗き見るJAZZの未来

Kassa Overall - I Think I'm Good

雑多な今JAZZを聴くなら避けて通れない快作

カッサ・オーバーオール(Kassa Overall)の新譜『I Think I’m Good』はかつてなく強烈な印象を残すアルバムだった。
この音楽はいったい何なのだろう。

ジャズもヒップホップの文化も、カッサ・オーバーオールというシアトル生まれのドラマー/作曲家の元ではまったく等価だ。
これまでに聴いたことがないような捉え所がない音楽のようにも聴こえるし、明確なコンセプトのもとに美しくまとまった音楽のようにも聴こえる。

ピアノやドラムス、フルートの文字通り生々しい生音も、シンセサイザーや効果音に打ち込みのリズム、ポストプロダクションによる音響処理も、見事なまでに融和する。加えて変態的な変拍子の(5)「Show Me a Prison」やサリヴァン・フォートナー(Sullivan Fortner)の陰鬱なピアノが印象的な(9)「Darkness in Mind」で見せる若干青くもエネルギーが爆発したようなセンスの良さも特筆もの。

近年注目を浴びる音楽家も多数参加。(2)「Please Don’t Kill Me」にはヴィブラフォンのジョエル・ロス(Joel Ross)、トランペッターのセオ・クロッカー(Theo Croker)。
猥雑を極める(10)「The Best of Life」にはピアノの神童アーロン・パークス(Aaron Parks)。
(12)「Was She Happy」にはインド系の天才ピアニスト、ヴィジェイ・アイヤー(Vijay Iyer)も参加している。
現代ジャズをリードする多くのミュージシャンが関わる本作は、まさしくジャズの未来を垣間見ているようだ。

カッサ・オーバーオールの音楽はドライブのBGMには確かに向かないかもしれない。
ただ、夜中にひとりで呑みながらヘッドフォンで大音量で浸るにはこれ以上ないほど最高にハッピーになれる音楽だと思う。
何周聴いてもよく分からないけど、妙に魅力的でさらに何周も聴いてしまう。そんな変わった作品だ。

Kassa Overall - I Think I'm Good
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