ジャン・ルイ・マティニエ&ケヴィン・セディキ『Rivages』
フランスのアコーディオン奏者、ジャン・ルイ・マティニエ(Jean-Louis Matinier)と同じくフランスのギタリスト、ケヴィン・セディキ(Kevin Seddiki)のデュオによる『Rivages』(2020年)は、ECMらしい静謐で美しい響きを堪能できる作品だ。
たった二人の演奏だが、ジャン・ルイ・マティニエの鍵盤式アコーディオンは左右2本のマイクで収録されており、それぞれパンニングすることで立体的なサウンドになっている。
(1)「Schumannsko」は多重録音も用いられるなど重層的な音の広がりがあり、とても美しい。
収録曲はほとんどがオリジナルだが、クラシック作曲家ガブリエル・フォーレ(Gabriel Fauré, 1845 – 1924)の(3)「Les berceaux(ゆりかご)」や、大幅なアレンジを加えた伝統曲(6)「Greensleeves(グリーンスリーヴス)」、1970年公開のフランス映画『過ぎ去りし日の…』の(8)「La chanson d’Hélène(エレーヌのシャンソン)」なども取り上げられており、バラエティ豊かな演奏を楽しめる。
アコーディオン奏者のジャン・ルイ・マティニエ(Jean-Louis Matinier)は1963年生まれ。これまでにECMからリリースされた多くの作品に参加しており、中でもピアニストのフランソワ・クチュリエ(François Couturier)らとの『Nostalghia – Song for Tarkovsky』(2006年)やチュニジアのウード奏者アヌアル・ブラヒム(Anouar Brahem)らとの『Le Voyage de Sahar』(2006年)などは高い評価を得ている。
一方のギター奏者のケヴィン・セディキ(Kevin Seddiki)は1981年生まれで、こちらはECM初参戦。8歳からクラシックギターを学び始め、2009年にはドイツのドレスデンで「ヨーロピアン・ギター・アワード」を受賞。
これまでにフランス国内のみならず、ギリシャ、インド、南米のミュージシャンと共演するなど幅広い音楽性を持つ。近年ではアルゼンチンの女性歌手サンドラ・ルモリーノとの共作アルバム『Tres Luceros』(2016年)は必聴だ。
Jean-Louis Matinier – accordion
Kevin Seddiki – guitar