今注目のアルゼンチン音楽、その最高峰。ロドリゴ・カラソ新譜『Octógono』

Rodrigo Carazo - Octógono

多彩な感性がロドリゴ・カラソという才能に吸収された新譜『Octógono』

これは2020年の南米音楽を代表する作品の予感がする…!
リラックスした上質なひとときを過ごしたいとき、この音楽があれば最高に贅沢かも知れない。

アルゼンチン第二の都市コルドバ出身のSSW、ロドリゴ・カラソ(Rodrigo Carazo)の新譜『Octógono』。優しいヴォーカルと、アコースティック主体の洗練された演奏・アレンジ、そして南米特有の浮遊感の高いメロディーセンスが特徴的な作品だ。ロドリゴ・カラソが弾く弦楽器と、彼の歌を中心とした収録曲はどれも楽曲構成自体はシンプルだが細かい凝ったアレンジが施されており、何度でも繰り返し聴きたい曲が続く。

もう(1)「Antes del Tiempo」の素敵すぎるコード感と旋律に一瞬でノックアウトされてしまうが、特筆しておくと今作は参加ミュージシャンもとても豪華だ。

アルゼンチン音響派を代表するパーカッショニストサンチアゴ・ヴァスケス(Santiago Vázquez)のンビラ(親指ピアノ)で始まる(3)「Mis Ideas」にはメキシコのSSWデイビット・アギラール(David Aguilar)が口笛で参加。どこかアフリカ的な素朴さも纏う至高の曲に仕上がっている。

(3)「Mis Ideas」のMV

(4)「Só para Ficar」にはブラジルのSSWト・ブランヂリオーニ(Tó Brandileone)、スペインのSSWペドロ・パストール(Pedro Pastor)、イスラエルのSSWリオール・ショーヴ(Lior Shoov)、フランスの歌手レイラ・マルシャル(Leïla Martial)がヴォーカリストとして参加している。
クールなパンデイロのビートと付点八分で刻むガットギターのリズムが続き、今作でもハイライトとなる1曲だろう。

(8)「Valparaíso」ではコルドバの弦楽四重奏、マグノリア・クアルテート・デ・クエルダス(Magnolia Cuarteto de Cuerdas)が参加。
約2分の小品ではあるが洗練されたアレンジでしっとりとロドリゴ・カラソのギターと歌に寄り添う。

ラストの(10)「Cantábrico」は低音のドローン(持続音)が印象的で、異国感も漂う多幸感のある曲だ。

現代アルゼンチン音楽界隈の最注目アーティスト!

ロドリゴ・カラソは1985年、アルゼンチン・コルドバ生まれのシンガーソングライター/マルチ奏者。本作ではギター、ブズーキ、マンドリンなどの弦楽器を中心に、ピアノやシンセ、パーカッションも弾いている。

2013年に『Ríe Río』でデビュー。
2016年の傑作『Oír e Ir』が発表されると、アカ・セカ・トリオ(Aca Seca Trio)などに代表されるアルゼンチンの最新フォルクローレの新鋭としてここ日本でも大いに注目される存在となった。

今作では前述の大物ゲストも含め20名以上が演奏に参加しているが、全体的に大きなまとまりがあり決して散漫になることはなく、ロドリゴ・カラソの個性が作品の大部分で際立つ。

(2)「Hora Mínima」のMV
Rodrigo Carazo - Octógono
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