南アフリカ新鋭トランペッター、ンダボ・ズールーが描く“ナンディ女王の物語”
南アフリカのトランペット奏者、ンダボ・ズールー(Ndabo Zulu)のデビュー作『Queen Nandi: The African Symphony』がとにかく素晴らしい。
アルバムにはデリック・ホッジ(Derrick Hodge, b)やンドゥドゥーゾ・マカティニ(Nduduzo Makhathini, p)といった注目のアーティストも参加(両者は共同プロデュースとしてクレジットされている)。2枚組、合計1時間42分の大作だ。
アルバムは曲によって編成を変え、緻密なアレンジとアフリカらしいリズムやヴォーカルの魅力的な混合を形成する。一風変わった刺激的な現代ジャズをたっぷり浴びたい方にとって、これ以上の好盤はないだろう。
アルバムのコンセプトは、19世紀に南アフリカに存在したズールー王国の初代国王、シャカ・ズールーの母ナンディの物語となっている。シャカ・ズールーはズールー族の勢力を拡大する一方で国民を恐怖政治で支配した。母ナンディが1827年に死去した際には、殉死の目的で7,000人を処刑し、そのことが国内の王族内からも反発を受け、シャカは翌年の北方遠征の途中で異母弟らに殺害されている。
──この南アフリカ地域で重要な史実を担うシャカ・ズールーの強さの由来となったナンディ女王の物語を伝えるため、この作品は制作された。
ンダボ・ズールー(Ndabo Zulu)は南アフリカ出身のトランペット奏者。2017年〜2019年にかけてはノルウェーの音楽院で学び、人脈を広げている。
南アフリカ出身のアーティストとして初めて米国の名門レーベル、ブルーノート・レコーズから作品を発表したンドゥドゥーゾ・マカティニ(Nduduzo Makhathini)の『Modes of Communication: Letters from the Underworlds』にも参加するなど、同国随一のトランペット奏者として注目されている。
Ndabo Zulu – trumpet
Nduduzo Makhathini – piano
Afrika Mkhize – piano, keyboards
Shane Cooper – bass
Derrick Hodge – bass
Sikade – drums
Sphelelo Mazibuko – drums
Njabulo Shabalala – percussion
El Hadj Ngari Ndong – percussion
Siya Charles – trombone
Mbuso Khoza – vocal
Zoë Modig – vocal