ドイツ新世代ジャズの最先端!ホルスト・ハンセン・トリオ『Live in Japan』

Horst Hansen Trio - Live in Japan

破竹の快進撃を続ける“トリオ”を騙るクインテット

アサヒビールのポスターを背景に、箸で寿司をつまむ5人がアルバムジャケットに描かれている。彼らの名はホルスト・ハンセン・トリオ(Horst Hansen Trio)。1960年代のドイツで活躍したホルスト・ハンセンという名の伝説的トランペッターが創立したトリオの遺志を受け継いで活動するバンドに対して、「5人なのになんでトリオやねん!」とツッコむのは今さらナンセンスかもしれない。

メンバー全員が1990年代生まれ。パワフルなサックス奏者マンフレッド(Manfred)が率いるこの若き俊英たちはドイツの都市メールス、レーバークーゼン、そして日本の有名なフェスティバルで成功し、一躍トップスターに躍り出た。そんな彼らが4作目のスタジオアルバムとして2020年にリリースしたラジオ放送仕立ての新譜が『Live in Japan』だ。

……。

…えっ、そんなバンド、知らない?? 聴いたこともない!?

それもそのはず。
ここまでの話には半分くらい虚構が混ざっている。

ホルスト・ハンセン・トリオは残念ながら来日公演など行っていないし、そもそもインターネット上に日本語で書かれた彼らの記事はまだ一切存在していない。ホルスト・ハンセンという名のトランペッターも実在しなかったし、バンドリーダーのサックス奏者“マンフレッド”をはじめメンバー全員が偽名である。

これらのストーリーのすべては「ジャズはポップスのようにもっと広く聴かれる音楽にできる。それは音楽を複雑にすることではなく、感情の暴走に訴えることだ」という強い信念のもと、“マンフレッド”ことルーカス・ウェーバー(Lukas Weber)らが考え出した注目されるためのアイディアなのだ。

自称“オーヴァー・ジャズ”。その音楽は個性的で楽しい

そんな遊び心溢れるストーリー同様に彼らの音楽はとてもユニークで、演奏技術も素晴らしく、そして何より最高に面白い。

架空の“Live in Japan”からの(2)「Fußkampf」
サックス、トランペットの2管、ギターのように歪ませたキーボード、重いベースとドラム。
楽曲もドラマチックな展開をみせる。
(11)「Malroy」のMV。
演奏も映像もアヴァンギャルドで最高!

彼らは自らの音楽を“オーヴァー・ジャズ(überjazz)”と表現する。
サイケデリック・ロックやプログレなど様々なジャンルの音を取り入れることをためらわないアグレッシヴなサウンド。それでいて二管フロントを中心とした編成での即興にはジャズ特有の熱狂があり、アナログシンセやエレクトロニカも用いた渦巻くようなグルーヴには抗い難い強力な引力がある。UKや北欧を中心に発展を遂げているクールで進歩的なジャズとはまた一味違う、ネクストレベルのジャズという感じがする。

“Live in Japan”は現時点では確かにでっち上げられたフェイクだが、近いうちに本当にそれが実現するかもしれない。そんな期待をしたくなるバンドだ。

ライヴの模様(ダイジェスト版)。

Horst Hansen Trio :
Manfred (Lukas Weber) – saxophone
Otto (Linus Klitzing) – trumpet
Eberhardt (Till Menzer) – drums
Heinz (Sebastian Ascher) – bass, electronics
Hans-Dieter Zimmermann (Carsten Hackler) – piano, keyboards

Horst Hansen Trio - Live in Japan
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