二人のベーシストとカリスマ女性Voが織りなす刺激的なロシアジャズ

Makar Novikov & Hiske Oosterwijk - Stereobass

主役は二人のベース?それとも…!?

ロシア発、二人のベーシストがフィーチュアされたユニークなコンテンポラリージャズ作品『Stereobass』がとても良い。

タイトルを見て、二人の凄腕ベーシストが低音でブリブリ言わせるバトル的な作品なのかな、と思ったらこれがまた全然、良い意味で予想を裏切られた。

本作の主役はどこからどう聴いても全曲の作詞作曲を担当する女性ヴォーカリスト、ヒスケ・オーステルワイク(Hiske Oosterwijk)だ。
アルバムのアーティスト名にクレジットされている右チャンネルの男性ベーシスト、マカル・ノヴィコフ(Makar Novikov)はウッドベースにピッコロベース、エレキベースで低音を支えたりソロをとったり対旋律を弾いたり地味に堅実なプレイだが、目立つタイプではない。左チャンネルの女性ベーシスト、ダリア・チェルナコワ(Daria Chernakova)はより一層目立たず、地味にウッドベースで低音を支える。
(5)「Je voudrais te voir rire」の間奏部のようにベーシスト二人が互いにソロをぶつけ合う(地味だが超絶に上手く、面白い演奏だ)場面もあるものの、前知識なしで流し聴きをすればベーシストが二人いることすら気付かれないかもしれない。

『Stereobass』のEPK。

完璧にバランスされた逸品

確かに二人のベーシストは地味だ。
だが、それがアルバム全体のバランスを見事に保っている。

ピアニスト、アレクセイ・イヴァンニコフ(Alexey Ivannikov)も、ドラマーのサーシャ・マーシン(Sasha Mashin)の演奏もそれぞれ役割を100%こなしている。80%でもなく、120%でもなく、全員が100%。各人がそれぞれの役割を過不足なく完璧に果たす。このバンドの一体感が半端ないのは、この統率されたバランス感覚ゆえだ。『Stereobass』というタイトルから考えればもっと目立たせてもいいはずの音を敢えて目立たせず、バランスを優先したプロデューサーは凄い。

そして冒頭に戻るが、この完璧に統率されたバンドを牽引する力が、北欧的な透明感も、R&B的な力強さも併せ持ったヴォーカリストであるヒスケ・オーステルワイクの圧倒的な声とソングライティングだ。
彼女のヴォーカルや多重録音されたコーラスの場面は圧倒的な印象をもたらすが、そればかりではないところも本作の“バランス感覚”の優れた部分だと思う。

さりげなく施された薄いエフェクトもセンスが良く、とにかく聴いていて気持ちが良い素晴らしい作品。
古い印象しか与えないアルバムのジャケット画を変えれば、何倍以上も売れるのではと思った。とにかく、この音楽を聴いてみてもらいたい。

シングルカットされた(1)「Yellow Car」。

Hiske Oosterwijk – vocals, composition and lyrics
Makar Novikov – double bass (right channel), piccolo bass, bass guitar
Daria Chernakova – double bass (left channel)
Alexey Ivannikov – piano, wurlitzer
Sasha Mashin – drums

Makar Novikov & Hiske Oosterwijk - Stereobass
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