伊ジャズ巨匠 E.ピエラヌンツィ、女性Voとヴィブラフォン奏者を迎えた新譜

Enrico Pieranunzi - Time's Passage

エンリコ・ピエラヌンツィ『Time’s Passage』

イタリアのジャズピアノの巨匠、エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)の勢いが止まらない。今年(2020年)に入って早くも4枚目のアルバム『Time’s Passage』がリリースされた。ピエラヌンツィは1949年生まれだから、現在70歳を超えているはずだが、アイディアの枯渇や衰えなどは微塵も感じさせず、今作でも可憐な女性ヴォーカリストとヴィブラフォン奏者を迎え、最上級のヨーロピアン・ジャズを聴かせてくれる。

全9曲中6曲がピエラヌンツィのオリジナル。フランク・シナトラが歌った名曲「In the Wee Small Hours of the Morning」はピアノトリオ+ヴィブラフォンのインストゥルメンタルと、ピアノとヴォーカルの2テイクが収録されている。

全編で彼らしいハードバップと叙情が相見えた至高の時間が流れる。
個人的にはピエラヌンツィの叙情性が発揮されたフランス語で歌われるワルツ(2)「Valse pour apollinaire」や、(6)「A Nameless Gate」に心の琴線を激しく震わせられた。

(1)「Time’s Passage」
女性ヴォーカルとヴィブラフォンの音色が楽曲に華やかさを添える。

今作にヴォーカリストとして参加しているシモーナ・セヴェリーニ(Simona Severini)はピエラヌンツィの過去作『My Songbook』(2016年)や『Monsieur Claude』(2018年)にも参加しているシンガーソングライターで、これまでにジョルジョ・ガスリーニ(Giorgio Gaslini)、エンリコ・イントラ(Enrico Intra)、ガブリエレ・ミラバッシ(Gabriele Mirabassi)といったジャズの音楽家に重用されてきた。飾らない可憐な歌声で、今作でもその魅力を振りまく。

もう一人のゲスト、アンドレア・ダルベッコ(Andrea Dulbecco)は、“ヨーロッパのゲイリー・バートン”の異名を持つヴィブラフォン奏者。クラシックとジャズの両軸でヨーロッパ〜アメリカ合衆国で広く活躍をしている。

Enrico Pieranunzi – piano, electric piano
Luca Bulgarelli – bass (except 7)
Dede Ceccarelli – drums (except 7)

Guests :
Simona Severini (vocal except 3, 5)
Andrea Dulbecco (vibraphone except 7)

Enrico Pieranunzi - Time's Passage
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