スタンダードを大胆に再構築するフランスのピアニスト、ザビエル・ソラール『(Re)Compositions』

Xavier Thollard Trio - (Re)Compositions

スタンダードを再構築した現代的フレンチ・ジャズ

フランスのピアニスト、ザビエル・ソラール(Xavier Thollard)のピアノトリオでの最新作はアルバムタイトルの『(Re)Compositions』通り、スタンダードとなっている楽曲の“再作曲”を標榜した個性的なトリオ作品だ。

ジョニー・グリーンの(1)「Body and Soul」、レイ・チャールズの(6)「Hallelujah I Love Her So」、ビリー・ストレイホーンの(4)「Lush Life」に(9)「Take the A Train」、ディズニー映画『白雪姫』主題曲のフランク・チャーチル作曲(10)「Someday My Prince Will Come」、さらにはラストのエルトン・ジョンの名曲(11)「Your Song」など多数のスタンダード曲が取り上げられているが、いずれもコードの大部分を作り替え、原曲の旋律をほのかに残すのみの大胆で豪快なアレンジが施されている。
スタンダードを元にはしているものの、決して分かりやすさのウケ狙いではなく、どこまで原曲を壊して再構築できるかという面白さにとことん拘って作られた通好みのアートな演奏だ。複雑に構成・演奏される一見オリジナルかと思うような曲の中に、微かに残る名曲のメロディーが浮き立つ瞬間の美しさがたまらない。

パット・メセニーの代表曲である(3)「Song for Bilbao」の演奏動画。

今作のトリオのメンバーとは2014年から活動を共にしている。
ハンガリー出身のコントラバス奏者マティアス・サンダイ(Matyas Szandai)、そしてドラマーのシモン・ベルニエ(Simon Bernier)もそれぞれが複数のバンドで活躍する名手で、三位一体の力強いアンサンブルも各々のソロも絶品。

ザビエル・ソラール、フランスらしい芸術的なピアニスト

ザビエル・ソラールは1982年生まれのジャズピアニスト。9歳からフランスのレンヌ地方音楽院でクラシック音楽を学び、14歳でジャズへ転向。2002年に拠点をパリに移し、2008年にオリジナル曲を中心とした『Prime Times』でデビュー。
フライブルク国際ジャズピアノコンクールやモントルー・ジャズのソロピアノコンペティションなどで受賞歴がある。

彼はこれまでもスタンダードの大胆な再解釈で個性を際立たせてきた。
2011年のソロピアノ作『Standards (Piano Solo)』や2017年のピアノトリオ作『Nardis』でもそうしたジャズの編曲と即興の美学を楽しめる。

Xavier Thollard – piano
Matyas Szandai – bassa
Simon Bernier – drums

Xavier Thollard Trio - (Re)Compositions
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