ブラジルを代表するSSWレニーニ、伝説的ライヴ『In Cité』の完全版をデジタルリリース
ブラジルのSSW、レニーニ(Lenine)が2004年にハミロ・ムソット、ジューサとのトリオ編成でフランス・パリで行った伝説的ライヴの完全版『Lenine In Cité (Deluxe)』が、ついにデジタルリリースされた。
本作は2004年に同ライヴから12曲をピックアップしたCDと、全20曲を収録したDVDで同時フィジカル・リリースされていたものの、完全なるDVDの方の待望の音源化である。
CD『Lenine In Cité』の方は既にデジタルリリースされているが、曲順も変えられており、熱気に満ちたこのライヴを楽しむには充分ではないとして批判が続出していた(私の心の中から)。
そんなとき、レニーニ本人から「完全版のデジタル配信開始したよ!」のツイートが流れてきたのだから狂喜乱舞である。
前述のように、このライヴではギターとヴォーカルを担当するレニーニ(Lenine)の他、“ビリンバウの魔術師”と称されたアルゼンチン出身の天才パーカッショニスト、ハミロ・ムソット(Ramiro Musotto, 胃癌のため2009年に逝去)と、キューバの才媛SSW/ギタリストのジューサ(Yusa)がベーシストとして参加しており、これ以上ないほどに三位一体の完璧なアンサンブルを演じている。
最初から最後まで映像で通して観るべき作品だと思っているが、ハイライトを挙げるとすれば(16)「Todas Elas Juntas Num Só Ser」だろう。楽曲の構成としては僅かなコードを繰り返すだけのミニマルなものだが、とてつもなく長い歌詞には世界中の多数の著名ミュージシャンの名前が登場する。レニーニはこれらの音楽家の素晴らしい音楽は全てあなただけに捧げられたものだと歌う。私はこれほどまでに熱烈なラブソングを他に聴いたことがない。
この圧巻の歌に空間が酔狂する様は、以下の動画で観ることができる。
このライヴでは他に代表曲(3)「Ninguém Faz Ideia」や独特なアルペジオが美しい(9)「Paciência」、ハミロ・ムソットのクイーカとパンデイロが印象的に響く(15)「Rosebud」など魔法にかかったような素晴らしい演奏が繰り広げられる。
レニーニ:ブラジル音楽を拡張した男
レニーニ(本名:Osvaldo Lenine Macedo Pimentel)は1959年ペルナンブコ州ヘシーフェ生まれのブラジルを代表するシンガーソングライター/ギタリスト。1993年に今となっては“モダン・パンデイロの巨匠”と呼ばれるパーカッション奏者、マルコス・スザーノ(Marcos Suzano)と制作した名盤『Olho de Peixe』で一躍話題に。ヒップホップやブラジル北東部音楽を消化したロックという独自の立ち位置を獲得し、世界的な名声を得た。
2004年に彼自身としては初となるライヴ盤である今作『Lenine In Cité』をリリースし、この作品で翌年2005年にラテングラミー賞を受賞している。
Lenine – guitar, vocals
Yusa – bass, vocals
Ramiro Musotto – percussion