デリック・ホッジ、3枚目のリーダーアルバム
ロバート・グラスパーのバンド(Robert Glasper Experiment)などで活躍し、現在進行形ジャズの最先端と目される米国のベーシスト/作曲家、デリック・ホッジ(Derrick Hodge)の3作目となるリーダーアルバム『Color of Noise』がリリースされた。
プロデュースはなんとブルーノートレコーズの社長(2012年に就任)でもある重鎮ドン・ウォズ(Don Was)。
ジャズのみならずR&Bやヒップホップなど、あらゆるブラックミュージックシーンの中でジャンルの垣根なく活躍するデリック・ホッジらしく、多様性の音楽の時代のまさしく“今”を捉えたサウンドが素晴らしい。
アルバムはわずか2日間で、ほぼ全ての曲がワンテイクで録音されたという。
ターンテーブルも加えた編成で現代的な音作りながら、全体の音像はとてもオーガニックな印象が強い。最先端の音楽だが、人間の演奏によるあたたかさが随所に現れている。
(1)「The Cost」から二人の鍵盤奏者、二人のドラマーを交えたこのユニークな編成のバンドの真骨頂が発揮される。アコースティックピアノとオルガンを担当するジャハーリ・スタンプリー(Jahari Stampley)、エスペランサ・スポルティングとの活動で知られるドラマー、ジャスティン・タイソン(Justin Tyson)など、強烈な個性を備えたミュージシャンらによる解像度の高いアンサンブル。
そしてアルバムを聴き進めていけば、万華鏡のように多彩な音楽を消化吸収し表現する、このデリック・ホッジという男が単なるベーシストではなく、今の、そしてこれからの音楽を強力に引っ張っていく稀有な才能の持ち主だということに気づく。
(10)「New Day」ではデリック・ホッジは珍しくアコースティック・ギターでの弾き語りを披露していて、とても興味深い。
Derrick Hodge – bass, keyboards, guitar, voice
Jahari Stampley – piano, organ
Michael Asberg – keyboards, synths
Mike Michell – drums
Justin Tyson – drums
DJ Jahi Sundance – turntables