ベナン出身の天才ギタリスト、リオーネル・ルエケ、師匠ハービー・ハンコック曲集を発表

Lionel Loueke - HH

努力の天才リオーネル・ルエケ、ハービー・ハンコックの名曲群を新解釈

これは待ってました!と喜びを隠さずにはいられない。

巨匠ハービー・ハンコックに見出されたベナン出身の天才ギタリスト、リオーネル・ルエケ(Lionel Loueke)が、丸々ハービー・ハンコックをカヴァー(数曲、彼に捧げたオリジナルあり)したアルバム『HH』をリリースした。
タイトルはHerbie Hancockの頭文字か、はたまたHead Huntersか。まぁ、その両方なんだろうけど。

ここにはハービー・ハンコックの名曲が多数収録されている。そのどれもがリオーネル・ルエケの超個性的なソロ・ギター演奏(一部多重録音もあり)で。
先行リリースされていた(5)「Cantaloupe Island」などはその好例で、馴染み深いリフを7弦ギターで見事に表現し、そのリフの印象を確かなものにしつつアドリブを重ねていく姿はとてもたった一人での行為とは思えないほど。

20〜21世紀にまたがってジャズに革新をもたらし続けたハービー・ハンコックの軌跡は、(1)「Hang Up Your Hang Ups」、(4)「Actual Proof」、(6)「Butterfly」、(8)「Watermelon Man」、(11)「Rockit」などの各曲での工夫を凝らした演奏で垣間見える。

(10)「Voyage Maiden」と(13)「Homage to HH」のみがリオーネル・ルエケのオリジナル。
ハービーの名曲「Maiden Voyage(処女航海)」をもじったタイトルの前者は特に印象的な演奏だ。リズムは原曲からもろにインスパイアされているが、若干ボサノヴァの影響も混ざったようなスタイル。まさに“裏メイデン・ヴォヤージュ”と呼ぶに相応しい。

数曲で歌詞のないヴォーカルも披露しているが、(13)「Homage to HH」などではアフリカ南部のター語やナマ語、コサ語などに特徴的なクリック音(舌打ちに近い発音の子音)も用いるなど、ギター以外でもその個性が際立つ。

リオーネル・ルエケ、西アフリカから世界に羽ばたいたギタリスト

リオーネル・ルエケ(Lionel Loueke)は1973年、西アフリカのベナン共和国生まれ。1990年にコートジボワールに移住、国立芸術研究所で学んでいる。

9歳頃から打楽器を演奏していたが、17歳の頃に兄の影響を受けギターを始める。ジョージ・ベンソン、ケニー・バレル、ジョー・パス、ウェス・モンゴメリーのスタイルに影響されたが、最初のギターを買うための50ドルを稼ぐために1年の歳月を要した。新品の弦を買うためにはナイジェリアの国境を越えなければならず、弦を買うお金さえなかった彼は自転車のブレーキケーブルで代用しようとしたが、それがギターのネックを損傷させてしまい、今度はギターを修理する職人を探す羽目になったというエピソードも。

1994年にフランス・パリに渡り、American School of Modern Music in Pari で学位を得ると、奨学生として1999年に米国のバークリー音楽大学に留学。卒業後はセロニアス・モンク・ジャズ・インスティテュード(Thelonious Monk Institute of Jazz)に在籍した。

2008年に名門ブルーノート・レコーズから『Karibu』でデビュー。2012年作『Heritage』はロバート・グラスパーがプロデュースしたことで話題を呼んだ。2005年の東京JAZZではハービー・ハンコック率いる新生ヘッドハンターズのメンバーとして来日している。

Lionel Loueke – D’Angelico guitars, Sadowsky guitars, Heeres guitars, Schottmueller guitars, Zaletelj guitars, Relish guitars, Godin guitars and voices.

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