ショーロの歴史を紡いだピアノとバンドリンのデュオ傑作
ブラジルのピアニスト、アンドレ・メマーリ(André Mehmari)とバンドリン奏者ダニロ・ブリート(Danilo Brito)の共演作『Nosso Brasil』(2019年)は、ブラジルの古いショーロを中心に構成された作品だ。
アルバムはエルネスト・ナザレー(Ernesto Nazareth)やアナクレート・ジ・メデイロス(Anacleto de Medeiros)、ガロート(Garoto)、ピシンギーニャ(Pixinguinha)などブラジルの豊かな音楽の礎を築いてきた19世紀末から20世紀前半の作曲家たちの曲を中心に構成されており、ブラジルという国で脈々と受け継がれ発展してきたこのショーロという音楽を21世紀の今、世界を見廻してももっとも素晴らしく表現することのできるアーティストであるアンドレ・メマーリとダニロ・ブリートの二人が流麗に紡いでいく。ここに収められた70分の音楽は長い歴史を持つショーロが(現時点で)最後に実らせたこれまでで最も甘く誠実な果実かもしれない。
André Mehmari – piano
Danilo Brito – bandolim