このユルさがたまらない。ルイーザ・ブリーナ新作EP
ブラジル・ミナス出身のSSW/マルチ奏者、ルイーザ・ブリーナ(Luisa Brina)の新作EP『Deriva』は、全曲でゲスト歌手を迎えたデュエット曲集だ。全5曲のトラックは、個々がソーシャルディスタンスを確保し孤立を強いられる社会の不安の中で、“緩やかな繋がり”とも言える適応を優しく提供する。
本作はルイーザ・ブリーナがギター、ベース、パーカッションなど全ての楽器を演奏し録音したトラックに、5名のヴォーカリストがゲスト参加している。
(1)「Quando Isso Passar(これが過ぎると)」にはロックバンド、マグロレ(Maglore)のヴォーカリスト、テアゴ・オリヴェイラ(Teago Oliveira)が参加。
(2)「Oração 12」に参加するジョジアラ(Josyara)はバイーア出身の女性SSW。
(3)「Súbita Canção」のゲスト、アルトゥール・ノゲイラ(Arthur Nogueira)は2015年『Sem Medo Nem Esperança』が話題になったSSW。
(4)「Butterfly」はルイーザ・ブリーナとも親交の深い女性歌手、ジュリア・ブランコ(Julia Branco)がゲスト参加。メジャーセブンス(M7, 長七和音)系特有の浮遊感のある楽曲が素敵だ。
(5)「Garrafa ao Mar」は1999年サンパウロ生まれのSSW、シコ・ベルナルデス(Chico Bernardes)との共作。
ルイーザ・ブリーナは元々2020年にはアルバムの制作は予定していなかった。だが、予定されていたツアーが新型コロナウイルス感染症の影響で中止に追い込まれ、代わりにこのEPで新曲を発表することになった。この作品には、抑圧されたこの異常な現在の葛藤や諦めと、こうあって欲しいという未来への希望が込められている。