充実する南米音楽シーンの象徴的な一枚!新進気鋭の女性フルート奏者/作曲家マイアラ・モラエス

Maiara Moraes - Cabeça De Vento

美しさと高度な作編曲/演奏を兼ね備えたマイアラ・モラエス『Cabeça De Vento』

ブラジルの新進気鋭の女性フルート奏者/作曲家マイアラ・モラエス(Maiara Moraes)の2nd『Cabeça De Vento』は、クラシックやジャズ、現地の伝統音楽が壁なく交叉する南米の充実した現行音楽シーンを象徴するような刺激的な一枚だ。

マイアラ・モラエスは2018年にカルテットでデビューアルバム『Maiara Moraes Quarteto Nós』を発表しているが、今作『Cabeça De Vento』ではドラムスのペドロ・エニング(Pedro Henning)以外のメンバーを入れ替え、さらにフルート/サックス奏者のジョズエ・ドス・サントス(Josué Dos Santos)が加わっている。収録楽曲も前作はほとんどがショーロの楽曲のカヴァーだったが、今作は全7曲中5曲が彼女のオリジナルで俄然オリジナリティーが増した。

この今回の2管編成が楽曲のアレンジの幅の広がりにとても効果的に作用しており、(1)「Maracatu」や(4)「Choro Pro Pe」など、2本のフルートでのアンサンブルが美しく際立つ。前者はデビュー作にも収録されていた曲だが、フルートがもう1本加わったことでアレンジにもより深みが出ている。

(1)「Maracatu」のライヴ演奏動画。
このライヴはアルバムとはメンバーが異なっており、バスフルートをテコ・カルドーゾ(Teco Cardoso)が担当している。

(2)「Bailonga」は女優としても活躍するパウラ・ミリャン(Paula Mirhan)のヴォーカルが印象的。ここでもブラジルの伝統的なリズムを洗練させたようなアレンジがみられる。

(3)「Novena」は変拍子やポリリズムを用いた複雑な構成を持つ美しい楽曲で、作曲家としてのセンスの素晴らしさが伺える。

美しく、そして複雑な(3)「Novena」

カヴァー曲としてはNYを拠点に活動するブラジル人作曲家/サックス奏者のガイア・ヴィルメル(Gaia Wilmer)作の(5)「Avenida Do Café」やアルゼンチンの鬼才音楽家ギジェルモ・クレイン(Guillermo Klein)作の(7)「Con Brasil Adentro – Fuga X」を収録。

マイアラ・モラエスはブラジル・サンタカタリーナ州の州都フロリアノーポリスの出身で、現在はサンパウロ在住。幼少時からピアノを習い始め、フルートは12歳から。ショーロを代表するフルート奏者コピーニャ(Copinha)や、ギジェルモ・クラインらに強い影響を受けているようだ。

Maiara Moraes – flute
Pedro Henning – drums
Igor Pimenta – bass
Guilherme Ribeiro – piano
Josué Dos Santos – saxophone, flute

Guests​:​
Gaia Wilmer – saxophone
Paula Mirhan – vocal

Maiara Moraes - Cabeça De Vento
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