シンプルだからこそ伝わる、ロリ・モリーナの歌とギターの素晴らしさ
アルゼンチンの女性SSW、ロリ・モリーナ(Loli Molina)の2019年作『Lo Azul Sobre Mi』は彼女のギターと歌を全面的にフィーチュアした、これまでの作品と比べても随分と落ち着いた印象を受ける傑作だ。
ジャズやロック、ポップスなど幅広く取り入れてきたこれまでの作品にはあまり見られなかった、彼女の声とギターの大人びた魅力に改めて気付かされる。
アルバムは全曲ロリ・モリーナの作曲。(5)「Frontera」はゲストにアカ・セカ・トリオ(Aca Seca Trio)のフアン・キンテーロ(Juan Quintero)がゲスト参加している。
全編にわたって歌とギターを中心に据えたアレンジで、数曲で室内楽的な温かみのあるストリングスアレンジが施されているが、ドラムスやパーカッションといったリズム楽器は一切使用されない。だからこそ音楽はより親密さを感じさせる温かな仕上がりになっており、この類稀な才能を持ったアーティストの素晴らしさを肌で実感できる内容になっている。
ロリ・モリーナ(Loli Molina, 本名:María Dolores Molina)は1986年、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス生まれ。幼少期よりピアノを習い、のちにシンガーソングライターとしての表現を極めるべくギターを手にアーティストとしての活動を開始。
アルゼンチンの著名SSW、フアナ・モリーナ(Juana Molina)に招待され2007年にブエノスアイレス・フォーク・フェスティバルのステージでデビューを飾った(姓が同じだが、フアナ・モリーナとの血縁関係はない)。
2008年に『Los Senderos Amarillos』でアルバムデビュー。以降もコンスタントに作品を発表し、今作『Lo Azul Sobre Mi』は通算4枚目のアルバムとなる。